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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2016年度材料価格制度改革、骨子案了承し年明けから細部調整―中医協・材料専門部会

2015.12.17.(木)

 2016年度の保険医療材料制度改革に向け、「医療ニーズの高い製品について経済的なインセンティブを与える」「外国価格との調整をより進める」といった内容の改革案が、16日に開かれた中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会および総会で了承されました。

 年明け(2016年)1月から、詳細を規定したルール案に沿った詰めの議論が進められますが、これまで以上に「医療ニーズの高い製品」の開発が促進されるものと期待されます。

12月16日に開催された、「第77回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

12月16日に開催された、「第77回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

医療ニーズの高い医療機器、事実上の単独機能区分を設定

 新規の特定保険医療材料(区分B、C1、C2)の価格は、「類似の機能区分があれば、その機能区分の価格」(類似機能区分比較方式)、「類似の機能区分がない場合には、原価を積み上げた価格」(原価計算方式)をベースに、有用性などに着目した加算や外国における価格との調整などを経て決定されます。

 2016年度の材料価格制度改革では、次のような見直しが行われます。

(1)外国価格との調整ルールの見直し

(2)イノベーションの評価

 (1)の外国価格との調整は、「外国で安価に販売されている場合には、国内価格もそれに合わせて引き下げる」という趣旨から行われるもので、現在は「米国、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアの平均価格に比べて1.5倍を上回る場合には、1.5倍に引き下げる」ことになっています(例外規定あり)。

新規収載の医療材料については、現在、外国平均価格と比べて1.5倍以上の価格が設定された場合に、1.5倍にまで引き下げられる

新規収載の医療材料については、現在、外国平均価格と比べて1.5倍以上の価格が設定された場合に、1.5倍にまで引き下げられる

 この仕組みについて中医協では、「外国平均価格の1.3倍超の場合には、1.3倍に引き下げる」と見直すことを決めました(関連記事はこちら)。

 ただし次のようなケースについては、現在の「外国平均価格の1.5倍超の場合には、1.5倍に引き下げる」というルールが維持されます。低価格ゆえに、わが国に優れた製品が導入されないという事態を避けるためです。

▽「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」(ニーズ検討会)からの開発要請・公募に応じて開発されたもの

▽希少疾病用医療機器

▽画期性加算や有用性加算(10%以上のもの)を受け、新たな機能区分を設定したもの(原価計算方式で同様の要件を満たすものを含む)

 

 (2)のイノベーション評価については、次のような対応がとられます。

▽ニーズ検討会からの公募に応じて開発された品目のうち、「医療ニーズが高いものと選定されてから3年以内に薬事承認申請がなされている」「審査期間のうち申請者側の期間が一定以内」などの要件を満たす場合には、機能区分の特例(事実上の単一機能区分を設定し、2回の改定を経るまで高価格を維持する)の対象とする(関連記事はこちら

▽ニーズ検討会からの公募に応じて一定の要件を満たす製品を開発した企業から、その次に保険適用希望書が出された製品について、「審査期間のうち申請者側の期間が一定以内」などの要件を満たす場合には、機能区分の特例の対象とする(関連記事はこちら

▽迅速な保険導入に係る評価(類似機能区分比較方式の場合は補正加算の50%、原価計算方式の場合は原価の5%が加算される)について、対象要件である「総審査期間のうちの申請者側の期間」を短縮する(優先品目などは150日→120日に、通常品目などは240日→210日)(関連記事はこちら

有用性が高く、迅速な保険適用がされた(審査期間のうち、企業側の期間が短い)医療機器については、一定の経済的な評価がなされている

有用性が高く、迅速な保険適用がされた(審査期間のうち、企業側の期間が短い)医療機器については、一定の経済的な評価がなされている

▽既存の機能区分を組み合わせることなどにより類似機能区分として見なせる場合、既存の機能区分の基準材料価格の和などを新規機能区分の基準材料価格として、類似機能区分比較方式により算定できることにする(関連記事はこちら

 このうち機能区分の特例とは、「革新性の高い新規の医療機器については、2回の改定を経るまで、同様の機能を持つ他の製品と区別して、価格改定・再算定を行う」というもので、事実上の単独機能区分設定と言えます。

 新規の医療機器が開発されα1という機能区分が設定され、高い評価がなされても、後に低価格のα2が出現した場合、α1の価格もα2の低価格に引っ張られて下落してしまうという問題点に対処するためのルールです。現在、「画期性加算・有用性加算(10%以上)を受けたもの」と「希少疾病用医療機器」が対象ですが、ここに「医療ニーズが高いと判断された医療機器」の一部が加わることになります。

革新性の高い新規医療材料については、機能区分の特例(事実上の単独機能区分)を認め、最低でも4年間、高い価格を維持することが可能となる

革新性の高い新規医療材料については、機能区分の特例(事実上の単独機能区分)を認め、最低でも4年間、高い価格を維持することが可能となる

 なおニーズ検討会で「医療ニーズが高い医療機器」として選定されたにもかかわらず、開発に至らない品目については、ペナルティの導入が検討されてきましたが結論が出ず、「引き続き検討する」ことになっています(関連記事はこちら)。

既収載品の外国価格との調整ルール、より厳しく

 既収載の医療機器については、保険償還価格(材料価格)と市場実勢価格との乖離を埋めるための価格引き下げを2年に1度行うとともに、外国価格との比較に基づく調整(再算定)が行われます。

 外国価格との調整に関しては、現在、次のようなルールが設定されています。

▽直近2回の改定を通じた価格下落率が15%以内であれば、「外国平均価格の1.3倍以上超」である場合に価格引き下げを行う

▽直近2回の改定を通じた価格下落率が15%以上であれば、「外国平均価格の1.5倍以上」である場合に価格引き下げを行う

既収載の保険医療材料については、価格下落率によって外国平均価格調整の基準値が異なっている

既収載の保険医療材料については、価格下落率によって外国平均価格調整の基準値が異なっている

 2016年度には、このルールについて「外国平均価格の算出方法を見直す」「直近2回の改定を通じた価格下落率に関わらず、外国平均価格の1.3倍以上の場合に価格を引き下げる」という見直しを行うことになります。ただし、価格の大幅な下落は医療機器メーカーの経営にも大きな影響を及ぼすため激変緩和措置が設けられます。

区分C1、C2の新規製品、保険適用を迅速化

 このほか材料価格制度については、次のような見直しを行うことも了承されています。

▽新機能(区分C1)、新機能・新技術(区分C2)の新規医療材料について、保険適用の迅速化を行う(関連記事はこちら

新機能の医療機器(区分C1、C2)について、実際に保険収載する時期を現行より1か月早める(年4回収載は維持する)

新機能の医療機器(区分C1、C2)について、実際に保険収載する時期を現行より1か月早める(年4回収載は維持する)

▽市場規模を踏まえた評価の導入に向け、予測販売数に関するより詳細なデータを集積し、「予測値と実際とを比較する方法の検討」などを行う(関連記事はこちら

▽複数のパーツで構成され、組み合わせて用いる品目については、原則としてパーツごとに保険適用希望書の提出を求める(組み合わせごとの提出は求めない)(関連記事はこちら

パーツで構成される医療機器について、2016年度以降は、パーツのみの保険適用希望書を出せば済むこととする

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▽診療報酬点数表の「放射線治療」(Mコード)に、「特定保険医療材料」の節を設ける(関連記事はこちら

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