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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

医療と経営の質を同時に改善、病院ダッシュボードユーザーの事例報告次々

2015.11.16.(月)

 データを示しながら医師と対話することで、クリティカルパスの改善や手術・検査の外来シフトを推進できた―。「改善ポイントが瞬時に分かる」が開発コンセプトの次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」のユーザーからは、こんな声がたくさん聞こえてきます。

 「病院ダッシュボード」は、平均在院日数や後発医薬品の使用割合などの指標が全国の同規模他病院と比べてどれだけ高いか(低いか)を「赤」「黄」「青」の3つのシグナルで表示します。院内の状況を視覚的にすぐ把握できるため、基本さえ押さえれば、すぐに使いこなせます。「病院ダッシュボード」のユーザー会でハイレベルな活用方法を共有したり、医療関連の学会で「病院ダッシュボード」を活用した「医療と経営の質改善」の事例が次々と発表されたりしています。

導入後わずか1年で多くの成果

 今年10月7、8両日に北海道函館市内で開催された「第54回全国自治体病院学会」では、佐賀県医療センター好生館(佐賀市嘉瀬町)が改善事例を紹介しました。

佐賀県医療センター好生館 医療情報部の長友篤志係長

佐賀県医療センター好生館 医療情報部の長友篤志係長

 好生館では、「病院ダッシュボード」を2014年9月に導入したばかり(関連記事『使いやすく、分かりやすく、説明しやすい―分析に工数かけず、課題対策に労力割ける』)。それからわずか1年で「病院ダッシュボード」を使いこなし、クリティカルパスの改善や医療の外来シフトなどに効果を上げているといいます(詳細は以下の図表参照)。

 発表によると、同病院ではパスの運用に以前から積極的に取り組んできましたが、経営的な観点による中身の見直しは必ずしも十分ではなく、特に入院期間の長さなどが課題だったということです。中でもラジオ波焼灼療法では、入院期間IIを超える症例の割合が、14年4-6月には58.3%を占めていたといいます。

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 「病院ダッシュボード」で詳しく分析すると、ラジオ波焼灼療法の症例では「術後日数」が平均8.5日で同規模他病院の平均6.0日を上回るほか、ほぼすべての症例に入院中に画像診断を実施していることも分かりました。

 学会で発表した医療情報部の長友篤志係長が、これらの結果を踏まえて診療科に▽8日間の術後日数の設定を、同規模他病院による平均並みの「6日間程度」にする▽「CT/MRI」をパスから除外し、退院後に外来で実施する形にシフトする-などのパス見直し策を提案。診療科の協力を得て、即座にパスに反映されました。

 すると、1年後の15年4-6月には、術後日数は平均4日間にまで短縮し、入院期間IIを超える症例の割合は7.1%までダウンしたということです。一方、CT/MRIの実施率は14.7%まで引き下げることに成功しました。

 長友係長はこの日の発表で、「データを示しながら説得した結果、ドクターはすぐに協力してくれた」と話し、引き続きほかの疾患でもパスの改善を進める考えを示しました。

 一方、10月15、16両日に北海道北見市内であった「第51回日本赤十字社医学会総会」では、旭川赤十字病院が講演(関連記事『医療・経営の質向上に向け情報共有、パス改善や入院支援センターなど―日赤学会開催』)し、パスの見直しのほか院内の入院支援センターの運用改善にも「病院ダッシュボード」を活用していると報告しました。

来年3月にかけて全国各地でユーザー会

 「病院ダッシュボード」のユーザー会でも活用事例がたくさん報告されています。

・諏訪中央病院(関連記事『年間1.4億円のコスト削減を実現した諏訪中央・経営戦略室の軌跡』)
・佐久総合医療センター(関連記事『16年度改定はマイナス必至、エビデンスに基づいたマネジメント・診療内容の改善が必要不可欠』)
・生長会府中病院(関連記事『病院DBからデータを提示、診療現場が自ら「改善」の必要性に気づき、取り組む風土を』)
・聖フランシスコ病院(関連記事『診療情報は医療の質の基本、目指す医療は何か』)
・さいたま赤十字病院(関連記事『ユーザー間の情報共有で改善/日々のデータに国の行方見極めるヒント』)
・埼玉石心会病院(同)

 GHCでは、来年3月にかけて全国各地でユーザー会を開催する予定です。香川県坂出市の回生病院で今月30日に開催予定のユーザー会では、同病院と倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の担当者が活用事例を紹介します。また、年明け1月27日に福岡赤十字病院(福岡市南区)での開催を予定しているユーザー会では、済生会福岡総合病院(同市中央区)から活用事例の発表があります。

全3回の入門講座も

 ユーザー会とは別に、全3回の病院ダッシュボード入門講座も12月にスタートします(関連ページはこちら)。「病院ダッシュボード」を今年度、新たに導入した病院の担当者などが対象で、「病院ダッシュボード」の基本機能の使い方を身に付けたり、基本的な資料作成の方法を学んだりします。

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