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診療側はプラス、支払側はマイナスを要望、両論併記の意見書を塩崎厚労相に提出―中医協総会

2015.12.11.(金)

 中央社会保険医療協議会の総会は11日、2016年度の次期診療報改定に向けた意見書をまとめ、塩崎恭久厚生労働大臣に提出しました。

 改定率について診療側は「マイナス改定」を、支払側は「プラス改定」を求める、両論平均の意見書となりましたが、「すべての国民が質の高い医療を受けるために必要な取り組みについての協議を真摯に進めていく」という基本的認識は一致していると強調しています。

 塩崎厚労相は、この意見書も踏まえて年末の予算編成(改定率もこの中で決定)に臨みます。

厚労省保険局の唐澤剛局長(向かって右)を通じて、塩崎恭久厚生労働大臣に意見書を提出した、中央社会保険医療協議会の田辺国昭会長(向かって左)

厚労省保険局の唐澤剛局長(向かって右)を通じて、塩崎恭久厚生労働大臣に意見書を提出した、中央社会保険医療協議会の田辺国昭会長(向かって左)

「質の高い医療に向けた協議を真摯に進める」という点では一致

 診療報酬改定については、(1)社会保障審議会の医療保険部会・医療部会で基本方針を定める(2)内閣が予算編成過程で改定率を定める(3)中医協が基本方針と改定率に沿って、改定内容を定める―という役割分担が行われています。

 もっとも、中医協が内閣に対して改定率についての要望・意見を出すことは禁じられていません。このため、中医協では通常、12月上旬に支払側と診療側が見解を持ち寄り、公益代表が意見書案をまとめる作業を行っています。もちろん意見調整ができないこともあり、その場合には意見書のとりまとめは行われません。

 2016年度の次期改定に向けても同様に、両側の見解をベースに公益代表が意見書案を作成。11日に開かれた中医協総会では両側がこれを了承し、塩崎厚労相に提出しました。

 支払側は、医療液剤実態調査結果から「(中長期的に)医療機関などの経緯が概ね順調に推移している」と判断し、「マイナス改定とすべき」との見解を示しました。さらに、薬価・特定保険医療材料価格の引き下げ分は、診療報酬本体には充当せず、国民に還元すべきと述べています。

 一方、診療側は、医療経済実態調査結果から「医療機関などは総じて経営悪化となった」と判断し、必要な財源を確保して「プラス改定とすべき」と主張しています。さらに、薬剤と診察などは不可分一体でるとして「薬価などの引き下げ分は本体改定財源に充当すべき」と述べています。

 両者の意見は隔たりが大きく、公益代表の田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は両論を併記するにとどめています。

 もっとも、見解の相違こそあるものの「すべての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取り組みについての協議を真摯に進めていく」という基本認識については両側が一致していることを強調しています。

 この意見書は、厚労省保険局の唐澤剛局長を通じて塩崎厚労省に提出されました。

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