16年度診療報酬改定に向け、「病棟群単位の入院基本料」や「救急の評価充実」を改要望―日病協
2015.11.30.(月)
2016年度の次期診療報酬改定に向けて、「病棟群単位での入院基本料の届け出」や「救急医療に関する点数の引き上げ」などを近々に厚生労働省に要望する―。こういった方針を日本病院団体協議会が決定し、27日の定例記者会見で発表しました。
日病協では7月3日に、第1回目の改定要望を行っています(関連記事はこちら)。その後、中央社会保険医療協議会での議論が進んでいることを受け、2016年度の次期改定はもちろん、18年度以降の将来改定も視野に入れて、再度の要望を行うことにしたものです。
第2回目の要望は次の8項目となる見込みで、うち5項目は第1回目で既に要望された項目(以下、「再」と表記)、3項目が新規の要望項目です(以下、「新」と表記)。
(1-1)病棟群単位での入院基本料の届け出を認めるべきである(再)
(1-2)重症度、医療・看護必要度について見直しを行うべきである(再)
(2)救急医療の評価を充実すべきである(新)
(3)維持期リハビリテーションの医療保険からの給付を継続する(要介護高齢者に対して、標準的日数を超過した維持期リハビリの介護保険への完全移行は見送る)べきである(再)
(4)入院中の他医療機関受診に係る減額制度を見直すべきである(再)
(5)医療機関におけるコストの分析を進め、それを診療報酬に反映させるべきである(再)
(6)同一日に複数の診療科を受診した場合の減額措置を見直すべきである(新)
(7)チーム医療における多職種連携の評価を充実すべきである(新)
このうち(2)の救急医療の評価充実について、日病協の楠岡英雄議長は「かねてから救急医療についての評価が不十分との議論がある。その中でも特に、『B001-2-6夜間休日救急搬送医学管理料』や『A205 救急医療管理加算』について、点数を引き上げてほしいとの意見が強い」と解説しています。
B001-2-6夜間休日救急搬送医学管理料は、二次救急医療機関などで、診療時間外や休日、深夜に、救急車や救急ヘリで搬送された患者に対して必要な医学管理を行った場合に200点(急性薬物中毒の患者などでは精神科疾患患者等受入加算として400点を加算)を算定できるものです。
またA205救急医療管理加算は、重症の救急患者を受け入れた場合に、7日間を限度として800点または400点を算定できるものです。
楠岡議長は、「二次救急医療機関の指定返上も出てきている。救急医療を行う医療機関の評価は積極的に行うべきである」と訴えています。
また(6)は、「同一日に、例えば内科、眼科、整形外科と3つの診療科を受診した場合、3つ目の診療科では初再診料や外来診療料を算定できない」という規定の見直しを求めるものです。楠岡議長は「がん治療などでは複数科受診が必要なケースも少なくない」と述べ、配慮を求めています。
さらに(7)の多職種連携については、「多職種で食事指導を行った場合の評価を充実する」ことや、「多職種連携の診療報酬項目(例えば呼吸ケアチーム加算や栄養サポートチーム加算)の施設基準を緩和する」ことが必要と楠岡議長は説明しています。
また、要望項目とは別に、日病協の内部では現在、中医協などで議論されている改定内容について次のような懸念が示されてことが楠岡議長から紹介されました。今後の改定論議にも影響が出る可能性があります。
▽特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院には、2016年4月から「紹介状なしに外来を受診する患者」などについて特別負担の徴収が義務化される(関連記事はこちら)が、特別負担を徴収されない見込の生活保護患者が、特定機能病院などに集中する恐れがある
▽DPC制度において、現在は「7月に包括対象の疾病で入院し、8月に臓器移植を受けたケースでは、7月分は包括支払い、8月分から出来高算定」といるルールだが、これを「7月に遡って出来高算定とし、7月の包括レセは取り下げる」と言う見直しが行われる模様(関連記事はこちら)だが、医療機関にとっては入金遅れの影響が大きくなることも考えられる
▽DPCの入院期間IIIについて、期間を延長し、点数を引き下げる見込み(関連記事はこちら)だが、その影響がどの程度になるのか明確にする必要があるのではないか(大幅に点数が引き下げられる診断群分類も出てくることが考えられる)