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14年度の医業損失8602万円に倍増、急性期病院の半数は経常赤字へ―日病、診療報酬調査結果

2015.12.22.(火)

 病院における稼働100床当たりの経常利益は、2013年度には1703万円の黒字であったが、14年度には1403万円の赤字となり、同じく医業損失は、13年度の4315万円の赤字から14年度には8602万円の赤字へ赤字幅が倍増。特に7対1や10対1の急性期病院の半数が経常赤字で、より赤字幅、減益幅が大きく、病院経営は厳しい―。このような状況が、21日に日本病院会が発表した「平成27年度診療報酬等に関する定期調査―集計結果報告書(概要)―」から明らかになりました。

 また2015年度について「減益になる」と見通す病院が4割以上いることなどを受け、堺常雄会長(聖隷浜松病院総長)は、「2016年度の診療報酬改定率は、ネット(全体)でプラスとすべきだった」と厳しい評価をしています。

12月21日の定例記者会見で、7対1入院基本料の見直しなどについてコメントする日本病院会の堺常雄会長

12月21日の定例記者会見で、7対1入院基本料の見直しなどについてコメントする日本病院会の堺常雄会長

2014年度、7対1の48.2%、10対1の52.9%が経常赤字

 2014年度には診療報酬改定が行われましたが、消費増税に伴う特別のプラス改定と同時に行われています。このため、ネット(全体)で0.1%のプラス改定とされていますが、消費増税分(プラス1.36%)を除くと、実質1.26%のマイナス改定となっています。

 こうした状況を受け、日本病院会では会員病院を対象に診療報酬改定前後の経営状況について調査しています(有効回答は748病院)。

 まず改定前(2013年度)と改定後(2014年度)の状況を比較(有効回答は665病院)すると、稼働100床当たりの経常利益、医業利益は次のように変化したことが分かりました。

▽経常利益は、13年度の1703万円の黒字から、14年度はマイナス1403万円の赤字となった

▽医業利益は、13年度のマイナス4315万円から、14年度はマイナス8602万円と、赤字が倍増した

 この背景には、消費増税に伴う費用増がありそうです。13年度から14年度にかけて医業利益は1.1%増加しましたが、医業費用はそれを上回る2.9%増となっています。21日の定例記者会見で調査結果を発表した、日病・診療報酬改定影響度調査ワーキンググループの永易卓委員(若草第一病院事務局長)は「給与費が2.5%増、委託費が2.8%増、設備関係費が5.3%増など、ほぼすべての費用項目で上昇した」と説明しています(関連記事はこちら)。

 こうした状況を受け、経常利益が赤字の病院は13年度には41.5%でしたが、14年度は47.7%に拡大。特に7対1では48.2%、10対1では52.9%の病院が経常赤字となっており、永易委員は「急性期における病院経営の厳しさが如実に示された」と指摘しています。

12月21日の日本病院会・定例記者会見で、「平成27年度診療報酬等に関する定期調査―集計結果報告書(概要)―」について詳細な説明をする、同会・診療報酬改定影響度調査ワーキンググループの永易卓委員(若草第一病院事務局長)

12月21日の日本病院会・定例記者会見で、「平成27年度診療報酬等に関する定期調査―集計結果報告書(概要)―」について詳細な説明をする、同会・診療報酬改定影響度調査ワーキンググループの永易卓委員(若草第一病院事務局長)

改定後に各病院の経営努力が現れるが、依然として赤字基調

 日病では、14年6月(単月)と15年6月(単月)の比較調査も行っています。

 それによると、若干、赤字病院の割合と赤字額は減少しており、各病院において経営努力が行われていることが分かります。ただし日病では「依然として赤字基調である」点を強調しています。

 より詳しく、14年6月と15年6月の▽1病院当たり診療収益▽患者1人1日当たり診療収入(単価)▽延べ患者数―を比較してみましょう(有効回答は748病院)。

 まず、「1病院当たりの診療収益」を見ると、14年6月には、前年同月に比べて、▽入院で3.67%増▽外来で7.12%増▽入院・外来合計で4.69%増―となっています。この結果、73.4%の病院で「増収」(増益ではない)となっています。

 ちなみに、13年6月(改定前)と14年6月(改定後)を比較すると、▽入院で1.66%増▽外来で4.84%増▽入院・外来合計で2.57%増―なので、改定後における病院の収入面での経営努力が現れていると言えそうです。

 次に診療単価を見ると、▽入院で3.91%増▽外来で2.79%増―という状況。延べ患者数は▽入院で0.01%増▽外来で3.49%増―となりました。

 したがって、大雑把に言えば「入院については高点数を算定するための努力が実った」「外来については、高点数算定のための努力と合わせて集患対策が効果的であった」と考えることができそうです。

 入院についてより詳しく見ると、入院の診療行為別単価は前年同月に比べて3.38%増加しており、特に▽入院料の5.39%増▽手術料の6.06%増―が大きく伸びていることが分かりました。

 

 なお、2015年度の損益については、「減益」と予想している病院が43.2%で、「増益」予想の34.9%を上回っています。

 こうした状況を踏まえ、堺常雄会長は「診療報酬本体がプラス0.49%で良かったという医療関係者もいるが、依然として厳しい病院経営状況を受け、日病では『ネット(全体)でプラス』であるべきと考えている」と、2016年度の次期診療報酬改定率について厳しい評価を行っています。

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