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GemMed塾 看護モニタリング

急性期患者の在宅復帰率、加算届出の療養病棟では未届病棟の6倍・30%―日慢協・池端副会長

2016.1.15.(金)

 在宅復帰機能強化加算を届け出ている療養病棟では、30%が「急性期から受け入れて在宅復帰させた」患者であり、加算を届け出ていない病院(5%)よりもはるかに多く6倍となっている―。このような分析結果が、14日に開かれた日本慢性期医療協会で報告されました。

 2016年度の次期診療報酬改定では、在宅復帰機能強化加算について「他院の急性期からの患者を受け入れ、在宅復帰させる」ことをより高く評価する方向が示されており(関連記事はこちら)、日慢協の分析結果が今後の改定論議にどう影響するのか注目する必要があります。

1月14日に、2016年初の記者会見を行った日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

1月14日に、2016年初の記者会見を行った日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

厚労省は「他院の急性期からの患者受け入れ」をより推進したい考え

 まず在宅復帰機能強化加算の見直し方向について確認しましょう。

 この加算は、療養病棟入院基本料1を届け出ている病棟で、在宅復帰率が50%以上などの要件を満たした場合に算定できます。この加算を届け出ている病棟は、7対1病棟や地域包括病棟からの「在宅復帰先」としてカウントされるため、集患面などで非常に有利になります。

在宅復帰機能強化加算の算定要件

在宅復帰機能強化加算の算定要件

 ところで在宅復帰率50%を計算する際に、入院期間が1か月未満の患者は現在、計算対象から除外されています。これは一時的な、いわばレスパイトのような入院によって在宅復帰率を上げることを防止するためと考えられています。

 しかし厚労省の調査から、この規定が「入院期間を1か月以上に延ばす」ことを誘発している可能性が浮上したため、次期改定では「入院期間1か月未満の患者も在宅復帰率の計算対象に含める」方向が模索されています。

在宅復帰率にカウントされない30日未満の退院は、在宅復帰機能強化加算を届け出ている病院では比較的少ない

在宅復帰率にカウントされない30日未満の退院は、在宅復帰機能強化加算を届け出ている病院では比較的少ない

 ただし、この見直しによってレスパイトのような入院が増える可能性もあり、また病院・病床の機能分化の中で求められている「急性期や回復期後の患者を受け入れ、在宅復帰させる」ことを推進するために、次のような見直し項目も検討されています。

▽「自宅→療養→自宅」の患者よりも、「他院の急性期など→療養→自宅」という患者を、より高く評価する

 厚労省は、「自宅→療養→自宅」という患者を除くと、加算届け出病院と加算を届け出ていない病院との間で、自宅への退院割合に大きな違いはないとの調査分析結果も示しています。

自宅から入院した患者を除くと、在宅復帰機能強化加算を届け出ている病院でも在宅復帰はそれほど多くない

自宅から入院した患者を除くと、在宅復帰機能強化加算を届け出ている病院でも在宅復帰はそれほど多くない

 

 こうした動きに対し、日慢協の池端幸彦副会長は14日に開いた2016年初の記者会見の席で、「日慢協の会員病院について調査したところ、加算を届け出ている病院では『他院の急性期→療養→自宅』という患者は30%程度なのに対し、加算を届け出ていない病院では5%に過ぎない」ことを発表しています。

 この結果が中医協論議にどういった影響を与えるのか、現時点では未知数ですが、池端副会長は「療養病棟では、急性期から自宅に直に戻れない患者を受け入れ、在宅復帰を促している。特に加算届け出病院は頑張っているところを見せたい」と強調。

 ところで勘違いしてはならないのが、「自宅→療養→自宅」という患者イコール「レスパイト入院」ではないという点です。日慢協の武久洋三会長は、かねてより「多くの療養病棟では看護師などの加配を行い、救急患者受け入れなども一定程度行っている」ことを説明しています。

1月14日に、2016年初の記者会見を行った日本慢性期医療協会の武久洋三会長

1月14日に、2016年初の記者会見を行った日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 この日も池端副会長と武久洋三会長は、療養病棟においては「自宅→療養→自宅」という患者の受け入れ機能も重要である点を指摘しています。

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