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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

先駆導入加算、「先駆け審査指定制度」の要件に見直しへ―中医協

2015.10.16.(金)

 2016年度の診療報酬改定にあわせて、薬価制度と材料価格制度も見直しが行われます。14日に開かれた中央社会保険医療協議会では、見直しに向けた具体的な議論が始まっています。

 厚生労働省は、わが国における革新的な医薬品開発を推進するために創設した「先駆導入加算」について、後に設けられた「先駆け審査指定制度」との整合性を図る方針を示しました。

市場拡大再算定、判断基準の見直しへ

 薬価については、中医協の薬価専門部会で制度見直しに向けた議論が進みます。この日は、次の4つの論点について議論が行われました。

10月14日に開催された、「第108回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

10月14日に開催された、「第108回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

(1)先駆導入加算の見直し

(2)開発要請・公募品目の外国平均価格調整の見直し

(3)新規性の乏しい医薬品

(4)市場拡大再算定の見直し

 (1)の先駆導入加算は「世界に先駆けてわが国で薬事承認を取得した革新的な医薬品」を経済的に評価するもので、14年度の薬価制度改革で導入されました。

 その後、厚生労働省は「世界に先駆けて、革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化する」ために『先駆け審査指定制度』を創設。次期改革でも、先駆導入加算の名称を「先駆け審査指定制度加算」に変更し、要件を先駆け審査指定制度にあわせてはどうかと提案しています。

先駆け審査指定精度の指定要件

先駆け審査指定精度の指定要件

 この提案について、支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は「薬事承認と保険収載は別個の仕組みである」とし、要件見直しは慎重にすべきとの考えを述べました。

 しかし、現在の先駆導入加算の要件には「画期性加算または有用性加算(I)の適用を受ける」という製薬メーカーが予見できない項目があること、さらに両者の要件は類似していることから、見直しが承認される可能性が高そうです。

現行の先駆導入加算の要件、「画期性加算の適用」などがあり、これは製薬メーカーには予見できない(最終的に中医協で決まるため)

現行の先駆導入加算の要件、「画期性加算の適用」などがあり、これは製薬メーカーには予見できない(最終的に中医協で決まるため)

 なお、加算率について現行は「一律10%」ですが、厚労省は開発姿勢や臨床試験の充実度を勘案して「10-20%」に幅を持たせてはどうかとも提案しています。

 (4)の市場拡大再算定は、保険収載時の予測よりも大幅に市場が拡大した(爆発的に売れた)医薬品について価格を引き下げる(再算定)仕組みです。

 現在は、新薬の薬価設定を類似薬効比較方式で行ったものと、原価計算方式で行ったものとで、薬価引き下げの対象とするか否かの判断基準が異なっています。

原価計算方式における市場拡大再算定の概念図、当初予測の2倍かる年間販売額150億円を超えた品目について価格の引き下げが行われる

原価計算方式における市場拡大再算定の概念図、当初予測の2倍かる年間販売額150億円を超えた品目について価格の引き下げが行われる

類似薬効比較方式における市場拡大再算定の概念図、売り上げ規模などのほかに「使用実態の著しい変化」という要件が加わる

類似薬効比較方式における市場拡大再算定の概念図、売り上げ規模などのほかに「使用実態の著しい変化」という要件が加わる

 厚労省は、「年間販売額が巨額」な場合には、この判断基準を統一することなどを提案しています。「巨額」の水準については、今後の議論を待つ必要があります。

 ところで市場拡大再算定をめぐっては、製薬メーカーから「医療現場が優れた医薬品と判断すると市場が拡大する。優れた医薬品の価格を下げて開発意欲を下げる仕組みで、廃止すべきである」との意見が出されています。一方で、中医協では診療側を中心に「申請時点の市場規模を過少に予測しているのではないか」と指摘。両者には大きな隔たりがありますが、将来に向けて建設的な議論を期待したいところです。

材料価格、内外価格差の更なる是正を目指す

 医療材料の公的価格(材料価格)の設定ルールについては、中医協の「保険医療材料専門部会」で見直しに向けた議論が行われます。この日は、次の3点が議題となりました。

(1)新規収載品の価格調整の比較水準

(2)既収載品の再算定の比較水準など

(3)原価計算の内訳の把握

 (1)と(2)は、保険医療材料について「内外価格差」を是正していこうというテーマです。

 保険医療材料の価格については、かねてから「全体として外国価格のほうが国内価格よりも安い」という指摘があります。そこで価格差を是正するために、新規収載品・既収載品ともに外国平均価格と比較した調整(米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアの価格と比較し、一定倍以上であれば価格を引き下げる)が行われています。現在、新規収載品であれば外国平均価格と比べて「1.5倍以上」であれば、価格は1.5倍にまで引き下げられます。

新規収載の医療材料については、現在、外国平均価格と比べて1.5倍以上の価格が設定された場合に、1.5倍にまで引き下げられる

新規収載の医療材料については、現在、外国平均価格と比べて1.5倍以上の価格が設定された場合に、1.5倍にまで引き下げられる

既収載の保険医療材料については、価格下落率によって外国平均価格調整の基準値が異なっている

既収載の保険医療材料については、価格下落率によって外国平均価格調整の基準値が異なっている

 厚労省は、この水準を次期制度改革で引き下げ、さらなる内外価格差の是正を行いたい考えです。この提案には、診療側・支払側双方の委員が賛同しており、今後、具体的な基準値の設定論議が行われる見込みです。

保険医療材料について内外価格差は依然として存在する

保険医療材料について内外価格差は依然として存在する

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