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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

機能評価係数II、0.005の差で数千万円のインパクトも―明暗分けるのは?

2015.4.14.(火)

 全国のDPC対象病院に機能評価係数IIの新しい数値が適用されました。14-15年度の切り替えのタイミングで診療報酬改定がなかったため、「機能評価係数II」の合計値はこの間、全体的に小規模な変動にとどまりましたが、病院ベースで見ると、この係数の評価を大幅に高めたケースと、逆に引き下げたケースがありました。ベッド数や包括部分の収入の規模によっては、わずかな変動でも数千万円規模の増収(減収)につながります。何が明暗を分けたのでしょうか。

 機能評価係数IIは、10年度の診療報酬改定に伴って導入された仕組みで、DPC対象病院による医療の効率化や地域医療への貢献を評価しています。「効率性係数」や「地域医療係数」など当初は6項目でスタートし、14年度の報酬改定で「後発医薬品係数」が加わり7項目になりました。

 機能評価係数IIによる評価の値は各病院の実績を踏まえて年度ごとに見直されます。厚生労働省が3月19日に官報告示した15年度の合計値を見ると、I群(大学病院本院)では、「長崎大学病院」(長崎市)の0.0608がトップ。II群では「済生会熊本病院」(熊本市南区)の0.0704、III群では「岩手県立磐井病院」(岩手県一関市)の0.0818が最高でした。最低値はIII群の病院の0.0224で、磐井病院との格差は3.7倍です。

 14-15年度の切り替えのタイミングには診療報酬の改定がなく、GHCの試算では、多くのDPC対象病院では合計値の変動は小ぶりにとどまりました。ただ、変動幅ごとの病院の分布を見ると、この値が大きく増減したケースもあることが分かります=図表=。
2015年係数分析①
 III群には、この数値を14年度比で0.0153と大幅に引き上げた専門病院もありましたが、これに対して評価を大きく下げたケースも少なくありません。中には、この値を0.005アップさせたことで、1年間に約3000万円の増収を見込んでいる400床規模の病院もあります。逆にこの値がダウンすると大きな減収をもたらしかねず、軽視できません。

機能分化、差別化の早期決断を

 今回の分析を担当したGHCの湯原淳平アソシエートマネジャーは、機能評価係数IIの対策を考える上では、病院機能の「選択と集中」がポイントだと見ています。機能評価係数IIの7項目はDPC対象病院の多様な役割を評価していて、すべての項目の評価を高めようとするのはそもそも困難です。

 湯原は「地域によってはオールインワンで対応しなければならないケースもあるが、基本的には急性期病院としての役割を明確にして機能分化、差別化を早期に進められるかどうかが係数の対策のポイント」と話しています。

 まずは適切な機能分化の道筋を模索した上で、機能評価係数IIによる評価の最大化を図ることがいちばんの早道なのかもしれません。

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解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。
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