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熊本地震で診療録が滅失した医療機関など、2016年4月分の診療報酬を「概算請求」することも可能―厚労省

2016.4.28.(木)

 平成28年熊本地震では、多くの医療機関も被災されました。このため一時的に人員の確保が難しかったり、インフラに支障が出ている医療機関も少なくありません。さらに通常診療に加えて被災者対策を行わなければなりません。

 このため厚生労働省は27日に、診療報酬などの請求事務について特別の取り扱いを行うことを固めました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 具体的には、一定の要件を満たした場合には2016年4月分について「概算請求」を行うことを認め、通常請求においてもレセプトの提出基準を一定程度猶予するとしています。

「過去の支払実績」と「診療実日数」から、当該月の請求額を「概算」で確定

 概算請求とは、「過去の支払実績」に当該月(今回は2016年4月)の診療実日数を掛けたもの請求する方法です。支払額が実際の診療内容に基づく金額とは異なる(確定する)ことになるため、この請求方法はごく限定的にしか認められません。具体的には、次のいずれかの医療機関に限定されます。

(1)平成28年熊本地震で、診療録およびレセプトコンピュータなどを滅失・汚損・既存した医療機関など

 →(a)2016年4月14日以前の診療分は概算請求することが可能

 →(b)2016年4月15日以降に診療を行った場合には、原則として通常請求を行う

(2)災害救助法適用地域に所在し、2016年4月15日以降に診療を行った「医科」の医療機関で

 →通常請求が困難な場合には、2016年4月の1か月分を通して概算請求することが可能

概算請求を選択する場合には、5月13日までに届け出を

 概算請求を選択する場合には、5月13日までに審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会)に届け出ることが必要です。

地震直後の診療分については、患者数の増加などを考慮

 請求額は次のように計算します。(1)の「診療録滅失」などに該当するものの、(2)にある災害救助法適用地域に所在しない医療機関では、概算請求にあたり「罹災証明書」「罹災届出証明書」も併せて提出することが必要です。

【(1)の(a)に該当する場合】

●入院(2015年12月-2016年2月の入院分診療報酬等請求額) / 91日 × 2016年4月1-14日までの入院診療実日数

●外来(2015年12月-2016年2月の外来分診療報酬等請求額) / 70日 × 2016年4月1-14日までの外来診療実日数

【(2)に該当する場合】

●入院

(2015年12月-2016年2月の入院分診療報酬等請求額) / 91日 × 2016年4月の入院診療実日数

  +

(2015年12月-2016年2月の入院分診療報酬等請求額) / 91日 × 2016年4月15日以降の入院診療実日数 × (0.05+0.015)【入院診療の増加や一部負担金猶予を考慮】

●外来

(2015年12月-2016年2月の外来分診療報酬等請求額) / 70日 × 2016年4月の入院診療実日数

  +

(2015年12月-2016年2月の外来分診療報酬等請求額) / 70日 × 2016年4月15日以降の外来診療実日数 × (0.058+0.015)【地震発生直後の時間外診療や一部負担金猶予を考慮】

被災地の医療機関、通常請求の場合でも期限を5月13日に延長

 災害救助法の適用地域の所在する医療機関では、通常請求を行う場合でも、2016年4月診療分のレセプトについて提出期限が「5月13日」に延長されます。これに間に合わない分は、翌月以降に請求することになります。

 また、被保険者証(保険証)を提示せずに受診した患者に係る請求については、「患者に問い合わせるなどして可能な限り保険者を記載する」「保険者が不明な場合にはレセプトの欄外上部に赤字で『不詳』と記載する」ことなどが必要です。

 一部負担金の徴収を猶予した患者に係る請求については、10割を審査支払機関に請求しますが、この場合「レセプトの欄外上部に赤色で『災1』と記載する」ことなど必要です。

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