医師が思わず耳を傾ける院内プレゼンの鉄則―入門講座2016~17(3)
2017.3.7.(火)
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は17日、次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」の「入門講座2016~17」を開催しました。今回のテーマはプレゼンテーション。参加者全員が作成してきた改善提案資料についてプレゼンし、GHCコンサルタントによる医師が思わず耳を傾ける院内プレゼンの鉄則について解説しました。
全参加病院がプレゼン、情報共有
入門講座は、病院ダッシュボードを使い始めたユーザー向けの集中講座。病院ダッシュボードの「基本の『き』」を伝授することを目的に、全3回の「入門講座」を定期的に開催しています。初回は基本操作の説明、2回目は資料作成、そして最終回となる今回は、プレゼンテーションとなっています。
病院ダッシュボードは、自病院の重要な経営指標となるデータを、他病院のデータとベンチマーク分析した上で、誰でも瞬時に、視覚的に分かりやすく改善のポイントを把握することができます。抽出したデータは、改善すべき課題を直感的に把握できるようにデザインされているため、そのまま資料として活用することができ、院内全体の経営改革の突破口を開くきっかけになります。
今回のプレゼンテーションに向けて、参加病院の担当者は前回の講義を参考にプレゼン資料を作成。作成された資料は、講師を務めるGHCコンサルタント兼カスタマーサポート担当の薄根詩葉利が直接確認し、質問や修正依頼なども重ねて、資料の内容をブラッシュアップしていきました。
当日の入門講座では、薄根が司会をし、庄原赤十字病院の岡田邦裕氏(企画課経営企画係長)、福井県立病院の堀祐貴氏(経営管理課主事)、東京都立大塚病院の川島久美子氏(医事課医事専門課長)、けいゆう病院の清永雅志氏(医事課医事課長心得)、同院の中村圭輔氏(医事課医事課長補佐)―の順にプレゼンを実施。いずれも院内の課題が明確に示され、具体的な改善提案がなされている素晴らしい内容となりました。プレゼン後は活発な質疑応答が行われ、参加病院それぞれが他病院から学ぶべき点や参考にできる話題を吸収していきました。
成功する診療科ミーティングの進め方
後半はGHCアソシエイトマネジャーの澤田優香が登壇し、GHCコンサルタントによる実際のプレゼンテーション事例について紹介しました。
澤田は、実際の院内プレゼンで用いる話し方やプレゼン前の前提条件、プレゼン後のチェックポイントなどについて解説。以下では、診療科ミーティングを実施する際の重要ポイントについて記します。
診療科ミーティングで重要なポイントは大きく3つ。まずは、何のために診療科ミーティングを行うのか、その意義を事前に明確化し、医師や看護師たちなどの現場スタッフと共有しておくことです。診療科ミーティングは、そのほとんどが通常業務の時間外に行われるため、それが絶対に必要なことであると現場スタッフが認識しなければ、いくら素晴らしいプレゼンテーションをしても伝わりません。
診療科ミーティングで最も好ましいゴールは、クリニカルパスの作成や改善です。パスには改善要素が詰め込まれることになるので、最も分かりやすく、効率的な改善につながります。しかし、パスの見直しには現場スタッフの行動変容が不可欠。澤田は、行動変容を引き起こすには「伝える内容」「伝える手段」「伝える技術」の3つの要素が必要であるとして、そのことを十分に意識したスタートを切れるかが重要であるとしました。
次に、一つひとつの診療科ミーティングの中で必ずすべきことは、「現場スタッフとの約束」であると指摘。いくら資料やプレゼンテーションの内容が素晴らしくても、現場のアクションが伴わなければ、改善には結びつきません。当初の提案がすべて受け入れられなくても、できるところとできないところを明確化し、できるところを着実に行ってもらうための約束を取り付けることができれば、少しずつでも前に進むことができます。
最後に、上記の約束が守られているかどうか、必ず成果検証をすることが欠かせないと指摘しました。約束をしても、それが守られていなければ改善には結びつきませんし、現場スタッフの異動などで改善前に状況が戻ってしまう事例も少なくありません。改善の成果を保つためには、定期的なモニタリングが必要です。
【連載◆病院ダッシュボード入門講座2016~17】
(1)病院の経営改革ファーストステップ、たった4つの要点
(2)人を動かす資料に絶対必要なたった一つのこと
(3)医師が思わず耳を傾ける院内プレゼンの鉄則