国内で5年以内にDRG導入なるか、行政担当者の反応は?―スモルト氏インタビュー(上)
2014.11.21.(金)
全米で最も優れた病院の一つに数えられているメイヨークリニック。同病院の名誉最高経営管理責任者で、現在はアリゾナ州立大学の医療政策研究プログラムで副所長も務めるロバート・K・スモルト氏(写真)が来日し、GHCの10周年祭で講演しました(関連記事『「拡大版DRGを日本にも」米メイヨー・スモルト氏が提言―GHCの10周年感謝祭で来日講演』)。
入院一日当たりの診療報酬を包括請求する「DPC」の原型となった、米国の一入院当たり包括請求の「DRG」をさらに推し進め、外来診療も含めて包括請求にする「EDRG((Extended Diagnosis Related Group:拡大版DRG))」。スモルト氏は、質の高い医療を効率的に提供するためには、この仕組みが有効で、日本でも導入可能だと考えています(関連記事『EDRGの日本への導入の可能性は? 医療費に占める割合の高いDPCが対象候補』)。
スモルト氏はなぜ、こうした考えにたどり着いたのか。スモルト氏に聞きました。
―メイヨークリニックの病院改革を主導されるなど、主に米国で活躍されてきたわけですが、日本についてはどのような印象をお持ちですか。
日本を初めて訪れたのは、アキ(よしかわ・米国グローバルヘルス財団理事長)との出会いがきっかけです。当時、同じメイヨークリニックで働いていたマーティー・マイケル氏の紹介を通して、アキから「日本で行うGHCのセミナーで講演してもらえないか」との依頼を受けました(関連記事『世界を見てきた病院経営のプロが語る「日本医療の未来」』)。
講演では、医療経営の改善についてプレゼンテーションしました。初めての国でしたが、プレゼンは慣れていますので緊張することもなく、日本人はとてもホスピタリティーに優れ、親切な人たちが多く、特に困ることがなく、居心地の良い国という印象を持ちました。
――日本の医療については、どのような印象をお持ちですか。
そうですね、米国でも日本でも、そのほかの国でも、どんな国でも医療について例外なく言えることは、何かしらの改善点があるということです。
日本の医療について言えることは、透明性の確保と在院日数の短縮が重要だということです。特に、日本の入院期間の長さは世界一であることはご存じの通りです。その一方で、日本の医療のコストは他国に比べて手ごろな金額だとも思います。
――日本の医療経営者たちにアドバイスかメッセージはありますか。
彼らに言っておきたいことは、実はアメリカの医療経営者たちに言ってきたことと全く同じです。それは、「医療の目標は医療の価値を高めることで、そのためには、より良い品質の医療を低いコストで提供すること」です。
――厚生労働省の医系技官との勉強会も実施されたと聞いています。
GHCで勉強会を実施した際、コンサルタントのみなさんにも同じ質問をさせていただきましたが、「日本でもDRGが5年以内に導入されると思うか」と質問してみました。
――結果はいかがでしたか。
具体的な数字やパーセンテージを明かすことは差し控えますが、個人的に良い結果だったと思っています。現状、日本の医療政策にどのような動きがあり、どのようなことが行われているか詳細には知りませんが、実際にDGRが導入されることは、日本の医療にとって良いことだと思います(つづく)。
【連載ラインナップ】
(上)◆国内で5年以内にDRG導入なるか、行政担当者の反応は?
(下)◆大事なのは、“大事なことを大事にすること”