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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2016年度診療報酬改定の基本方針、医療保険部会でも目立った反論出ず、12月初旬にまとまる見込み

2015.11.20.(金)

 2016年度の次期診療報酬改定に向けて、基本方針策定論議が社会保障審議会で進んでいます。19日には医療部会に骨子案が示され(関連記事はこちら)、翌20日には医療保険部会でも骨子案に基づく議論が行われました。

 医療保険部会では特段の反対意見は出されず、細かい注文が付くにとどまりました。厚労省は両部会で出された意見を踏まえて修正し、12月初旬に取りまとめ案を示す考えです。

11月20日に開催された、「第91回 社会保障審議会 医療保険部会」

11月20日に開催された、「第91回 社会保障審議会 医療保険部会」

重点課題は「地域包括ケア」と「医療機能の分化・強化、連携」

 2016年度改定基本方針では、「地域包括ケアシステムの構築」と「医療機能の分化・強化、連携」の2点が重点課題とされ、次の4つの基本的視点と、さらに具体的な方向性の例が示されます。

(1)地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携(重点課題)

(2)患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療の実現

(3)重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点

(4)効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める

 詳細な内容は、こちらの記事に譲りますが、(1)では「医療機能や患者の状態に応じた評価による機能分化の推進」や「多職種の活用によるチーム医療の評価」「かかりつけ医機能などの評価」「退院支援や医療機関間・医療介護の連携強化」などが、骨子案に盛り込まれています。

 20日に開かれた医療保険部会では、こうした内容に大きな反対意見は出されず、細かな注文が付くにとどまっています。

 例えば、新谷信幸委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、ICT活用による医療連携などの評価に関して「データに基づいたサービス向上を行うことが重要である。その旨が明確になる記載をすべきではないか」と指摘しています。

 また菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)は、「在宅医療や訪問看護の推進が謳われているが、訪問する医療者の安全などはどう確保されるのだろう。利用者の暴力や暴言が従事者の離職を招き、それがサービス拡充の妨げになっているようなことはないだろうか」と問題提起しました。

「多剤」投与是正について、白川委員らは必要性を強調

 ところで骨子案では、医薬品の適正使用に関連して「残薬や多剤・重複投薬を減らすための取り組み」という具体例が示されています。これについて19日の医療部会では、中川俊男委員(日本医師会副会長)から「本当に考えなければいけない『長期処方の削減』も具体的内容に盛り込むべきである。仮に盛り込まないのであれば、『多剤』の文言も削除しなければおかしい」との指摘がありました(関連記事はこちら)。

 これについて20日の医療保険部会では、白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)から「2014年度の前回改定では、向精神薬を対象とした多剤投与是正策が盛り込まれたが、十分に機能していないようで、是非とも継続しなければいけない。中央社会保険医療協議会では『多剤を処方された患者ほど残薬が多い』というデータも示されており(関連記事はこちら)、多剤投与に対する取り組みの文言は絶対削除していはいけない」との反論が出されています。

 また、新谷委員や、中川翼参考人(日本慢性期医療協会副会長、武久洋三委員の代理出席)も白川委員に賛同しました。特に中川参考人は「急性期入院医療で臓器別に薬剤がたくさん処方される。これを慢性期入院医療で調整することは難しい。経管栄養や胃瘻などで薬剤を投与されている患者では、薬を投与されていることを認識できない患者もいる」という実態を説明し、多剤投与の是正の重要性を強調しました。

 一方、松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「短期間で何種類かの薬剤を組み合わせて服用するほうが、少ない種類の薬を長期間服用するよりも効果がある場合もある」と述べ、単純な「多剤」の是正は好ましくないとの見解を述べています。

 

 このように項目によっては委員間で意見の相違がありますが、全体として大きな反論は医療保険部会、医療部会のいずれからも出ていません。12月4日には医療部会が予定されており、そこには最終とりまとめ案が示される見込みです。医療保険部会もこれと近い日程で組まれると見られ、12月初旬には基本方針がまとまる見込みです。

【関連記事】
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