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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

塩化ラジウム治療を受けた前立腺がん患者、放射線治療病室などからの退出基準を設定―厚労省

2016.5.17.(火)

 塩化ラジウム(Ra-223)を投与された前立腺がん患者が放射線治療病室などを退出するに当たり、周囲の人(家族など)の安全を確保するため「1投与当たりの投与量が12.1MBqを超えず、かつ1治療当たりの投与量が72.6MBqを超えない」場合に退出を可能とする―。

 厚生労働省は11日に、「放射性医薬品を投与された患者の退出に関する指針」を改正する通知(放射性医薬品を投与された患者の退出について)を発出しました。

塩化ラジウムの1回当たり・1治療当たりの投与量で基準を設定

 科学・医学技術の発展により、放射性同位元素を使用した放射性医薬品による検査や治療が一般的となってきました。具体的には、▽バセドウ病・甲状腺がんに対して放射性ヨウ素-131を用いる放射線治療▽放射性ストロンチウム-89を用いた前立腺がん、乳癌などの骨転移患者の疹痛緩和治療▽放射性イットリウム-90を用いた非ホジキンリンパ腫の放射免疫療法―などです。しかし、放射性医薬品を投与された患者が病院内の診療用放射性同位元素使用室や放射線治療病室などから退出する場合には、周囲の人(他の入院患者や家族など)が当該患者から放射線を受けることになります。

 このため厚労省は、安全性に配慮して、退出に当たっての基準(放射性医薬品の投与量や当該患者の体内残留量など)を示しています(放射性医薬品を投与された患者の退出に関する指針)。

 今般(2016年3月28日)、「骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん」の治療を目的として、塩化ラジウム(Ra-223)が放射性医薬品として薬事承認されました。これを踏まえ、指針の一部を改正し、「ラジウム-223(塩化ラジウム)を用いた治療を受けている、骨転移のある去勢抵抗性前立腺がんの患者」に関する退出基準が設定されたものです。

 具体的には、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の治療に当たり塩化ラジウムを投与された患者は、次の基準を満たす場合に、退出が可能です。

▽1投与当たりの投与量が12.1MBqを超えず、かつ、1治療当たりの投与量が72.6MBqを超えない場合

 

 この基準は、患者毎の積算線量計算に基づくもので、次のような条件も付与されている点に留意が必要です。

▽関連学会が作成した実施要綱「塩化ラジウム(Ra-223)注射液を用いる内用療法の適正使用マニュアル」に従って治療を実施する場合に限り適用する

▽塩化ラジウム注射液を用いる内用療法は、1投与当たり55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで投与することにより行う

▽1投与当たりの最大投与放射能量12.1MBqと、1治療当たりの最大投与放射能量72.6MBqは、それぞれ体重220kgまでの患者を想定して計算した値である

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