新専門医制度は一斉スタートが好ましい、総合診療専門医も18領域と同水準が必要―全自病・邉見会長
2016.7.22.(金)
新専門医制度について、日本専門医機構が全国自治体病院協議会の要望に沿って一度立ち止まることになり、ほっとしている。新専門医制度は一斉スタートが好ましく、総合診療専門医についても18の基本領域の専門医と同水準となるように養成する必要がある―。
全自病の邉見公雄会長は、21日の記者会見でこのようにコメントしました。
新専門医制度、一度立ち止まることになり「ほっとしている」
日本専門医機構は20日の理事会で、専門医制度について「新プログラムは2018年に一斉運用する」方針を固めました。事実上、新制度のスタートを1年間遅らせる格好です(関連記事はこちら)。
この決定について機構の理事でもある邉見会長は、「全自病の要望に沿って一度立ち止まり、大きな混乱は起きないと思う。ほっとしている」とコメント。
ただし「専攻医の大都市への集中」などの課題を1年間で解決できるのかという点については、「今の制度では解決できないと思う。個人的には地域の医療を確保するための制度や組織をつくり、一般の医療が全国に遍く行き渡った後に新専門医制度をスタートさせるべきである」旨の考えを述べました。
また、総合診療専門医については、「日本専門医機構でも医師でない理事からは早急な養成が指摘されているが、すでにある18の基本領域と同水準の総合診療専門医を養成する必要がある。一斉スタートが好ましい」と述べ、2018年からの養成開始とすべきとの考えを示しました。
人件費・医薬品費の高騰で自治体病院の経営悪化
21日の記者会見では、2015年度の決算見込み調査報告書も示されました。それによると▽地方公営企業法適用病院の58.0%(前年度比2.4ポイント増)、地方独立行政法人病院の44.2%(同14ポイント増)が赤字▽病床規模別に見ると200-399床の中規模病院で赤字割合が極めて高い―ことなどが明らかになりました。
この点について邉見会長は、「民間企業の給与増に伴い、人事院勧告によって公務員の給与増も行われた。また、ハーボニーやオプジーボなど高額薬剤の登場で医薬品費も上がっている」とし、人件費・医薬品費の高騰によって病院経営が厳しくなっていることを強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
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