2016年度材料価格制度改革の詳細が決定、医療ニーズの高い材料は機能区分特例に―中医協総会
2016.1.21.(木)
医療上のニーズが高いとして、厚生労働省の検討会での公募に応じて開発された医療材料などを機能区分の特例対象とし、価格下落を抑える―。このような内容を含む2016年度の材料価格制度改革案の詳細が、20日に開かれた中央社会保険医療材料・総会で了承されました。
材料価格制度も、診療報酬や薬価制度と同じく、2年に一度見直されます。2016年度には、医療材料について「外国平均価格との調整水準を厳しくする」一方で、「イノベーションの評価を充実する」という2つの側面から見直しが行われます。
まず新規の機能区分に関する事項を見てみましょう。
新規収載の場合、価格設定に当たって「外国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア)平均価格と比べて高額な場合には、一定水準まで価格を引き下げる」というルールがあります(外国価格参照制度)。
現在は、「外国価格と比べて1.5倍を上回る場合には、1.5倍の価格に引き下げる」ことになっていますが、2016年度からは、この水準が「1.3倍」に引き下げられます。
ただし、価格引き下げは、メーカーの開発意欲を削いでしまう一面もあります。このため、次のいずれかの場合には現行通り「1.5倍」の水準が維持されます。
(1)「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」(以下、ニーズ検討会)の開発要請・公募に応じて開発され、「医療ニーズの高い医療機器として選定されてから3年以内に薬事承認申請がなされた」「総審査期間のうち、申請者側の期間が120日(優先品目など)または210日(通常品目)以内である」「医薬品医療機器法の承認・認証から120日以内に保険適用希望書を提出した」の全要件を満たすもの
(2)希少疾病用医療機器として指定されたもの
(3)画期性加算・有用性加算(10%以上)を受けたもの(原価計算方式で同様の要件を満たすものを含む)
(1)の要件を満たす医療機器のうち、公募に応じて開発された品目は、機能区分特例の対象に加えられます。
機能区分特例は、「革新性の高い新規の医療機器については、2回の改定を経るまで、同様の機能を持つ他の製品と区別して、価格改定・再算定を行う」というルールで、事実上の単独機能区分設定と言えます。
医療材料は、薬価と異なり同じ機能区分の製品は同一の保険償還価格が設定されます。このため、画期的な医療材料を開発して高額な価格設定がなされても(製品A)、後に安価な類似品(製品B)が登場して同じ機能区分となった場合には、製品Aの価格は製品Bに引っ張られて低く見直されてしまいます。これではメーカーの開発意欲を阻害してしまうため、画期的な製品について事実上の単独区分(機能区分の特例)を認めて、一定期間高価格を維持できるようにするものなのです。
現在「10%以上の補正加算・有用性加算のある製品」と「希少疾病用医薬品」が特例の対象となっていますが、「公募に応じて開発した」というメーカーの積極姿勢を高く評価することになりました。
さらに、上記のように公募に応じて開発され、機能区分特例の対象となった医療機器を開発したメーカーについては、「当該製品の次に保険適用希望書を出した製品」についても一定の要件(総審査期間のうち申請者側の期間が120日以内など)を満たす場合には、機能区分特例の対象となるという優遇措置が設けられます。
次に、既存の機能区分に関する事項を見てみましょう。
既収載品についても、新規収載品と同様に「外国平均価格との調整」が行われます。現在は、次のように価格の下落率に応じた2つの区分を設けて価格調整が行われています。
▽直近2回の改定を通じた価格下落率が15%以内であれば、「外国平均価格の1.3倍以上」である場合に価格引き下げを行う
▽直近2回の改定を通じた価格下落率が15%以上であれば、「外国平均価格の1.5倍以上」である場合に価格引き下げを行う
これが2016年度から一本化され、価格調整の基準値が「外国平均価格の1.3倍」に見直されます。ただし、直近2回の改定を通じた価格下落率が15%以内の場合には、外国平均価格を計算する際に「著しく高い価格」を除外する(新規収載品における外国平均価格の計算方法と揃える)ことになる(つまり外国平均価格が低くなる)ので、若干の緩和措置が設けられていると言えます。
このほか、「区分C1(新機能)、C2(新機能・新技術)の医療材料を保険収載する時期の前倒し」や、「区分B、C1、C2で保険適用希望書を提出する場合に、年度ごとの市場規模予測に関する資料提出義務の創設」なども行われます。
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