全自病の逸見会長、新専門医制度のスタートを延期して、医師偏在の是正を改めて要望
2016.4.15.(金)
地域医療構想は「地域の医療ニーズと病床をマッチさせる仕組み」である。医師・専門医についても同様で、地域の医療ニーズとのマッチを考慮して調整するべきで、そのために新専門医制度のスタートは延期すべきである―。
全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は、14日の定例記者会見でこのような考えを改めて強調しました。
地域の医療ニーズを把握し、各診療科ごとの専門医必要性を分析すべき
新専門医制度は、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を第三者機関(日本専門医機構)で統一して行うもので、来年(2017年)4月から養成(研修)がスタートする予定です。
ただし「地域の医師偏在を助長するおそれがある」との指摘が強く、現在、厚生労働省の社会保障審議会・医療部会の下に設置された「専門医養成の在り方に関する専門委員会」で偏在是正に向けた取り組みの検討が進められています(関連記事はこちらとこちら)。
しかし14日の会見で邉見会長は、改めて「延期すべき」との考えを強調しました(関連記事はこちら)。
邉見会長は、「地域医療構想のように、医師・専門医についても地域のニーズとマッチさせた分析を行うべきではないか。それを待ってから新専門医制度をスタートさせても遅くない」旨を説明しています。
地域医療構想や病床機能報告制度は、地域の医療ニーズを細かく分析して必要病床数を計算し、そこに実際の病床を合わせ(調整)ていこうという仕組みです。邉見会長は、医師・専門医についても、地域の医療ニーズをNDB(National Data Base)を用いて詳細に分析し、「ある地域において、●●科の専門医は何人必要、◆◆科の専門医は何人必要」という絵柄をまず書くべきと提案します。一方で、医学生や初期臨床研修医の「どの診療科の専門医を目指しているのか」を調べ、両者を勘案して制度を設計すべきと訴えました。
さらに、「プロフェッショナルオートノミーが十分に機能していないことが明らかになった。プロフェッショナルオートノミーが機能していれば、そもそも診療科・地域の偏在は生じていなかった。国がもう少し関与すべきではないか」との見解も披露しています。
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