99.6%のDPC病院で持参薬使用、入院契機傷病の治療にも6割超の病院が使用―DPC評価分科会
2015.9.1.(火)
ほとんどのDPC病院病院が患者の持参薬を使用しており、1000病院程度で「入院の契機となった傷病」の治療にも用いている―。このような調査結果の中間報告が、8月31日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で行われました。
使用された持参薬は、消化性潰瘍用剤が最も多く、ほかに血圧降下剤や制酸剤、血管拡張剤、解熱鎮痛消炎剤なども目立ちます。
厚生労働省は、どのような理由で持参薬を用いたかなどを精査し、近くDPC分科会に最終報告を行う予定です。
2014年度DPC改革の中で、一部のDPC病院では、入院治療に必要な薬剤(特に高額な薬剤)を外来で処方し(出来高算定)、それを患者に持参させていることが明らかになりました。この場合、DPC点数には当該薬剤費が包括評価されているため、病院側は理論上、薬剤費を二重に請求していることになります。
DPC分科会ではこの点を問題視し、「入院の契機となる傷病の治療に係るものとして、あらかじめ当該またはほかの病院などで処方された薬剤を患者に持参させ、当該病院が使用することは特別な理由がない限り認められない」との取り扱いが規定されました。
しかし、医療現場からは「例えば単科の専門病院では多種類の薬剤を備蓄しておらず、患者の既往症などの治療に持参薬を用いることを認めるべきではないか」との指摘もあることから、厚労省は持参薬の使用状況について調査を実施しました。
調査対象は現在1578施設ある全DPC対象病院で、既に全ての病院が回答を行っています。今般、「持参薬を用いた理由」などの自由記載部分を除いた調査結果が中間報告されました。
まず持参薬の使用状況を見ると、「1症例も使用しなかった」病院は7病院にすぎず、99.6%とほとんどの病院が持参薬を使用していることが分かりました。
持参薬を使用した患者の割合は、「41-60%」と答えた所が最も多く475病院(DPC病院全体の30.1%)、次いで「61-80%」が406病院(同25.7%)、「21-40%」が338病院(同21.4%)となっており、「81-100%」の患者に使用した所も145病院(9.2%)ありました。
次に持参薬と傷病との関係を見ると、「入院の契機となる傷病」の治療に用いた所が998病院(同63.2%)、「入院の契機となる傷病以外」の治療に用いた所が1560病院(同98.9%)でした(重複回答)。
前者の「入院の契機となる傷病」治療に用いることができるのは、特別な理由がある場合に限られます。その理由は、「担当医の要請」が最も多く416病院(同26.4%)に上ります。
もっとも「担当医の要請」とは、医師が患者に薬剤を持参させることを意味するわけではなく、「持参した薬剤があるようなので、それを使用する」ことを担当医が判断したケースが該当します。
また「(当該薬剤の)院内採用がなかった」と答えた所は167病院(同10.6%)でした。
より具体的な理由は、今後、最終報告の中で明らかにされます。
なお、当該持参薬が終了した場合には、722病院(同45.8%)が「臨時採用として購入する」としていますが、205病院(同13.0%)では「受診医療機関より処方してもらう」と答えています。
使用数量が多かった持参薬は、▽消化性潰瘍用剤(1082病院、DPC病院のうち68.6%)▽血圧降下剤(796病院、同50.4%)▽制酸剤(766病院、同48.5%)▽血管拡張剤(738病院、同46.8%)▽解熱鎮痛消炎剤(737病院、同46.7%)▽その他の血液・体液用剤(732病院、同46.4%)▽糖尿病用剤(697病院、同44.2%)▽高脂血症用剤(646病院、同40.9%)―などです。
また持参薬の管理は、ほとんどの病院で薬剤師が行っていますが(1422病院、同90.1%)、医師(20病院、同1.3%)、看護師(109病院、6.9%)という病院もありました。
管理の内容は、▽商品名▽規格▽用法・用量―はもちろん、▽残日数▽代替薬▽手術予定患者などの中止すべき薬剤の確認―などにも及んでいます。こうした点について川上純一委員(浜松医科大学医学部附属病院教授・薬剤部長)は「ほとんどの病院で薬剤師が関与しており、管理内容も詳細である」と高く評価しています。
最後に「持参薬の使用を認めてほしい薬剤」を見ると、次のようなものが目立ちます。
▽精神神経用剤(414病院、同26.2%)
▽その他の腫瘍用薬(290病院、同18.4%)
▽代謝拮抗剤(274病院、同17.4%)
▽催眠鎮静剤、抗不安剤(257病院、同16.3%)
▽糖尿病用剤(249病院、同15.8%)
▽血圧降下剤薬剤(242病院、同15.3%)
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