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西日本豪雨の爪痕踏まえ、一部医療機関では2018年7月診療分も概算請求を認める―厚労省

2018.8.1.(水)

 平成30年7月豪雨は、今なお西日本を中心に大きな爪痕を残しています。厚生労働省は、すでに、医療機関経営のダメージを最小化するために、例えば▼6月診療分のレセプトを棄損等した場合には、概算請求を認める▼診療報酬算定について柔軟な取り扱いを認める(一時的に施設基準等を満たさなくなったとしても、当面、変更の届け出は不要とする)―などの対応を行っています。

厚労省は現場の実態を踏まえ、7月30日に事務連絡「平成30年7月豪雨に関する診療報酬等の請求の取扱いについて」を発出。一定の要件を満たした場合、概算請求を2018年7月診療分についても認める考えを示しました(関連記事はこちらこちらこちら)。

被災地で災害救助法適用日の翌日以降に診療を行った場合、上乗せ請求を認める

 概算請求とは、「個々の医療機関における直近の支払額に準じて請求額を決める」方法です。2018年7月診療分については、次の2つのケースで概算請求を行うことが認められます。
(1)診療録等を滅失等した場合
診療録およびレセプトコンピュータ等を滅失、浸水、汚損、棄損した医療機関等は、災害救助法適用日以前の診療等分について概算請求が可能。この場合、災害救助法適用日の翌日以降に診療等を行ったときは、災害救助法適用日の翌日以降の診療等分は、原則として通常の請求を行う)
(2)被災後に診療を行った場合
災害救助法適用地域に所在する医科医療機関で、災害救助法適用日の翌日以降に診療を行った分については、当該保険医療機関の状況から「通常請求を行うことが困難」な場合には、同月1か月分を通して概算請求が可能

概算請求を行う場合には、「2018年8月10日までに国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金にその旨を届け出る」ことが必要です。また請求額は、次のように計算します(公費負担医療に係るものも含まれる)。

【入院診療分】
「今年(2018年)4月・5月の実際の支払額」÷61日×「今年(2018年)7月の入院診療実日数」

【外来診療、保険薬局、訪問看護ステーション】
「今年(2018年)4月・5月の実際の支払額」÷41日×「今年(2018年)7月の外来診療実日数」

 上記(1)の「診療録等を滅失等した」ことにより概算請求を行う場合には、診療実日数は「災害救助法適用日までの診療実日数」で計算します。

 
 また(2)の「被災後に診療を行った場合」の概算請求では、▼災害救助法適用日翌日以降の診療増(入院診療の増加、豪雨被災直後における時間外診療分)▼一部負担金等の猶予分—を上乗せして請求することが可能です。具体的には、次のように計算します。

【上乗せ分】
「今年(2018年)4月・5月の実際の入院分支払額」÷61日×「災害救助法適用日翌日以降の入院診療実日数」×(0.05+0.001)

「今年(2018年)4月・5月の実際の外来分支払額」÷41日×「災害救助法適用日翌日以降の外来診療実日数」×(0.036+0.001)

 
この「概算請求」方法を採る場合には、2018年7月の支払額は確定するため、後に「実際はより多くの診療を行っており、高額な報酬を請求したい」と申請することなどはできません。

「一部負担猶予患者」のレセプトは通常レセと分けて請求を

今般の平成30年7月豪雨では、多くの方が被災したため、▼被保険者証(保険証)を持たずとも氏名や住所等を申告することで保険診療の受給を可能とする▼一部負担金の支払いを猶予する―といった特例も認められました。

厚労省は、前者の患者については「氏名や住所、過去の受診暦などからできるだけ保険者を特定する」(特定できない場合は、レセプトに確認事項を記載して国保連に請求する)こと、後者の患者については「通常の一部負担あり患者と分けて請求する」こと、なども求めています。
 
 
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