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医学部入学定員の「地域枠」、運用厳格化で医師偏在是正を―医師需給分科会で一戸構成員

2016.3.31.(木)

 「地域枠」で医学部に入学した学生は、医師免許取得後も地域で初期臨床研修を受け、その後も地域で診療に従事する傾向が強い。医師の地域偏在を是正するために、卒業後に一定期間、大学が設置されている県内で勤務すること求めるなど、「地域枠」の運用を厳格化すべきではないか―。

 31日に開かれた医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、一戸和成構成員(青森県健康福祉部長)がこのような提言を行いました。

3月31日に開催された、「第4回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」

3月31日に開催された、「第4回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」

地方の医師不足・偏在はたいへん深刻

 医師の地域偏在がクローズアップされる中で、分科会では「偏在を是正するためにどのような方策をとるべきか」というテーマも重要な検討課題の1つになっています。

 30日の分科会で一戸構成員は、「青森県内では、ほぼすべての医療圏で医師数が全国平均を下回っているなど、地域の医師不足はたいへん深刻である」と指摘。医師不足・偏在を是正するために次のような方策を検討すべきと提言しました。

(1)卒業後、原則として大学の設置されている県内で一定期間勤務することを担保するような措置を講じるなど、「地域枠」の運用を厳格化する

(2)医学部の定員を医師が不足する都道府県に傾斜して設定する

(3)初期臨床研修の募集定員について、医師不足の都道府県に多く割り振る傾斜配分とする

(4)新専門医の募集定員について、▽都道府県の医師不足の状況▽地域の人口▽症例数―などの基準によって必要な数を都道府県ごとに設定するなどし、超過分は保険医登録を認めないなどの措置を通じて、数年かけて都道府県間の医師数の均てん化を講じる

(5)病院の管理者や各種法人の理事長の要件などに「医師免許取得後10年目以降に、一定期間、医師不足地域で臨床に従事すること」などを盛り込む

 このうち(1)は、弘前大学医学部の学生について調査・分析した結果に基づく提言です。それによると、弘前大学医学部に地域枠で入学した学生は、青森県内で初期臨床研修を受ける割合が8割を超える一方、地域枠以外では25%弱に止まります。また弘前大学出身の医師は、県外医学部出身の医師に比べ、臨床研修終了後も青森県内に勤務する割合がほぼ3倍であることが分かりました。

 このように青森県では「地域枠」の充実が地域偏在に有効なようですが、他県では異なる状況もあるようです。そこで、一戸構成員は「地域枠の厳格運用」を強く求めました。

 この提言に対し文部科学省高等教育局医学教育課の寺門成真課長は、「卒業後の医師のキャリアに関わる部分について厚労省が何らかの措置を講じるのであれば、文科省としても検討していく」と前向きな考えを述べています。

新専門医制度と地域偏在、分科会と専門委員会で連携して議論

 また(4)の新専門医制度については、医療現場から「地域偏在を是正する可能性がある」との強い指摘があり、社会保障審議会・医療部会の「専門医養成の在り方に関する専門委員会」で国・都道府県・日本専門医機構の3層構造で、偏在を助長しないようなチェックを行っていく方針が確認されたところです(関連記事はこちら)。

 ところで整形外科領域については、地域での研修を促進するために「地域部の募集定員を都市部よりも優遇する(都市部は過去5年間実績の1.2倍まで専攻医を募集できるが、地方部では過去5年間実績の2倍までの募集を認める)」という措置が採られます。

 しかし、一戸構成員は「症例数・指導医数をベースに専攻医定員を計算すると20人になるが、過去5年間の実績の2倍として計算すると12人に減少してしまう」ことを指摘。「このままでは地域偏在がますます進んでしまう」と強い危機感を訴えました。

 31日の分科会でも、「新専門医制度」と「地域偏在の是正」に焦点を合わせた議論が行われ、中長期的な課題(例えば今後、専攻医定員数をどう考えていくのかなど)については、分科会と専門委員会が連携して議論していくことになる見込みです。

医師偏在の是正に向けた論点、医療従事者や患者にも一定の制約を検討

 医師の地域偏在是正に関しては、厚労省から「要因と論点」を整理した資料も提示されています(関連記事はこちら)。

 例えば「医学部卒業後の勤務地として、出身地を選択する傾向がある」といった要因については、一戸構成員が指摘した「地域枠の強化など」が論点として挙げられており、今後、より具体的な対策を検討していくことになります。メディ・ウォッチでは次の論点に注目しています。

(a)医師の資格や専門性に応じた一定の公益的な業務の義務付け(例えばフリーランスの医師増加に対応する方策を検討するための論点)

(b)多額の紹介料を要するフリーランス医師や人材紹介業者などへの対応(同)

(c)地域における診療機能(診療科、診療形態・施設など)の需要を大きく超えるような診療機能への就業・開設についての一定の制限

(d)必要な医療へのアクセスは確保しつつも、患者の利便性のための受診についての一定制限

 これらは医療従事者や患者・国民に一定の制約を付加するもので。日本医師会と全国医学部長病院長会議会長による『医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言』の中で「医師の地域・診療科偏在の解決のためには、医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならない」ことが明記されているとおり、医療をより「公共的なもの」と捉える考え方が強くなっていると言えるのではないでしょうか。

 (c)について今村聡構成員(日本医師会副会長)は、「制限」という表現に難色を示したものの、「地域で協議した上で『●●科はもう十分である』と制限をかけられる仕組みがあってもよい」との考えを示しています。

 また(d)の内容について厚労省医政局地域医療計画課の迫井正深課長は、「夜間に救急外来を受診し『専門医に診てもらいたい』と要望する患者がいたとして、緊急性があれば別だが、本来は通常の診療時間帯に受診するのが筋であろう。そうした点を今後、議論してほしい」と説明しています。

 なお厚労省医政局の神田裕二局長は、「本来、医療法に関する事務は自治事務(都道府県が自ら具体的な内容を決める)であると捉えているが、緊急性があるケースや重要なケースでは、国が強く助言することも必要と考えている」と述べ、医師偏在の是正に向けた取り組みについて、国も積極的に乗り出す考えを示しています。

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