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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2016年度診療報酬改定、要介護高齢者などの目標設定支援などしなければ、疾患別リハ料を減算―中医協総会

2016.2.10.(水)

 中央社会保険医療協議会の総会が10日、2016年度診療報酬改定に関する答申を行いました(関連記事はこちら)。

2月10日に開催された、「第328回 中央社会保険医療協議会 総会」

2月10日に開催された、「第328回 中央社会保険医療協議会 総会」

 リハビリについては「アウトカムの低い回復期リハ病棟での疾患別リハビリ料の算定制限」が注目されますが、このほかに▽廃用症候群リハの創設▽要介護高齢者の維持期リハの介護保険への移行促進―なども重要ポイントです。

 また、入院基本料の施設基準である「月平均夜勤72時間要件」のみを満たせない病院について、救済措置の拡充が行われました。

一定期間内にリハの目標設定支援などしなければ、疾患別リハビリ料を減算

 リハビリの見直しについて速報2でもお伝えしていますが、次のような見直しも行われます(関連記事は
こちらこちら)。

▽回復期リハビリ病棟について体制強化加算2(120点)を新設。この加算を算定する場合には、病棟の専従医師が一定程度、病棟外業務を実施することができる(他の病棟の専従医師とすることは不可)。

▽廃用症候群リハビリ料(リハビリ料I:180点、リハビリ料2:146点、リハビリ料III:77点)を新設。現在の、脳血管疾患等リハビリ料(廃用症候群の場合)と同じ点数設定で、I、II、IIIのそれぞれの施設基準も同様に設定される。対象患者は「治療の有無を問わず、急性疾患などに伴う安静による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力、日常生活能力が低下している者」で、廃用症候群の診断・急性増悪から原則として120日まで算定できる。

▽要介護被保険者の維持期リハビリについては、介護保険への完全移行が2年間延期されましたが、要介護費保険者に対する維持期の脳血管疾患等・廃用症候群・運動器リハ料は「60%」に減算される(現在の90%から厳格化)。また、医療機関が介護保険のリハ実績を持っていない場合には、さらに「80%(つまり本来の点数の48パーセント)」に減算される。

▽要介護被保険者の維持期リハを介護保険へ移行させるため、新たに「目標設定等支援・管理料」(初回250点、2回目以降100点)が新設される。これは、患者に対して「リハビリを通じて何を実現したいのか」という目標を設定する際の支援や、介護保険のリハへの紹介などを評価するもの。なお、標準的算定日数の3分の1経過後に、この点数を算定せず(目標を定めず、介護保険リハの紹介などもせず)に疾患別リハを提供した場合には、疾患別リハ料が90%に減算されるのでご注意を。

▽摂食機能療法の対象を、「内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影で他覚的に嚥下機能低下が確認でき、医学的に接触機能療法の有効性が期待できる患者」にも広げる。さらに経口摂取回復促進加算について、より緩やかなアウトカム基準である加算2(20点)を新設する(加算1は185点)。

療養病棟1の「在宅復帰機能強化加算」、他院からの患者受入を促進

 療養病棟については、速報2でお伝えした内容(療養病棟2の施設基準厳格化や医療区分の精緻化)のほかに「在宅復帰機能強化加算」の見直しが行われます(関連記事はこちら)。

 より「他院の急性期などの病棟」→「療養病棟」→「自宅」という流れを強化することが狙いで、施設基準のうち次の点が見直されました。

▽入院期間が1か月未満の退院患者も在宅復帰率(50%以上)の計算に含める。ただし「自院の他病棟から転棟した患者」は、入院期間1か月以上の患者のみを計算対象とする。

▽病床回転率について、「一般病棟・地域包括ケア病棟から当該病棟に入院し、自宅などに退院した年間の患者割合が10%以上」と改める

 この見直しには半年間の経過措置がありますが、仮に加算を算定できなくなった場合、7対1や地域包括ケア病棟の「在宅復帰先」にカウントされなくなります。当該療養病棟はもちろん、連携する7対1病院にも影響が出ると考えられます(関連記事はこちら)。

「月平均夜勤72時間のみを満たせない」病院の救済措置を充実

 看護師の月平均夜勤時間の計算方法を見直す点については、既にお伝えしたとおりですが(関連記事はこちら、月平均夜勤72時間のみを満たせない場合の救済規定(看護師確保が難しい中では、この要件のみが非常に厳しくなっている、という声が医療現場から出ているため)について、次のような見直しが行われます(関連記事はこちら)。

▽月平均夜勤時間のみを満たさない場合の減算(月平均夜勤時間超過減算、3か月間のみ算定可能)について、現在の「20%減算」から「15%減算」に緩和する。

▽月平均夜勤時間超過減算も算定できなくなった(3か月超過)場合に対し、「夜勤時間特別入院基本料」(入院基本料の70%、ただし特別入院基本料+10点が下限)を新設する。

後発医薬品使用体制加算、計算方法を「数量」ベースに変更

 2016年度改定では、効率化の一環として「後発医薬品の使用促進」も重要ポイントの1つとなり、このうち病院については「後発医薬品使用体制加算」の見直しが重要でしょう。

 この加算は、これまで「採用品目数に占める後発品の割合」に着目した点数設定がなされていましたが、他の加算などと同様に「数量」に着目した点数設定に組み替えられます。具体的には、「後発品の数量 ÷(後発品有りの先発品と後発品の数量)」を計算し、70%以上であれば42点(加算1)、60%以上であれば35点(加算2)、50%以上であれば28点(加算3)が算定できます。

 なお「数量」は、薬価基準の規格単位(●グラム当たり○円や●ml当たり○円とされているところの、●グラムや●mlが規格単位)で計算されます。単純に「使用量が多ければ、後発品の数量シェアが大きくなる」わけではない点に留意が必要です。例えば、A医薬品とB医薬品を同じ100グラムずつ使用しても、規格単位がAは1グラム、Bは10グラムであれば、数量はAとBで10倍異なる(Aのほうが10倍大きい)のです。

眼内レンズ用いる水晶体再建術、片眼は2万2096点、両眼は3万7054点に

 このほか、ポイントとなる診療報酬項目の見直し内容を見ると、次のようになっています。

●外来化学療法加算について、それぞれ所定点数を15歳未満では40点、15歳以上では20点引き上げた。

●CT、MRI、PETの撮影料を次のように見直した(関連記事はこちら)。

【コンピューター断層撮影】(イ)64列以上のマルチスライス

(1)施設共同利用(10%以上)において行われる場合:1020点

(2)その他の場合:1000点(従前から据え置き)

【磁気共鳴コンピューター断層撮影】(1)3テスラ以上

(イ)施設共同利用(10%以上)において行われる場合:1620点

(ロ)その他の場合:1600点(従前から据え置き)

【ポジトロン断層撮影など】:施設共同利用率を30%以上に引き上げ(現在は20%以上)

●人工腎臓の点数について、次のように見直した。

【慢性維持透析を行った場合】

(イ)4時間未満:2010点(←2030点)

(ロ)4時間以上5時間未満:2175点(←2195点)

(ハ)5時間以上:2310点(←2330点)

【慢性維持透析濾過(複雑なもの)を行った場合】:2225点(←2245点)

●短期滞在手術等基本料について、例えば次のような点数の見直しを行った(関連記事はこちら

▽水晶体再建術1眼内レンズを挿入する場合 ロその他のもの(片眼):2万2096点(←2万7093点)

▽水晶体再建術1眼内レンズを挿入する場合 ロその他のもの(両眼):3万7054点

▽ヘルニア手術5鼠径ヘルニア(3歳未満):3万5052点

▽ヘルニア手術5鼠径ヘルニア(3歳以上6歳未満):2万8140点

▽ヘルニア手術5鼠径ヘルニア(6歳以上15歳未満):2万5498点

▽ヘルニア手術5鼠径ヘルニア(15歳以上):2万4466点

●障害者施設入院基本料について、脳卒中患者(医療区分1と2)の評価を次のように設定する

▽7対1、10対1:医療区分2では1465点、医療区分1では1331点

▽13対1:医療区分2では1317点、医療区分1では1184点

▽15対1:医療区分2では1219点、医療区分1では1086点

●特殊疾患病棟入院料・入院医療管理料について、脳卒中患者(医療区分1と2)の評価を次のように設定する

▽特殊疾患病棟1:医療区分2では1857点、医療区分1では1701点

▽特殊疾患病棟2:医療区分2では1608点、医療区分1では1452点

▽入院医療管理料:医療区分2では1857点、医療区分1では1701点

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