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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

病院の1施設当たり収入のばらつきがさらに拡大、地域における競争が激化―厚労省

2016.5.13.(金)

 2014年度における医科病院の1施設当たり医療費の平均は25億2200万円で、(前年度5800万円・2.4%増加していることや、ばらつきがさらに大きくなっている―。

 こうした状況が、厚生労働省が11日に公表した2014年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収入のばらつきは年々拡大、退院の動向も見据えた経営戦略が必要

 厚生労働省では、毎月の「医療費の動向」(MEDIAS)の中で医療機関1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。しかし、医療機関の規模や状況はさまざまであるため、今回は医療機関の規模(1施設当たりの医療費階級別)別に医療費の状況を分析しています。

 医科病院について見てみると、2014年度の1施設当たり医療費は平均で25億2200万円。2011年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり(11年度:23億4900万円→12年度:24億1600万円→13年度:24億6400万円→14年度:25億2200万円)、かつ、ばらつき(標準偏差)も大きくなっています(11年度:37億3900万円→12年度:39億900万円→13年度:40億600万円→14年度:40億9800万円)。病院収入のばらつきが大きくなっていることは、「地域における競争が激化している」ことを意味していると言えます。自院の状況だけではなく、「他院の状況」「全国における自院の状況」「地域での立ち位置」(今後果たすべき機能)「地域の患者動向」などを総合的に把握して、経営戦略を練っていく必要があります(前年度の状況はこちら)。

年を追うごとに、病院1施設当たりの平均医療費(いわば収入)は増加しており、かつばらつきが大きくなっている

年を追うごとに、病院1施設当たりの平均医療費(いわば収入)は増加しており、かつばらつきが大きくなっている

 また1施設当たりの医療費階級別に「1施設当たり医療費の伸び率」を見ると、医療費の少ない病院群では医療費の伸び率に大きな幅があり、逆に、収入の高い病院群では、伸び率の幅が小さいことも分かりました。グラフを見ると一目瞭然です。

向かって右のグラフに着目すると、医療費2億円未満の小規模な病院では、大規模病院に比べて前年度比の医療費伸び率のばらつきが大きいことが分かる

向かって右のグラフに着目すると、医療費2億円未満の小規模な病院では、大規模病院に比べて前年度比の医療費伸び率のばらつきが大きいことが分かる

 「1施設当たりの医療費」は、いわば「病院収入」と考えることができます。したがって、「収入の少ない病院群では、増収病院と減収病院のばらつきが大きく、収入が大きくなるにつれて増収病院と減収病院の格差が収斂していく」と考えられます。

 入院と入院外に分けて見てみると、入院のほうがこの傾向がさらに強いようです。また、▽入院では、小規模病院(入院医療費1億円未満)の上位25%で、前年度に比べて医療費(収入)が14%近く伸びている▽入院外では、小規模病院(外来医療費2000万円未)の下位25%で、前年度に比べて医療費(収入)が12%近く減少している▽医療費が20億円以上の大規模病院では入院外医療費(収入)が前年度に比べて減少しているところはない―ことなどが分かります。

1病院当たりの入院医療費を見ると、1億円未満の小規模病院では、前年度にくらべて上位25%は20%増加しているが、下位25%は7%近く減少するなど、非常にバラつきが大きいことが分かる

1病院当たりの入院医療費を見ると、1億円未満の小規模病院では、前年度にくらべて上位25%は20%増加しているが、下位25%は7%近く減少するなど、非常にバラつきが大きいことが分かる

病院1施設当たりの入院外医療費伸び率を見ると、2000万円未満の小規模病院では前年度から12%も減少しているところがある

病院1施設当たりの入院外医療費伸び率を見ると、2000万円未満の小規模病院では前年度から12%も減少しているところがある

【更新履歴】

 記事中、「収入」とすべき部分を「収益」としている箇所がございました。お詫びして訂正いたします。本文は修正済です。

 病院の収入には、医科の保険診療収入、医科の保険外診療収入、介護の保険サービス収入などさまざまな要素があり、その中で大部分を占める「医科の保険診療収入」は「医療費」と置き換えることが可能です。このためメディ・ウォッチ編集部では、「1施設当たり医療費」を「病院収入」と位置付けて、今回の記事を作成しております。

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