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7対1入院基本料の厳格化、診療側と支払側で攻防激化―中医協総会

2015.10.15.(木)

 2014年度の前回診療報酬改定後に7対1病床数は減少し始めています。中央社会保険医療協議会では、「減少傾向が続けば、あるべき医療提供体制像に近づく」と主張する診療側委員と、「減少幅はわずかであり、時代の変化に追い付いていない」とする支払側委員との攻防が激しくなっています。

 7対1入院基本料を巡っては、下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で、重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の見直しが提案されていますが、中医協でどのような議論が展開されるのか注目度が高まっています。

10月14日に開催された、「第306回 中央社会保険医療協議会 総会」

10月14日に開催された、「第306回 中央社会保険医療協議会 総会」

「7対1の削減=機能分化の図式は誤っている」中川委員

 14年度の前回改定では、主に7対1入院基本料について、▽特定除外制度の廃止▽看護必要度の見直し―など、大きなメスが入りました。

 この結果、7対1病床は改定後に減少し始めました。また、7対1病院のうちDPC病院では、14年度改定の前後で7対1入院基本料の算定患者が減少していることが、厚生労働省から14日の中医協総会に報告されています。

前回改定後に7対1病床は減少を始めた

前回改定後に7対1病床は減少を始めた

前回改定の前後で、DPCの7対1病院では、7対1入院基本料を算定している患者が減少している

前回改定の前後で、DPCの7対1病院では、7対1入院基本料を算定している患者が減少している

 こうした状況を受けて診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、「平均在院日数の短縮などで在院患者数の減少が進む中、14年度診療報酬改定で医療現場は激変した。この傾向が続けば、自然に『あるべき医療提供体制』の姿に近づいていくと考えられる。看護必要度などの見直しや地域医療構想に医療機関が十分に対応するためには時間が必要だ。これ以上の7対1入院基本料の厳格化は慎重に行うべきである」と主張しました。

 同じく診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)も、「平均在院日数の短縮などにより一般病床の入院患者数は減少が続いている。こうした中で、病院は努力をして何とか経営を維持しているのが実際だ。また『7対1病床の削減が機能分化を推進する』という図式は誤りである」と述べ、7対1入院基本料の厳格化をけん制しました。

 これに対し、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は、「患者数や在院日数は減少しているが、1日当たり単価や1件当たり単価は上昇している。より高度な医療を提供することで、病院全体として経営は安定していると考えるべきではないか」と反論。さらに、「社会構造や疾病構造は確実に変化している。7対1病床の減少幅は15年4月時点で1万6000床程度にとどまっており、これは時代の変化に追い付いていないと思う」と述べた上で、「7対1病床にも、医師の指示見直しの頻度が週1回程度という、比較的状態が安定していると考えられる患者が50%以上入院しているところもあり、16年度の次期改定でも、看護必要度などの見直しが必要である」と訴えました。

特定機能病院、7対1一般病院では、看護必要度を満たす重症患者が全体として15%以上入院していることが分かる

特定機能病院、7対1一般病院では、看護必要度を満たす重症患者が全体として15%以上入院していることが分かる

 さらに白川委員は看護必要度について、「特定機能病院ですら、看護必要度の基準を満たす重症患者は16%程度にとどまっている。A項目とB項目をより急性期にふさわしいものに見直し、重症患者割合の基準値である15%をどうしていくのか議論していく必要がある」とも述べています。

週1回程度の指示見直しにとどまる患者が5割以上入院している7対1病院もある

週1回程度の指示見直しにとどまる患者が5割以上入院している7対1病院もある

 ところで、白川委員の「医師の指示見直しの頻度が週1回程度という、比較的状態が安定していると考えられる患者」というコメントに対し、丹沢秀樹専門委員(千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科教授)は「通常、手術から3日程度は医師から同じ指示が出される。3日後に患者の容態を見て指示の変更を行い、さらに3日後に再度、指示の変更を行うことになる。個人的には『週1回程度の指示見直し』が必要な状況は急性期と考える」と異論を唱えています。

 また、診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、看護必要度の項目について「外科系に偏っている。内科系の評価も検討していく必要がある」とコメントしています。

「大病院は急性期に特化すべき」鈴木委員

 入院医療の機能分化について鈴木委員は、大病院のケアミックスについてもコメントしました。

 鈴木委員はかねてから「大規模な7対1病院が地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟を設置することは地域の医療連携を阻害する」と指摘しており(関連記事はこちら)、この日も「かつては『大病院=急性期病院』という図式が一般国民の中にあったが、ケアミックスが進み、国民・患者には大病院の姿が見えにくくなっている」と指摘。その上で、「少なくとも公的病院は高度急性期や急性期に特化するべきで、『急性期を担う大病院』と『中小病院』との機能分化が進むような診療報酬を設定すべき」と強調しています。

 このテーマについては入院医療分科会でも関連データが提示されており、次期改定における重要課題の1つとなりそうです(関連記事はこちら)。

「チーム医療は医療現場の負担軽減などに効果」宮嵜医療課長

 ところで入院医療を考えるに当たっては、「医療従事者の負担軽減」という視点も重要です。最近の診療報酬改定でもこの点を重視し、▽医師事務作業補助体制加算の充実▽手術・処置の休日・時間外・深夜加算の引き上げ▽病棟薬剤業務実施加算の創設―などが行われています。

 これらの見直しは、医療現場でも高く評価されていますが、現場の医師や看護師には「勤務状況の改善が必要」と考える人が依然として多いのも事実です。

負担軽減に関する診療報酬項目(医師事務作業補助体制加算)について、「効果がある」と考える医療従事者が多い

負担軽減に関する診療報酬項目(医師事務作業補助体制加算)について、「効果がある」と考える医療従事者が多い

チーム医療を評価する診療報酬項目(病棟薬剤業務実施加算)について、「効果あり」と考えている医療従事者が多い

チーム医療を評価する診療報酬項目(病棟薬剤業務実施加算)について、「効果あり」と考えている医療従事者が多い

 厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、こうした点を踏まえ「チーム医療の取り組みが負担軽減や医療サービスの向上に一定の効果がある。次期診療報酬改定でも、チーム医療の推進を『個々の分野の評価に関する議論』の中で引き続き検討していく」方針を明確にしています。

 この点に関連して、福井トシ子専門委員(日本看護協会常任理事)は「一つの病棟の中で退院調整をするには限界があり、最近は、地域を巻き込んだ退院調整が進められている。多職種チームの結成にインセンティブを付与することを検討してほしい」と述べ、さらに数多くある退院調整を支援する診療報酬項目の整理も必要と指摘しました。

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