平成30年7月豪雨の被災者、保険証を持たずとも保険診療を受けられる特例―厚労省
2018.7.10.(火)
先週末に西日本を中心に未曾有の豪雨(平成30年7月豪雨)となり、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々には深くお見舞い申し上げます。
家屋を失った、ライフラインが復旧しないなど、さまざまな理由で避難所などでの生活を余儀なくされている方も少なくないと思います。着の身着のままで避難せざるをえず、医療保険の「被保険者証」(保険証)や、難病等の「医療受給者証」を持たない方もおられることでしょう。
保険診療を受ける(一部負担のみの支払いとなる)には、原則として、自身の加入する医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)の発行した被保険者証を窓口に提示し、医療機関側で資格確認を経ることが必要です。被保険者証を持参しなかったなど、提示できない場合には、一度医療費の全額を医療機関に支払い、後日、自身で医療保険者に手続きを行い、保険給付分(年齢や所得に応じて7-9割)を償還してもらうことになります。
しかし、今般の豪雨で被災された方に、この原則を適用することは酷であり、厚生労働省は「特例措置」を設けること7月6日に決めました。これまでに東日本大震災や熊本地震、先般の大阪府を中心とした地震などで被災された方にも、同様の対応がとられています(関連記事はこちら)。
具体的には、被保険者証を持たずに避難したために、医療機関窓口に提示できない場合であっても、医療機関の窓口で▼氏名▼生年月日▼連絡先(電話番号等)▼被用者保険(健保組合や協会けんぽ)の被保険者では「事業所名」(会社名)▼国民健康保険・後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)の被保険者では「住所」▼国保組合では、住所と組合名―を申し立てることで、保険診療が受けられます。
この場合、医療機関側は、次のようにレセプト請求に行うことになります。
▼受診時に確認した「被保険者の事業所」や「過去に受診した医療機関」などに問い合わせて、可能な限りレセプトに保険者(健保組合など)を特定し、記載する
▼保険者を特定できない場合には、「住所または事業所名」「連絡先」などを明細書の欄外上部に記載する
また難病患者等で、医療受給者証の提出ができない場合であっても、医療機関の窓口で「医療受給者証の交付を受けている」ことを申し出て、▼氏名▼生年月日▼住所—が確認できた場合には公費負担医療を受けられるといった特例措置も設けられています。
なお、今般の豪雨により医療機関も大きな被害を受けていることでしょう。こうした医療機関を救済するための特例等も準備されており、これらについて別途、ポイントを整理してお伝えします。
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