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指定難病患者の「高額療養費算定基準」とレセプトへの「特記事項」への記載を整理―厚労省

2016.2.8.(月)

 厚生労働省は2日、指定難病患者などの医療費助成に関連して、「医療受給者証」などに所得区分が記入されるまでの間の取り扱いを延長することを都道府県などに通知するとともに、医療関係団体に協力を呼びかけました。

所得区分に応じ、医療費之自己負担上限などを設定

 昨年(2015年)1月から新たな難病制度がスタートしており、その柱は次の4本です。

(1)難病の治療・研究に関する基本方針を厚生労働大臣が策定する

(2)医療費の助成対象となる難病(指定難病)を大幅に拡大し(現在は306疾患)、公平かつ安定的な医療費助成を行う

(3)難病の医療に関する調査・研究を推進する

(4)療養生活環境の整備に向けた事業を行う(訪問看護の充実など)

 このうち(2)では、難病患者の負担軽減の視点から自己負担上限を従前の3割から2割に引き下げていますが、あわせて限りある財源を公平・公正に分配するため「所得の階層区分」別に負担上限額を設定するなどしています(高額療養費制度などを参考にする)。

指定難病患者に限りある財源を公平・公正に分配するための見直しが行われた(1)

指定難病患者に限りある財源を公平・公正に分配するための見直しが行われた(1)

指定難病患者に限りある財源を公平・公正に分配するための見直しが行われた(2)

指定難病患者に限りある財源を公平・公正に分配するための見直しが行われた(2)

 その際、難病患者世帯の所得を把握する必要があります。具体的には、患者・保護者が医療費助成の認定(支給認定)を申請する際、都道府県が医療保険者(健康保険組合や国民健康保険など)に所得区分を照会し、それを医療受給者証(いわば医療費助成が行われる難病患者であることの証明書)に記入します。医療機関では、医療受給者証の記載にそって患者自己負担を徴収します(原則)。

 ただし、例外的に「所得区分の記載がない医療受給者証」により難病医療費の助成を受けているケースもあることから、厚生労働省は今般、所得把握に関する事務について次のように取り扱う(延長する)こととし、医療関係団体に協力を求めています。

(A)2015年(平成27年)12月31日までに医療受給者証を交付した患者・保護者

 (a)所得区分の記載欄が空欄となっている医療受給者証があるときは、早急に患者・保護者に対して医療受給者証の提出を求め、所得区分が記載された医療受給者証への差し替えを行う

 (b)差し替えが間に合わない場合、高額療養費の算定基準額は次のように扱う(高額療養費の給付額の事後調整は行わず、食事療養標準負担額・生活療養標準負担額の還付に係る事後調整方法は別途通知)

 ・70歳未満の人:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%

 ・70歳以上の人(入院療養):4万4400円

 ・70歳以上の人(外来療養):1万2000円

 (c)ただし、70歳以上の現役並み所得者・医療機関に限度額適用認定証または限度額適用・標準負担額減額認定証を提出して特定疾病給付対象療養を受けた人は、特定疾病給付対象療養について所得区分に応じた算定基準額を適用して高額療養費の支給を行う

(B)●2016年(平成28年)1月1日以降に支給認定を行い、かつ医療受給者証の交付を行う患者・保護者

 ▽所得区分の把握については原則通りとし、保険者からの連絡の遅れなどにより所得区分が空欄の医療受給者証の交付をした場合には、Aの(b)(c)と同様の取扱いとする。

 ▽保険者から所得区分の連絡があり次第、早急に医療保険の所得区分を記載した医療受給者証へ差し替える

 なお、小児慢性特定疾患患者については、(B)の(b)の「高額療養費算定基準額」を「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」として取り扱うことになります。

 

 厚労省は、これに伴い指定難病患者などに対するレセプトの「特記事項」への記載は次のようになりますのでご留意ください。

医療受給者証への所得区分記載状況などに応じて、レセプトの特記事項欄への記載内容も変わるので注意が必要

医療受給者証への所得区分記載状況などに応じて、レセプトの特記事項欄への記載内容も変わるので注意が必要

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