7対1、ICU、HCU、それぞれの機能をどう考えるのか―中医協基本小委
2015.10.21.(水)
2016年度の診療報酬改定で、7対1入院基本料の厳格化が検討されているが、「7対1一般病棟」「ICU」「HCU」それぞれの機能をどうしていこうと考えているのか―。このような問い掛けが、21日に開かれた中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会で、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)から投げられました。
入院医療の診療報酬について議論する診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」が15日に、最終とりまとめをおおむね了承。若干の修文の上、21日の基本小委に報告されました。
詳細は別稿に譲りますが、入院医療分科会では「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の見直しなどが暗に提案されています(関連記事はこちら)。
この点に関連して鈴木委員は「7対1入院基本料の看護必要度を厳格化すると、7対1一般病棟がICU化、HCU化してくるが、この方向でよいのか」と問い掛けました。
厚生労働省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、「7対1入院基本料の要件を厳しくするか否かは中医協でこれから議論していく」ことであると説明した上で、「看護必要度は『厳しくする』『緩くする』という視点ではなく、『現場意思にマッチした評価ができているかどうか』という視点でデータを分析している」ことを強調。
鈴木委員はこの説明に納得せず、「仮に7対1の要件を厳しくするのであれば、ICUやHCUの要件はさらに厳しくしなければ整合性が取れない」と食いつきましたが、宮崎課長は「いろいろな考えがあり得る」と述べるに止めました。
このテーマは、地域医療構想や病床機能報告制度の「高度急性期」「急性期」機能とも関連します。今後、入院医療、とくに急性期入院医療に関する中医協論議の中で、この点が診療側と支払側だけでなく、厚労省も交えて熱心に行われると考えられ、要注目と言えるでしょう。
入院医療分科会の最終とりまとめを巡っては、次のような意見が出されました。厚労省の宮嵜医療課長は「今後、入院について個別テーマごとに議論する中で、さらに議論してほしい」と要望しています。
▽ICUを持つ病院や7対1・10対1病院では、自院の急性期からの受け皿として地域包括ケア病棟を設置している。急性期大病院では空床対策として地域包括ケア病棟を設置していると考えられ、何らかの制限が必要である。大規模な急性期病院と中小病院では、地域包括ケア病棟の評価を区別するべきである。(鈴木委員)
▽7対1入院基本料の在宅復帰率について、「大病院の回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟への転院」と「中小病院の回復期リハ病棟などへの転院」には評価に差を付けるべきである。(鈴木委員)
▽ICUにおける「心電図モニター」「輸液ポンプ」「シリンジポンプ」のみの患者割合が50%を超えている病院があるというが、アウトライヤーをベースに議論すると、適正な医療提供体制が歪む可能性がある。(万代恭嗣委員:日本病院会常任理事)
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