社会福祉施設等、防災情報の「警戒レベル2」で避難準備はじめ、「警戒レベル3」で避難開始を―厚労省
2019.7.5.(金)
社会福祉施設等では、防災情報の「警戒レベル2」で避難準備を開始し、「警戒レベル3」のタイミングで避難を開始する―。
厚生労働省は6月6日に事務連絡「防災情報を5段階の『警戒レベル』により提供することの社会福祉施設等への周知」を示し、こうした点の周知を都道府県・指定都市・中核市に依頼しました。
九州南部での記録的豪雨により、多くの方が避難をしています。社会福祉施設の入所者等では、避難に時間がかかること、避難場所も限定されることなどを踏まえ、日本全国で新たなガイドライン等の内容を十分に把握し、準備を進めておくことが求められます。
避難等に係る想定時間、各施設等の状況に照らして適切かどうかも確認を
今年(2018年)3月に内閣府(防災担当)による「避難勧告等に関するガイドライン」が改められ、避難勧告等の意味を地域住民等が直感的に理解できることを目指し、防災情報が次の5段階の警戒レベルとなりました(内閣府のサイトはこちら)。
▼警戒レベル1:災害への心構えを高める
▼警戒レベル2:避難に備え、ハザードマップなどにより自らの避難行動を確認する
▼警戒レベル3:避難に時間を要する人(高齢者、障害者、乳幼児等)とその支援者は避難する。その他の人は避難の準備をする【高齢者は避難】
▼警戒レベル4:速やかに避難先に避難する。【全員避難】
▼警戒レベル5:既に災害が発生している。命を守るための最善の行動をとる
さらに、同じタイミングで内閣府(防災担当)が作成した「避難勧告等に関するガイドライン(1)(避難行動・情報伝達編)」では、「社会福祉施設等の管理者等は、気象庁から『警戒レベル2』の情報が発表された場合など、リアルタイムで発信される防災気象情報を自ら把握し、早めの避難措置を講じる必要がある」と提言されています。社会福祉施設等の入所者では避難に時間がかかることを勘案したものです。
こうした点を踏まえて厚労省は、社会福祉施設等における災害時の避難が確実に行われるよう、都道府県等に充てて「社会福祉施設等に対し、『避難勧告等に関するガイドライン』において、入所者等の避難を開始するタイミングが『警戒レベル3』(高齢者等避難)へと変更されていることなどを広く周知する」よう求めています。
また、上述のように社会福祉施設等においては「警戒レベル2で避難準備を開始し、警戒レベル3となったタイミングで避難を始める」ことが必要です。この点について厚労省は、都道府県等に対し、「社会福祉施設等の避難を開始する時期・判断基準」が、「▼利用者の状態▼職員数▼設備等―の施設の状況(日中と夜間では対応できる職員数が違う等も留意)を踏まえて算出した避難にかかる時間」に照らして適切かどうか社会福祉施設等に確認することも依頼しています。
例えば、重度の要介護者等が数多く入所する施設、スタッフ配置が手薄となる夜間などでは、当然、避難の準備・実際の避難に当たっては、一般的に想定されるよりも多くの時間が必要となります。状況は個々の施設で異なるため、「想定している避難(準備)のタイミング」が妥当かどうか、まず社会福祉施設側に自己点検を求めるものです。
昨今、各地で大きな自然災害が発生し、とくに豪雨による大きな被害が出ています(現在、九州南部でも記録的な豪雨で大きな被害が出ている)。我が事と捉え、▼情報収集体制▼避難計画等の策定▼折々の訓練―などを今から進めることが重要です。
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