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医科歯科連携の歯科訪問診療を評価、病院カンファレンスへの参加が条件―中医協総会

2015.11.12.(木)

 医科歯科連携を推進するために、歯科訪問診療を行っている歯科医師が、病院などで開催されるカンファレンスに参加し、それらの結果に基づいて歯科訪問診療を行い、口腔機能管理などを行うことを評価してはどうか―。こういった提案が、11日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で厚生労働省から行われました。

 また、在宅での薬剤指導管理に関する評価を充実することで、残薬の是正・解消を図っていこうとの提案も行われています。

11月11日に開催された、「第312回 中央社会保険医療協議会 総会」

11月11日に開催された、「第312回 中央社会保険医療協議会 総会」

医科歯科連携の推進を歯科医師サイドからサポート

 2016年度の次期診療報酬改定では「地域包括ケアシステムの構築」が最重要項目の1つとなる見込みですが、そこでは医科歯科連携の推進も重視されています。厚労省は「院外から歯科医師が訪問して院内スタッフと共同して栄養サポートを行うことを評価してはどうか」と4日の中医協総会に提案しており(関連記事はこちら)、今回は歯科医師サイドに立った連携推進方策が打ち出されています。

 医科歯科連携の効果には厚労省も注目しており、2012年度改定では、周術期のがん患者などに対して歯科医師が包括的な口腔機能管理を行うことなどを評価する「周術期口腔機能管理計画策定料」や「周術期口腔機能管理料」が、14年度の前回改定では、在宅歯科医療における医科医療機関と歯科医療機関の連携を評価する「歯科医療機関連携加算」などが新設されました。

 しかし、医科と歯科の連携は現場レベルではなかなか進展しません。病院・診療所ともに「歯科訪問診療を必要とする患者がいない」「歯科医療機関との連携を考えたことがない」とするところも多くなっています。

歯科訪問診療が必要な患者がいないと考える、あるいは歯科医療機関との連携を考えたことがない医療機関は少なくない

歯科訪問診療が必要な患者がいないと考える、あるいは歯科医療機関との連携を考えたことがない医療機関は少なくない

 そこで厚労省は、2016年度の次期改定において「病院などで開催されるカンファレンスなどに参加し、それらの結果に基づいて歯科訪問診療を実施し、口腔機能管理などを行う」ことを評価してはどうかと提案しているのです。訪問先は患者の自宅に止まらず、介護保険施設なども含まれることになりそうです。

 ただし支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「医科歯科連携を評価する点数を知らない医師も多く、点数設定が連携のインセンティブとして機能していないのではないか」と述べ、新点数の設定には慎重な検討も必要との考えを示しました。

 また、上記の「歯科訪問診療を必要とする患者がいない」と医師が考えている状況について、丹沢秀樹専門委員(千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科教授)は「在宅療養患者で歯科訪問診療が必要ないケースは少ない」と述べ、大学医学部で医科歯科連携を見据えた教育を充実することが重要と指摘しています。

 このほか在宅歯科診療については、次のような論点・提案も厚労省から提示されました。

▽歯科訪問診療料3(10人以上の患者を対象にしている場合、あるいは患者1人につき20分未満の診療しか行わない場合)をどう考えるか(1か月の訪問患者数が1000人を超えるような歯科医療機関も一部にある)

▽歯科訪問診療料1と2の「患者1人につき20分以上の診療を行うこと」という要件について、例えば「同一建物で要介護度の高い1人の患者を診療する場合」などでは見直しを行ってはどうか

▽在宅に居住する夫婦2人など、同居する同一世帯の複数の患者に訪問診療を行う場合をどう考えるか(現在は減額される)

歯科訪問診療の診療報酬体系

歯科訪問診療の診療報酬体系

在宅で残薬管理など行うかかりつけ薬剤師を評価

 2016年度の次期改定に向けては、「残薬や重複投薬の是正」も重視されています。6日の中医協総会では、「多剤投与が行われている高齢者に対して、医療機関が、あるいは医療機関と薬局が連携して、処方薬剤を減少させる取り組みを行い、処方薬剤が減少した場合に評価を行ってはどうか」との提案が行われています(関連記事はこちら)。

 今回は、こうした取り組みを行う「かかりつけ薬剤師」(関連記事はこちら)について報酬上の評価を行ってはどうかと提案されました。具体的には次のような内容です。

(1)適切な薬物療法および医療費適正化を推進するための「在宅における薬剤師の減薬の取り組み」を評価する

(2)在宅患者訪問薬剤管理指導について、1週間単位での制限を設けて、提供する在宅業務の質を確保する(現在は、薬剤師1人につき1日5回となっているが、曜日による訪問回数のばらつきがある)

在宅業務を行う薬剤師では、曜日によって訪問回数にばらつきがある

在宅業務を行う薬剤師では、曜日によって訪問回数にばらつきがある

(3)患者が夫婦2であっても、1人目から同一建物居住者の点数(減額された点数)を算定することを見直す

 (1)などは、上記の6日になされた提案(関連記事はこちら)を薬剤師の側面から評価するものですが、支払側の幸野委員は「残薬の管理などは薬剤師の本来業務であろう。それを改めて評価することは不要である」と改めて指摘しました。

 この点について厚労省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「外来の薬剤業務では、残薬確認を行ったところ処方内容に疑義があり医師に照会するなどした場合には『重複投薬・相互作用防止加算』で評価されるが、在宅薬剤業については、残薬確認や減薬のために疑義照会をしても評価されていない」点を説明しています。

在宅において、薬剤師が残薬確認などをしたうえで疑義照会しても調剤報酬上の評価がない

在宅において、薬剤師が残薬確認などをしたうえで疑義照会しても調剤報酬上の評価がない

 このほか厚労省は、「介護施設において、薬剤による持参薬管理や薬剤の管理などの取り組みを評価する」ことも提案しています。

介護保険施設のうち、特別養護老人ホームなどでは薬剤師による訪問薬剤管理指導が調剤報酬で評価されていない

介護保険施設のうち、特別養護老人ホームなどでは薬剤師による訪問薬剤管理指導が調剤報酬で評価されていない

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