65歳以上の人がいる世帯の6割が「夫婦のみ」「単独」、在宅介護の充実が急務―2015年国民生活基礎調査
2016.7.13.(水)
2015年、65歳以上の人がいる世帯が全世帯の47.1%にのぼり、うち6割弱が「夫婦のみ」「単独」となっている―。
厚生労働省が12日に公表した2015年の「国民生活基礎調査の概況」から、このようなことが明らかになりました(関連記事はこちらとこちらとこちら)(厚労省のサイトはこちら。
65歳以上の高齢者のいる世帯、全体の47.1%に
国民生活基礎調査は、毎年、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調べるものです。3年に1度、大規模調査が行われますが、2015年は中間年(小規模調査)に当たり、「世帯の状況」と「世帯の所得状況」に絞った調査が行われました。
まず全国の世帯数について見てみると、2015年6月4日現在で5036万1000世帯となり、前年に比べて7万世帯・0.1%減少しました。
平均世帯人員は2.49人で、前年から変わっていません。
65歳以上の高齢者のいる世帯は2372万4000世帯で、前年に比べて15万2000世帯・0.6%増加しました。全世帯に占める割合は47.1%で、前年に比べて0.4ポイント増加しています。
65歳以上の高齢者のいる世帯について、内訳を見てみると、最も多いのは「夫婦のみの世帯」で31.5%(前年比0.8ポイント増)、次いで「単独世帯」26.3%(同1.0ポイント増)、「親と未婚の子のみの世帯」19.8%(同0.3ポイント減)、「三世代世帯」12.2%(同1.0ポイント減)という状況です。およそ6割(57.3%)が「夫婦のみ」「単独」世帯であり、要介護状態となった場合に、家族介護への期待が難しくなるため、施設への入所を避けるためには在宅介護サービスの早急な充実が求められます。
また、65歳以上の人は3465万8000人で、前年に比べて33万2000人・1.0%増加しています。
家族形態を見ると、「子と同居」が最も多く39.0%(同1.6ポイント減少)ですが、「夫婦のみの世帯」も38.9%で、前年に比べて0.9ポイント増加している状況を踏まえると、次年度(2016年度)の調査では、「夫婦のみの世帯」が最多になるものと考えられます。
ただし75歳以上の人に絞って見ると、単独世帯の割合が高まりますが、同時に「子夫婦と同居」の人の割合も高まっており、年齢構成を十分に勘案した介護提供体制を構築する必要もありそうです。
児童のいる世帯、児童数は前年に比べてやや増加
さらに18歳未満の児童のいる世帯数は1181万7000世帯で、前年に比べて40万6000世帯・3.6%増加しています。また世帯における児童数の構成を見ると、1人が46.4%、2人が40.4%、3人以上が13.1%で、前年からごくわずかな変化しかなく、この点だけを見ると、少子化の進行にほんのわずかブレーキがかかったようにも見えます。今後の動向に注目する必要があります。
また子の年齢階級別に母親の仕事の状況を見ると、「仕事あり」の割合は子の年齢が高くなるにつれて増加しますが、ゼロ歳時の母親でも4割弱が「仕事あり」という状況になっています。
なお「正規の職員・従業員」の割合は子の年齢階級にかかわらず20%前後で推移しており、「非正規の職員・従業員」が、子の年齢が高くなるにつれて増加していることも明確になっています。
高齢世帯、所得金額は少ないが、「生活が苦しい」との意識はやや低め
最後に所得の状況を眺めてみましょう。
2014年の1世帯当たりの平均所得金額は、「全世帯」では541万9000円(同2.5%増)ですが、「高齢者世帯」では297万3000円(同1.1%減)、「児童のいる世帯」では712万9000円301万(同2.4%増)となりました。
生活意識を見ると、「苦しい」と回答した世帯は全体の60.3%(大変苦しい27.4%、やや苦しい32.9%)、「普通」が同じく35.9%、「ゆとりがある」が同じく3.7%でした。世帯の種類別に見ると、「苦しい」と答えた児童のいる世帯で比較的多く(63.5%)、高齢者世帯で比較的少なく(58.0%)なっています。
所得金額と意識とが別の動きをしている点が興味深く、より詳細な分析が期待されます。
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