看護職員の夜勤実態などを把握した上で、「深夜労働の回数上限」などを設定せよ―日看協が来年度予算で要望
2016.5.6.(金)
よりよい医療・看護の提供を実現するためには、看護職の労働環境改善や潜在看護師の雇用促進などが必要不可欠であり、来年度(2017年度)予算編成に当たって「夜勤労働適正化のための指針策定」や「看護職の求人・求職に係るナースセンター・ハローワークの連携強化」などを行うべきである―。
日本看護協会は4月27日、このような要望を厚生労働省の担当局長に宛てて行いました。
勤務間のインターバルについても具体的な数値目標の設定が必要
まず、労働環境の改善に関しては、厚労省労働基準局の山越敬一局長に宛てて次の2点を要望しています。
(1)夜勤労働適正化のための指針策定
(2)医療分野の「雇用の質」向上の取り組み促進
(1)は、厚労省の定めた「労働時間等設定改善指針」の中に、▽深夜労働の回数上限▽勤務間インターバル確保―を、「具体的な数値目標」を示した上で盛り込むよう求めるものです。その際、数値目標については「国内の夜勤・交代制従事者の勤務が健康にどのような影響を及ぼしているのか」を調査した上で設定するよう求めています(関連記事はこちらとこちら)。
また、看護職員の人材確保に関しては、厚労省職業安定局の生田正之局長に宛てて、次の3点を要望しました(関連記事はこちら)。
(a)看護職の求人・求職に係るナースセンター・ハローワークの連携の強化
(b)看護職セカンドキャリア人材の雇用・就業拡大に資する事業の実施
(c)教育訓練支援給付金制度の継続
このうち(a)では、福祉人材コーナーを設置していないハローワークにおいてもナースセンターとハローワークとの連携事業を行えるような対応を要望。また(b)では定年後も看護職としての就労を希望する看護職員の活用を進めることが重要として、都道府県ナースセンターが取り組んでいる看護職セカンドキャリア向け再就業支援事業を「生涯現役促進地域連携事業」の対象として全国的に展開できるような対応(対象地域・予算の拡充)を求めています。
さらに厚労省職業能力開発局の宮川晃局長に対して、専門実践教育訓練給付(社会人の学び直しを支援する)の対象に「看護系大学への入学・編入学」を追加することを要望しています。
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