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病床機能報告 看護モニタリング

健保組合の生活習慣病対策、特定健診実施率は72.4%、特定保健指導では15.2%にとどまる―2014年度健保連調査

2016.5.26.(木)

 2014年度の健康保険組合加入者に対する特定健康診査(特定健診、いわゆるメタボ健診)の実施率は72.4%だが、健保組合間でバラつきがある。特定保健指導については、対象者に対する実施率が15.2%となった―。

 健康保険組合連合会が25日に発表した、2014年度の「特定健診・特定保健指導の実施状況に関する調査分析」結果から明らかになりました(健保連のサイトはこちら)(関連記事はこちらこちら)。

被扶養者に対する特定健診実施や、組合間でのバラつきが課題

 特定健診は、40-74歳の人を対象とした、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診です。主に、▽服薬歴、喫煙歴の有無▽身長・体重・BMI(Body Mass Index)・腹囲▽血圧▽尿(尿糖・尿タンパク)▽血液(脂質・血糖・肝機能)―などを調べます。高齢化の進行、生活習慣の変化によって、糖尿病などの生活習慣病の有病者・予備群が増加していることを重くみて、2008年4月から導入されました。

 健康保険組合(主に大企業の従業員とその家族が加入)の加入者に対する特定健診実施率を見ると、2014年度は72.4%。被保険者(従業員)では86.1%ですが、被扶養者(家族)では40.2%に止まっています。従業員に対しては会社から業務の一環として「健診受診」が指示されるケースが多いのですが、家族に対してはこうした働きかけは十分でなく、「被扶養者に対する受診勧奨」をどのように進めていくかが重要課題となっています。

被保険者(従業者)と被扶養者(家族)に分けて、特定健診の実施率を見ると、総じて被扶養者で低い。被扶養者への受診勧奨が課題

被保険者(従業者)と被扶養者(家族)に分けて、特定健診の実施率を見ると、総じて被扶養者で低い。被扶養者への受診勧奨が課題

 年齢階級別に見ると、59歳以下では7割を超えていますが、60-64歳では68.9%、65-69歳では54.8%、70-74歳では41.7%と低くなります。

健保組合の2014年度における特定健診実施率は全体で72.4%、60歳以上の従業者に対する実施状況は芳しくない

健保組合の2014年度における特定健診実施率は全体で72.4%、60歳以上の従業者に対する実施状況は芳しくない

 また組合別に実施状況をみると、70-80%の従業者に実施しているところがもっとも多く40.9%。次いで80-90%の組合が28.6%、60-70%の組合が17.5%となっています。9割の従業者に実施している組合も3.7%ある一方で、0-10%の従業者にしか実施できていない組合も0.6%(7組合)あるなど、バラつきが大きくなっています。

 被保険者に限ると9割以上の組合が57.8%と最も多くなっていますが、被扶養者については30-40%の組合が21.0%と最も多い状況です。

組合別に特定健診の実施率を見ると、大きなバラつきがあることが分かる

組合別に特定健診の実施率を見ると、大きなバラつきがあることが分かる

 ちなみに国は「特定健診の実施率を70%以上とする」との目標を掲げていますが、皿に保険者別に「単一の健保組合(1つの企業で組合を設立)は90%以上、総合の健保組合(同種同業の企業が集まって組合を設立)では85%以上とする」という詳細目標も示しています(関連記事はこちら)。

 この点、今般の調査では単一組合では74.7%、総合組合では68.6%の実施率となっており、目標達成までにはあと一歩という状況です。

特定保健指導の積極的支援、総合組合では6.5%の実施にとどまる

 特定健診によって生活習慣の改善が必要であると判断された場合には、特定保健指導が行われます。これは、メタボリスクにより次の2つに分けられます。

●動機付け支援:腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上で、▽空腹時血糖値100mg/dL▽中性脂肪150mg/dL▽最高血圧130mmHgまたは最低血圧85mmHg以上―のうちいずれか1つに該当する人などが対象

●積極的支援:腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上で、▽空腹時血糖値100mg/dL▽中性脂肪150mg/dL▽最高血圧130mmHgまたは最低血圧85mmHg以上―のうちいずれか2つに該当する人などが対象

 この特定保健指導の実施率を見ると15.2%。保健指導のレベル(上記)別に見ると、積極的支援では13.6%、動機付け支援では17.5%という状況です。組合別に見ると0-10%の実施に止まっているところが圧倒的ですが、中には9割以上の対象者に積極的支援・動機付け支援を行っている組合もあるなど、大きなバラつきがあります。

組合別に特定保健指導(積極的支援)の実施率を見ると、やはり大きなバラつきがあることが分かる

組合別に特定保健指導(積極的支援)の実施率を見ると、やはり大きなバラつきがあることが分かる

組合別に特定保健指導(動機付け支援)の実施率を見ると、やはり大きなバラつきがあることが分かる

組合別に特定保健指導(動機付け支援)の実施率を見ると、やはり大きなバラつきがあることが分かる

 年齢別では、特定健診と同じように60歳を過ぎた従業者について実施率が下がっています。

特定保健指導の実施率を年齢別に見ると、やはり60歳以上で芳しくない

特定保健指導の実施率を年齢別に見ると、やはり60歳以上で芳しくない

 また国は「単一の健保組合(1つの企業で組合を設立)は60%以上、総合の健保組合(同種同業の企業が集まって組合を設立)では30%以上とする」との目標を掲げています(関連記事はこちら)。この点、単一組合の実施率は19.4%、総合組合の実施率は7.8%に止まっており、全体としての目標達成にはまだ時間がかかりそうです。

 なお、保健指導のレベル別に見ると、積極的支援は単一組合17.9%、総合組合6.5%、動機付け支援は単一組合21.5%、総合組合9.9%という状況です。

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