DPCII群要件に入る「特定内科診療」、GHCが内保連に研究協力―GHC改定セミナー(広島)
2015.10.27.(火)
2016年度の次期診療報酬改定において、DPCのII群要件に内保連の「特定内科診療」の診療実績が組み込まれる可能性が高くなってきています(関連記事はこちら)。
GHCでは、内保連(内科系学会社会保険連合)に協力し、100を超える内科系の学会から上がってきた「重篤な疾患・状態」をDPCのコードで表現するにはどうしたらよいのかを共同研究してきました。II群要件になると見込まれる「特定内科診療」の診療実績は当時の研究内容に基づくものであることを、GHCマネジャーの井口隼人は、24日に広島県広島市で開催した次期診療報酬改定に備えるためのセミナーで紹介しました。井口は、本研究に携わった当事者でもあります。
次期改定は、大幅なマイナス改定になると見込まれ、特に7対1入院基本料の施設基準などは大変厳しくなると予想されます。そうした中では、最新情報を把握し、早めの対策をとることが必要となります。GHCでは、全国17都市で次期診療報酬改定に対応するためのセミナーを開催しています。是非、お近くの会場へ足をお運びください。
DPC対象病院は、(I群)大学病院本院(II群)大学病院本院並みの医療を提供する病院(III群)その他の病院―に分類され、収入のベースを決める基礎係数は、I群>II群>III群の順で高く設定されます。
II群病院になるためには、(1)診療密度(2)医師臨床研修の実施(3)高度な医療の提供(4)重症患者に対する診療の実施―の各項目について、I群病院の最低値を上回らなければいけません(II群要件)。このうち(3)の高度な医療提供要件は、現在、外保連(外科系学会社会保険委員会連合)の手術指数に基づいて設定されているため、「II群要件が外科系に偏っている。内科に力点を置いている病院が適切に評価されていない」との指摘があります。
そこで内保連では、内科系の疾患のうち、「重篤な急性疾患・病態で高度の熟練を要する技術がなければ適切な治療を行えない疾患・病態」である「特定内科診療」を設定。特定内科診療の研究に当たっては、GHCが研究協力を行い、データの分析には次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」やDPC分析ツール「EVE」が活用されました(詳細は内保連グリーンブックに記載)。
特定内科診療の診療実績をII群要件に盛り込む議論は、前回の14年度改定でも行われましたが、時間切れで見送りとなりました。16年度改定で導入の可能性が高くなっていますが、井口は「若干、修正される可能性があるが、特定内科診療はDPCコードで定義できるように設定されており、自院で該当症例の把握などは容易にできる」ことを紹介。ただし井口は、「重要なのは、それが他DPC病院と比べてどういった状況なのか」である点を強調しました。DPCの基礎係数や機能評価係数IIは、原則として相対評価であり、自院の状況が明らかになっただけでは評価が高いのか低いのかがわかりません。この点、GHCの開発した病院ダッシュボードを活用すれば「全国のDPC病院の中で、自院がどの程度の位置にいるのか」が瞬時に把握できます。
このほか改定セミナーでは、メディ・ウォッチ編集部から中央社会保険医療協議会などにおける議論の最新動向を紹介したほか、井口から病院が今後目指すべき方向や、しなければならない準備について詳細な説明が行われました。
改定セミナーでは、メディ・ウォッチではお伝えしきれない情報も満載です。GHCでは来年(16年)の2月にかけて、全国各地で診療報酬改定セミナーを開催いたします。是非、お近くの会場まで足をお運びください。
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