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DPCの入院期間IIIを延長するが、包括点数は事実上の引き下げ―DPC評価分科会

2015.10.15.(木)

 DPCの入院期間IIIについて、請求の煩雑さを是正するため、診断群分類ごとに▽30日▽60日▽90日▽120日―という具合に設定してはどうか―。こういった方向が、14日に開かれた診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会で固まりました。

 近く、中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会で審議されます。

 あわせて、入院初日に大部分の診療報酬を設定する「点数設定方式D」を継続・拡大していく方向もDPC分科会で固まっています。

10月14日に開催された、「平成27年度 第5回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

10月14日に開催された、「平成27年度 第5回 診療報酬調査専門組織 DPC評価分科会」

入院期間IIIにおける不合理・不公平を是正

 DPCでは、入院日数に応じた点数の逓減制が導入されており、一定の期間(入院期間III)までは包括点数が設定されていますが、それを超えると出来高算定となります。

DPCの基本的な点数設定方式、(1)入院期間I(25パーセントタイル値まで)(2)入院期間II(平均在院日数まで)(3)入院期間III(平均在院日数+2SDまで)―と包括点数が逓減し、入院期間IIIを超えると出来高算定となる

DPCの基本的な点数設定方式、(1)入院期間I(25パーセントタイル値まで)(2)入院期間II(平均在院日数まで)(3)入院期間III(平均在院日数+2SDまで)―と包括点数が逓減し、入院期間IIIを超えると出来高算定となる

 この一定の期間(入院期間III)は、診断群分類ごとに「平均在院日数+2SD」として設定されており、診断群分類ごとに異なっています。そのため、次のような不都合が生じています。

▽当初はAという診断群分類でコーディングしており、入院期間IIIを超えたために出来高算定となった

▽翌月に、資源投入量が変化したなどの理由でBという診断群分類にコーディングを変更した

▽ところがBの入院期間IIIが、Aよりも長かったため、Bについてはまだ包括支払期間であった

入院期間IIIがバラバラに設定されているため、診断群分類が変更され、暦月をまたぐような請求では、不都合が発生する

入院期間IIIがバラバラに設定されているため、診断群分類が変更され、暦月をまたぐような請求では、不都合が発生する

 厚生労働省はこの不都合を解消するために、入院期間IIIを「従来の入院期間III(平均在院日数+2SD)より大きく、最も近い30の整数倍」とすることを提案しました。例えば、現在の入院期間IIIが25日であれば30日に、40日であれば60日にという具合です。

 これにより入院期間IIIは、911の診断群分類で30日、705の診断群分類で60日、410の診断群分類で90日、という形に整理されることになり、上記のような不都合が減少すると期待されます。

入院期間IIIを30日、60日、90日・・・と設定することで、不都合の減少が期待できる

入院期間IIIを30日、60日、90日・・・と設定することで、不都合の減少が期待できる

 ただし、これだけでは入院期間を長くするインセンティブとなってしまうため、厚労省は合わせて「入院期間IIIの点数を、『現行の点数』と『平均在院日数を超えた期間の1日当たり医療資源投入量の平均値』の低いほうに設定する」ことも提案しました。入院期間が長くなれば、治療の必要性(つまり資源投入量)が減少するので、1日当たり点数は相当低くなると予想されます。

入院期間IIIの見直しと同時に、包括点数も見直す(事実上の引き下げ)

入院期間IIIの見直しと同時に、包括点数も見直す(事実上の引き下げ)

 もっともケースによっては「入院期間を長くしたほうが収益が上がる」可能性があります。この点について厚労省保険局医療課の担当者は、「寝かせきりにして収益を上げている病院もあると聞いており、そうした病院については今後、ヒアリング調査を行うことも検討している」と述べ、今回の見直しが入院期間の長い病院を厚遇するものではない旨を強調しています。

 なお、井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は「入院期間IIIや、それ以降の出来高算定を巡る不合理・不公平が是正される」と述べ、厚労省の提案を高く評価しています。

暦月をまたぐ請求の変更、一度レセプトを取り下げることに

 ところで、現在のDPC制度には包括請求から出来高請求に変更があった場合に調整を行う仕組みが設けられていません。例えば、1月に包括請求を行ったが、翌月に高額薬剤を使用し出来高請求へ変更になったようなケースです。

 厚労省は「DPCでは、退院時に決定された診断群分類によって請求することが原則」という方針を確認し、次のような差額調整ルールを提案しています。

(1)DPC対象病棟における請求方法は「1入院で統一」する(ただし、入院期間IIIを超えて出来高請求となった場合は除く)

(2)暦月をまたいで請求方法が変更になった場合には、「医療機関の取り下げ依頼に基づくレセプト返戻による再請求」を行うこととする

 (2)のルールが導入されれば、1月に包括点数で請求し、2月に出来高に変更となった場合には、病院側は1月のレセプトを取り下げ、2月に改めて出来高で請求しなおすことになります。

 これは病院にとって手間がかかりますが、厚労省は「対象はDPC症例の2.6%(全症例で見ればさらに少ない)に過ぎない」と説明。また前述の入院期間IIIの見直しや、適切なコーディングの推進によって、この割合はさらに低くなるとして理解を求めています。

 この見直し案について金田道弘委員(社会医療法人緑壮会理事長兼金田病院長)は、「取り下げ、再請求となると、病院への入金が少なくとも1か月遅れることになる。中小病院は資金繰りに苦労しており、配慮をしてほしい」と要望しました。しかし、厚労省保険局医療課の担当者は「コーディングをきちんと行うことで、大幅な治療内容の変更は相当減らすことができる。医療従事者とコーディングを担当する事務職との連携を深め、取り下げ件数を減らすよう努めてほしい」と述べ、病院側の努力を求めています。

点数設定のD方式、継続・拡大を確認

 また、入院初日に医療資源投入量を多く投入する診断群分類では「コスト回収のために入院期間を不必要に延伸する」事例が見受けられました。そこで、入院初日に診療報酬の大部分を設定するD方式が導入されました。

点数設定方式Dの仕組み、1日目(入院初日)にほとんどの点数を配分する

点数設定方式Dの仕組み、1日目(入院初日)にほとんどの点数を配分する

 厚労省の調査によれば、D方式が導入された診断群分類の多くでは平均在院日数が減少していることが分かり、DPC分科会では「D方式の継続」と「新たにD方式を設定する診断群分類の検討」が了承されました。

 D方式は、包括範囲に限ってみれば「入院期間によらず一律の診療報酬を支払う」仕組みです。これが徐々に拡大していくことは、短期滞在手術等基本料3と合わせて、わが国でもDRG化が進んでいると見ることができるでしょう。

D方式が導入された多くの診断群分類では、平均在院日数短縮という効果が現れている(1)

D方式が導入された多くの診断群分類では、平均在院日数短縮という効果が現れている(1)

D方式が導入された多くの診断群分類では、平均在院日数短縮という効果が現れている(2)

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