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【16年度改定答申・速報2】専従の退院支援職員配置など評価する「退院支援加算1」、一般600点、療養1200点―中医協総会

2016.2.10.(水)

 お伝えしているとおり、2016年度診療報酬改定の全容が明らかになりました。

 退院支援に向けて、専従の退院支援職員を配置するなどの体制を敷いている医療機関を評価するための「退院支援加算1」(新設)は、一般病棟では600点、療養病棟では1200点に設定されました。

 また救急医療管理加算1は900点(100点増)に引き上げられ、一方、同加算2は300点(100点減)に引き下げられました。

 さらに、回復期リハ病棟におけるアウトカム評価や在宅医療見直しの詳細も明らかになっています。

退院支援加算2(現在の退院調整加算)、一般190点、療養635点に設定

 2016年度改定で大きな見直しが行われた診療報酬項目として「退院調整加算」が挙げられます。退院支援に向けた体制をより強化している医療機関を高く評価し、現在の「入院日数に応じた評価」は廃止されるとともに、名称が「退院支援加算」に変更されています(関連記事はこちら)。

 退院支援加算は、加算1・加算2・加算3の3区分ですが、ここでは一般の入院患者が対象となる加算1と加算2について見てみましょう(加算3はNICUからの退院支援に限定)。

 退院支援加算1は「現在の退院調整加算の体制を強化したもの」、退院支援加算2は「現在の退院調整加算の名称変更したもの」と言え、点数は次のように設定されました。

【退院支援加算1】(イ)一般病棟の場合は600点、(ロ)療養病棟の場合は1200点

【退院支援加算2】(イ)一般病棟の場合は190点、(ロ)療養病棟の場合は635点

 両者の違いを見ると、加算1では▽2病棟に1名以上、退院支援に専従の職員を配置する▽20か所以上の連携医療機関・介護施設などの職員と年3回以上の面会を実施する▽ケアマネとの連携実績―が求められるほか、退院困難患者の抽出や患者・家族との面談をする期間などがより厳しく設定されています。

回復期リハのアウトカムに基づく疾患別リハ料の算定制限、17年1月から実施

 回復期リハビリ病棟について「アウトカムが一定水準に達しない場合には、疾患別リハビリ料の算定を1日6単位に制限する(通常あれば9単位まで算定可能)」という見直しが行われます(関連記事はこちら)。

 この「アウトカムの一定水準」が何を指すのか注目されていますが、「1人当たりの1日のリハ提供単位」と「1入院当たりの平均的なADLの伸び(次の式で計算)」を3か月ごとに集計し、2回連続して「1人・1日当たりリハが6単位以上、ADLの伸びが27点未満」となった場合には水準を満たしていないと判断される(リハ算定が制限される)ことになります。

 ADLの伸びは次の式で計算し、リハの効果が出にくい高齢者や認知症患者は計算から一定程度除外されます。

Σ【回復期リハ病棟から退棟した患者の入院時FIM運動項目得点-退院時FIM運動項目得点】 ÷ Σ【回復期リハ病棟から退棟した患者の退棟までの日数÷状態に応じた上限値】

 なお、アウトカム評価は今年4月以降の入院患者について、今年7月からの実績を評価し、来年(2017年)1月1日からの実施となります(7-9月の3か月分、10-12月の3か月分を集計し、7-12月の半年の実績を評価(a)、同様に10-12月の3か月分、17年1-3月の3か月分を集計し、10-3月の半年の実績を評価(b)、abの2回連続で前述の水準を下回った場合に、17年4月から疾患別リハ料の算定が制限される)。

【変更履歴】

 アウトカムの判断についてやや誤解を招く記述がありましたので、上記のように追記いたしました。

 

 また、7対1・10対1一般病棟で算定可能なADL維持向上等体制加算については、施設基準を厳格化(常勤の理学利用法について、現在は「専従1名以上」のところ「専従2名以上または専従1名・専任1名以上」とする)すると同時に、点数を80点(現在の25点から3倍以上)に引き上げました。

 さらに、乳がんでリンパ節郭清などが行われた場合に発症が懸念される「リンパ浮腫」について、複合的治療を評価する「リンパ浮腫複合的治療料」を新設しました。

(1)重症(国際リンパ学会による病期分類II期以降)では1日200点(治療開始月と翌月は2か月を合わせて11回、以後は月1回算定できる)

(2)(1)以外では1日100点(6か月に1回算定できる)

救急医療管理加算、加算1は900点、加算2は300点に設定

 2016年度改定では、救急医療の充実が図られます。

 まず、重症な救急患者に対する初期の十分な検査・濃密な治療を評価する「救急医療管理加算」のうち、「加算1」の点数が現在の800点から900点に引き上げられます(1日につき、7日まで)。

 「加算1」は、意識障害、広範囲熱傷など重症患者が算定対象となっていますが、ここに「緊急カテーテル治療・検査」(急性心筋梗塞など)「t-PA療法」(脳卒中)が追加されます。

 一方、「意識障害や広範囲熱傷などに『準ずる』重篤な状態」の患者を算定対象とする「加算2」では、点数が現在の400点から300点に引き下げられます(1日につき、7日まで)。2014年度の前回改定では、『準ずる状態』という曖昧な定義を不適切に解釈し、単なる発熱患者も『準ずる』としていた事例などが散見されたため、加算2が新設され、低い点数が設定されたという経緯があります。

身体疾患で入院した認知症患者、多職種チームによる介入などを評価

 2016年度改定では、さらなる高齢化の進展と認知症患者の増加を見据えて「認知症患者を積極的に診療する医療機関の評価」が充実されます。

 まず、身体疾患で入院した認知症患者(自立度III以上)に対し、病棟でのケアや多職種チームが介入することを評価する「認知症ケア加算」が新設されます。点数(1日当たり)は次のように設定されましたが、身体拘束を実施した場合、その日の点数は60%に減額されます(40%の減額)。

▽認知症ケア加算1:(イ)14日以内は150点、(ロ)15日以上は30点

▽認知症ケア加算2:(イ)14日以内は30点、(ロ)15日以上は10点

 より高い評価である「認知症ケア加算1」を算定するためには、▽認知症治療の経験と知識が十分ある専任の常勤医師▽認知症看護経験があり一定の研修を修了した専任の常勤看護師▽認知症患者の退院調整経験を持つ専任の常勤社会福祉士・精神保健福祉士―で構成される認知症ケアチームの設置や、適切な看護計画の作成・実施などが必要です。

 また、認知症患者に対する外来診療を適切に評価するため「認知症地域包括診療料」(月1回・1515点)と「認知症地域包括診療加算」(再診1回につき30点、診療所のみ算定可能)が新設されます。2014年度の前回改定で新設された「地域包括診療料」(月1回1503点)と「地域包括診療加算」(再診1回につき20点、診療所のみ算定可能)よりも手厚い評価となっています。

 対象患者は「認知症以外に1以上の疾患を有する」「内服薬5種類以下、うち向精神薬3種類以下」の要件を満たす認知症患者で、施設基準は「地域包括診療料」と同一です。

 ところで、地域包括診療料は「認知症、高血圧症、脂質異常症、糖尿病のいずれか2疾患以上」に罹患している患者が対象です。すると「例えば認知症と高血圧症」に罹患している患者は、地域包括診療料と認知症地域包括診療料のいずれを算定すればよいのか?という疑問がわきます。この点、認知症地域包括診療料では内服薬の要件(前述)があるため、若干、両者の射程は異なりますが、いずれの要件をも満たす場合には「どちらの点数を選択してもよい」と厚労省は考えています。

在総管、1つの施設に月当たり何人訪問しているかで点数設定

 2016年度改定で大きな見直しが行われる分野としては、「在宅医療」も忘れてはいけません。

 在宅時医学総合管理料(在総管)などについて、これまでの「同一日に、同一建物に居住する複数の患者に複数したか」に着目していた点数設定を、言わば「1つの施設について、1か月当たりの訪問患者が何人か」(単一建物診療患者の人数)に着目するものに見直します。また重症患者(末期がん、人工呼吸器使用、指定難病など)に対する評価も充実しており、例えば機能強化型の在宅療養支援診療所(病床なし)が算定できる在総管の点数は次のようになっています。

【重症患者に月2回以上訪問】

▽1つの建物に居住する訪問患者が1人:5000点

▽同2-9人:4140点

▽同10人以上:2640点

【月2回以上の訪問(重症患者以外)】

▽同1人:4200点

▽同2-9人:2300点

▽同10人以上:1200点

【月1回訪問】(いわば、在総管などの月2回以上訪問という要件を廃止)

▽同1人:2520点

▽同2-9人:1380点

▽同10人:720点

 また機能強化型の在支診や機能強化型の訪問看護ステーションにおいて、「看取り」実績の中に「超重症児・準超重症児の医学管理実績(訪問看護では利用者数)」も含めることとなり、在宅療養を行う重症の小児に対する医療が充実することが期待されています。

 こういった見直しにより、在宅医療提供がどのように変化するのか(あるいはしないのか)注目していく必要がありそうです。

療養病棟入院基本料2、「医療区分2・3」の患者が5割以上必要

 改定内容は多岐にわたりますが、このほか注目すべきポイントとして次のような点があげられます。

●療養病棟入院基本料2について、新たに「医療区分2または3の患者割合が5割以上」という施設基準を設定。ただし医療区分2・3の割合、または看護配置(25対1)のみを満たさない病棟について、「看護30対1を満たす」などの基準を満たせば2年間(2018年3月まで)は所定点数の95%を算定できる(関連記事はこちら)。

●医師事務作業補助体制加算1について、配置に従って点数を5-10点引き上げるとともに、医師の指示に基づく診断書作成補助・診療録代行入力については「医療機内での実施場所」を問わない(静穏な部屋などでの業務を可能とする)こととする。さらに、特定機能病院でも同加算1を算定可能とする(加算2は算定不可)。

●小児入院医療管理料3・4・5を届け出ている医療機関のうち、NICUからの退院患者(過去1年間に5件以上)と超重症児・準超重症児(過去1年間で10件以上)の受け入れ実績のあるところについて、「重症児受入体制加算」(1日につき200点)を新設する。

●医科・歯科連携を推進するため、「周術期口腔機能管理後手術加算」の点数を現在の100点から200点に引き上げるとともに、院内・院外の歯科医師が栄養サポートチームに参加した場合の評価「歯科医師連携加算」(50点、医科)、「栄養サポートチーム連携加算」(60点または50点、在宅歯科)を新設する。

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