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月平均夜勤72時間、7対1・10対1以外では「8時間以上の短時間夜勤者」も計算に含める―中医協総会

2016.2.3.(水)

 2月3日の中央社会保険医療協議会・総会では、2016年度の診療報酬改定に向け最終の議論を行いました。厚生労働省からは個別改定項目(短冊)の修正版が示されています。

 すでにお伝えしたように、7対1入院基本料の重症患者割合が「200床以上」「200床未満」の2段階に設定されましたが、このほかに入院基本料全体の施設基準である「月平均夜勤72時間」の計算式について具体的な数字が示されています。

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

2月3日に開催された、「第327回 中央社会保険医療協議会 総会」

7対1・10対1では「夜勤16時間の看護師」が計算対象に追加される

 2016年度改定では、入院基本料の施設基準の1つである「月平均夜勤72時間」要件について計算式の見直しが行われます(関連記事はこちらこちらこちら)。3日には、「7対1・10対1病棟ではほぼ現行どおり」「それ以外の病棟では、短時間勤務の看護師も一定程度計算に含める」という修正案が示されました。

▽7対1・10対1では、計算対象に「月当たり夜勤時間が16時間未満の者は含めない」「ただし短時間正職員で、月当たり夜勤時間が2時間以上の者は含む」(現行と比べて、夜勤16時間の看護師を計算に含めることになる)

▽それ以外では、計算対象に「月当たり夜勤時間が8時間未満の者は含めない」(現行と比べて、夜勤8-16時間の看護師が計算に含まれることになる)

月平均夜勤時間の計算において、7対1・10対1は現行からわずかな変更、それ以外では「月当たり夜勤が8時間以上」の者も含めることに

月平均夜勤時間の計算において、7対1・10対1は現行からわずかな変更、それ以外では「月当たり夜勤が8時間以上」の者も含めることに

 13対1以下の病院では看護師の確保がより困難なことから、「夜勤をできるだけ多くの看護師で分担するために、一定程度、短時間夜勤の看護師も計算に含める」ことになったとものと考えられます。

 この見直しについて、支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「少ない看護師で月夜勤72時間要件を満たせることになり、一部の看護師で夜勤負担がより過重になる可能性もある」と指摘し、早急な結果検証を行うべきとの考えを強調しました。

 これに対し厚生労働省保険局医療課の宮嵜雅則課長は、「看護師の労働環境悪化は好ましくない。しっかり検証する」ことを明言。支払側も了承しています。

 なお、菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)は、「7対1・10対1以外の病棟について、計算対象から除外する看護師は『月当たり夜勤時間が12時間未満の者』とすべき」と提案しましたが、診療側・支払側の双方から「8時間未満の者を除外するとの厚労省案でよい」との考えが示され、菊池専門委員の提案は却下されています。

在宅専門医療機関、外来と同様の「開放性」が必要

 このほかに次のような点について短冊の修正が行われています。

▽総合入院体制加算2と同加算3の施設基準において、「精神疾患診療体制加算2」「救急搬送患者における一定期間内の入院精神療法」の算定件数が一定以上という要件が新設されますが、ここに「救命救急入院料の注2の加算(自殺企図などによる重篤な患者で、精神疾患を有するものなどに対して、精神保健指定医などが診断治療を行った場合の加算)」もカウント対象に含めることになります(関連記事はこちら)。

▽在宅専門医療機関の「開設要件」について、「往診や訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由などなく断らない」という項目が明示されました(修正前にも同様の規定がありましたが、それがより明確になりました)。在宅専門医療機関は、保険医療機関に求められる「外来診療」をしない、極めて例外的な存在です。通常の保険医療機関に求められる開放性(外来診療を行い広く患者を受け入れる)を担保するための規定と言えます(関連記事はこちら)。

▽ニコチン依存症管理料について、一定の若年者も対象とするため「35歳以上の者」について1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマンインデックス)が200以上である縛りが存続し、逆に34歳未満の者ではブリンクマンインデックスが200未満であっても算定対象となります(関連記事はこちら

 

 さらに、かかりつけ歯科医師、かかりつけ薬剤師・薬局の評価について、短冊では「敷地内禁煙」などが盛り込まれていましたが、宮嵜医療課長は「歯科医院や薬局では、さまざまな形態がある。一律に禁煙などを規定するのは難しい」として、こうした規定を削除しています。

 なお、診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)から「訪問診療について、1患者1医師という構造を一部緩和してほしい」と強い要望がありましたが、支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「今後の検討課題」であるとし今回改定での見直しには慎重な姿勢です。

 「訪問診療は1患者1医師とする」という構造は医療課長通知などで規定されていますが、「複数医師はどこまで認めるのか」「どういった場合に認めるのか」「訪問回数の増加が見込まれるのではないか」など、検討すべき事項が数多くあるので、拙速な議論は避けるべきでしょう。

ここに来て「M項目をC項目に名称変更しては」と中川委員

 ところで、お伝えしているように一般病棟用の重症度、医療・看護必要度にM項目が新設されます(関連記事はこちら
こちら)。この「M」について特段の意味はないようですが、MeicalのMなどと想像できます。

 これについて診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は「2018年度の次回改定でも看護必要度は議論になる。その際、項目の名称に意味を持たせるべきではない。余計な解釈がなされないようC項目に変更してはどうか」と提案しました。最終段階に来てからの突然の提案ですが、答申までにどう判断されるのか気になるところです。

 ちなみに同じ診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、「名称はM項目のままでよい」とコメントしています。

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