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看護必要度や病棟群単位届け出、退院支援加算などの詳細が明らかに―2016年度診療報酬改定で厚労省

2016.3.4.(金)

 お伝えしているように、厚生労働省は4日、2016年度診療報酬改定に関する告示を行うとともに、都内で改定説明会を開催しました(関連記事はこちら)。

 引き続き、告示や関係通知、厚労省からの説明の中で明らかになった事項を紹介しましょう。ポイントは多数ありますが、例えば「DPCで病棟群単位届け出を行う場合には、10対1として機能評価係数Iを選択し、7対1病棟群に入院する患者については『出来高の加算』として上乗せされる」点などが注目されます。

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

経過措置後も7対1を届け出る場合、9月1から新評価票を使用する必要

 まず「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)についておさらいをすると、▽A項目の追加(無菌治療室治療、救急搬送後の入院を追加)▽B項目の見直し(認知症関連項目の追加など)▽C項目の新設―が行われました。こうした見直し後の評価票(新評価票)に基づいて重症患者をピックアップし、7対1病棟では「原則として重症患者割合が25%以上である」ことが必要となります(関連記事はこちらこちら)。

 この点、経過措置も設けられており、今年(2016年)3月末時点で7対1入院基本料を届け出ていれば「9月30日までは重症患者割合25%を満たしている」とみなされます。また、この経過措置期間中は現在の評価票(旧評価票)で看護必要度の評価を行うことが認められ、極論すれば重症患者割合が15%未満であっても構わないことになります。

 ただし、厚労省は「10月1日以降も7対1を届け出る場合には、少なくとも9月1日から『新評価票で看護必要度を測定する』『新評価票の内容を踏まえた院内研修を受講した者が評価を行う』必要がある」としているのでご留意ください。

入院料や加算によって「重症患者」の範囲が異なる点に注意

 一般病棟用の看護必要度は、一般病棟以外でも地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などでも「重症患者」の把握に活用されています。

 今回の改定で看護必要度の項目が見直されましたが、さまざまな入院料や加算の施設基準に影響が出ているので、それを整理しておきましょう。

▽7対1入院基本料:「A項目2点以上かつB項目3点以上」と「A項目3点以上」と「C項目1点以上」の患者割合(合計)が25%以上

▽急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算:「A項目2点以上かつB項目3点以上」と「A項目3点以上」と「C項目1点以上」の患者割合(合計)が6%以上

▽看護必要度加算:「A項目2点以上かつB項目3点以上」と「A項目3点以上」と「C項目1点以上」の患者割合(合計)が、加算1では24%以上、加算2では18%以上、加算3では12%以上

▽総合入院体制加算:「A項目2点以上」と「C項目1点以上」の患者割合(合計)が、加算1では30%以上、加算2でも30%以上、加算3では27%以上

▽地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料:「A項目1点以上」と「C項目1点以上」の患者割合(合計)が10%以上

▽回復期リハ病棟入院料:「A項目1点以上」の患者割合が5%以上

一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

回復期リハ病棟では、施設基準にある「重症患者(A項目1点以上)の割合」が、現在の10%以上から「5%以上」に緩和されている

回復期リハ病棟では、施設基準にある「重症患者(A項目1点以上)の割合」が、現在の10%以上から「5%以上」に緩和されている

 重症患者の対象が、一般病棟とその加算では「A項目2点以上かつB項目3点以上」「A項目3点以上」「C項目1点以上」、総合入院体制加算では「A項目2点以上」「C項目1点以上」、地域包括ケア病棟では「A項目1点以上」「C項目1点以上」、回復期リハ病棟では「A項目1点以上」と異なっている点に留意が必要です。

 また回復期リハ病棟では、重症患者割合が緩和(現行10%以上→改定後5%以上)されている点もポイントと言えそうです。

 なお、ICUとHCUではC項目は評価されません。

病棟群単位の届け出、やむを得ず転棟した場合でも10対1の点数を算定

 病棟群単位の入院基本料届け出(病棟群届け出)について、厚労省保険局医療課の担当者は「届け出は1回限り」であることを強調しています。例えば、今年4月1日に病棟群届け出を行い、その後、重症患者の確保などに成功し、今年9月1日に病院単位で7対1に復活したとします。しかし12月には、やはり7対1の施設基準を満たすことが難しくなった、という場合には病棟群届け出を行うことはできず、10対1への完全移行などを選択しなければならなくなります。

 ここで、病棟群届け出を行った場合には「7対1病棟群」と「10対1病棟群」ができますが、例えば「月平均夜勤72時間」については、「両方の病棟群で、ともに基準を満たす」必要があり、いずれか一方の群で基準を満たさない場合には、両方の病棟群で減算が行われます。

 また、▽急性期看護補助体制加算▽看護職員夜間配置加算―についても、「両方の病棟群で、ともに基準を満たす」必要があり、看護職員の傾斜配置は「それぞれの病棟群の中でしか認められない」ことになります。

病棟群単位の届け出を行った場合(7対1群と10対1群)、例えば「月平均夜勤72時間」要件を片方の群で満たせない場合、一般病棟全体(いずれの病棟も)で減算が行われる

病棟群単位の届け出を行った場合(7対1群と10対1群)、例えば「月平均夜勤72時間」要件を片方の群で満たせない場合、一般病棟全体(いずれの病棟も)で減算が行われる

 ところでDPCにおいて、病棟群届け出を行った場合の扱いが気になります。DPCでは7対1病院について高い機能評価係数Iがつくためです。この点について、厚労省保険局医療課の眞鍋馨企画官は次のように考えることを説明しました。

▽病棟群届け出を行う病院は10対1の機能評価係数Iを選択する

▽7対1病棟群に入院する患者については、所定点数に特定機能260点、専門259点、一般259点、一般(月平均夜勤時間調査減算)220点、一般(夜勤時間特別入院基本料)181点をそれぞれ加算する

 DPCでは、患者1人について「包括評価(DPC点数×医療機関別係数×入院日数)」+「出来高評価(手術や麻酔)」で算出された点数を請求します。7対1病棟群に入院する患者については、いわば後者の「出来高評価」の中で上記の点数を算定するイメージです。

病棟群単位の入院基本料届け出、今年(2016年)4月から来年(2017年)3月までの1年間に、1回に限り認められる

病棟群単位の入院基本料届け出、今年(2016年)4月から来年(2017年)3月までの1年間に、1回に限り認められる

 なお、病棟群届け出の場合、7対1病棟群と10対1病棟群との間での転棟は原則として認められません。しかし、やむを得ずに転棟(10対1の入院患者が、7対1での治療が必要な重篤な状態になった場合など)が行われることもあります。この場合には、7対1に転棟後も10対1の点数を算定することになります。また逆に7対1から10対1に転棟した場合には、「転棟の前月分から入院期間を通じて10対1入院基本料を算定する」ことになります。

退院支援加算1、施設基準の詳細が明らかに

 2016年度改定では、退院支援に関する評価が大きく見直されました。その中でも現在の退院調整加算の施設基準を厳格化した「退院支援加算1」(一般病棟などでは600点、療養病棟などでは1200点)に注目が集まっています。

 退院支援加算1を届け出るためには、次のような施設基準を満たす必要があります。

(1)退院支援部門を設置し、「専従の社会福祉士1名以上+専任の看護師」または「専従の看護師1名以上+専任の社会福祉士」を配置する

(2)病棟に、「退院支援および地域連携業務に専従する看護師または社会福祉士」を専任で配置する(1人につき2病棟、120床まで)

(3)20以上の医療機関や介護サービス事業所などと連携し、(1)(2)の職員と連携先の職員が年3回以上の頻度で面会し、情報共有などを行う

(4)過去1年間の介護支援連携指導料の算定回数が、「一般病棟の病床数の15%」+「療養病棟の病床数の10%」を上回る

 このうち(2)として配置される病棟専任の看護師・社会福祉士が(1)の退院支援部門の職員(専任に限る)を兼ねても良いことが明確にされました。

 また(2)の病棟専任看護師・社会福祉士は2病棟・120床までを兼務することが可能ですが、その際「20床未満の病棟・治療室」について「病棟数の算出には含めない」が、「病床数の算出には含める」とされている点に注意が必要です。

 さらに、(3)の連携医療機関・介護事業所などについて、「特別の関係」(開設者、代表者が同一、代表者同士が親族、役員の30%以上が親族同士であるケース)にあるところは除外されます。

【更新履歴】

 記事中、「病棟専任の看護師・社会福祉士が(1)の退院支援部門の職員を兼ねても良い」とあります。専従職員であれば、他の部門の職員を兼任できないのは当然ですが、明確にするために「退院支援部門の職員(専任に限る)を兼ねても良い」と追記しました。本文は修正済です。

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