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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

回復期リハのアウトカム評価、最初のリハ料算定制限は2017年4月から―2016年度診療報酬改定で厚労省

2016.3.7.(月)

 お伝えしている通り、2016年度診療報酬に関する告示(新点数表や施設基準など)が4日に行われました。あわせて関連通知も発出され、また厚生労働省は都内で改定説明会を開催しました(関連記事はこちらこちら

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

 今回はリハビリに関する改定項目を見てみましょう。

リハの提供・効果実績を年4回報告、2回連続で基準下回ればリハ料を算定制限

 リハビリで最も注目されるのは、「回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価の導入」でしょう。

 リハビリの効果が一定基準に満たない回復期リハビリ病棟では、1日に出来高で算定できる疾患別リハビリテーション料が6単位に制限される(通常は9単位まで)というものです。これまでにお伝えした内容と若干の重複がありますが、この仕組みの具体的な内容を見てみましょう。

◆アウトカム評価の対象医療機関

 まず、アウトカム評価が導入される回復期リハビリ病棟は、次の2つが「2回連続」したところに限られます。

(1)6か月間に回復期リハビリ病棟から退棟した患者数が10名以上

(2)6か月間に回復期リハビリ病棟で提供したリハビリが1日平均6単位以上(Σ回復期リハビリを要する状態の患者に提供された疾患別リハビリの単位数/Σ回復期リハビリを要する状態の患者の入院日数)

 (1)と(2)は、毎年1月、4月、7月、10月の年4回報告します。例えば1月には「前年の7-12月の6か月分」、4月には「前年の10-12月、当年の1-3月の6か月分」という具合に、3か月分ずつ報告対象期間が重複することになります。

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(1)(評価対象となる医療機関の考え方)

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(1)(評価対象となる医療機関の考え方)

◆リハビリの効果

 次にリハビリの効果は次の式で計算し、「27未満」の場合に効果が低いと判断されます。

Σ[各患者の退棟時のFIM得点(運動項目)―各患者の入棟時のFIM得点(運動項目)]÷Σ[各患者の入棟から退棟までの在棟日数/各患者の状態ごとの回復期リハビリ病棟入院料の算定上限日数】

 厚労省は通知の中で、次のような例を挙げています。

【設定】

 前月までの6か月間に50人退棟し、FIM運動項目が「入棟時50点、退棟時80点」だった人が30人、「入棟時40点、退棟時65点」だった人が20人。30人は大腿骨骨折手術後(回復期リハビリ病棟入院料の算定日数上限が90日)で、実際には72日で退棟、残り20人は脳卒中(回復期リハビリテ病棟入院料の算定日数上限が150日)で実際には135日で退棟した

【計算例】

Σ[(80点-50点)×30人+(65点-40点)×20人]÷Σ[(72日/90日)×30人+(135日/150日)×20人]=33.3

 この例では、「27」を上回っているので、今回の6か月についてはリハビリの効果は低くないと判断されることになります。

 ここでも上記(1)(2)と同じく、毎年1月、4月、7月、10月の年4回報告します。例えば1月には「前年の7-12月の6か月分」、4月には「前年の10-12月、当年の1-3月の6か月分」という具合に、3か月分ずつ報告対象期間が重複することになります。

 アウトカム評価は、今年(2016年)4月1日以降に入院した患者について、来年(2017年)1月から実施します。したがって、最初に疾患別リハビリ料の算定制限が生じるのは来年(2017年)4月からとなります。

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(3)(導入スケジュールのイメージ)

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(3)(導入スケジュールのイメージ)

 なお、一度算定制限が生じても、その後リハの効果が高まれば算定制限は解除されます。

◆効果評価からの除外患者

 ところで高齢者や認知症患者など、一般的にリハビリの効果が出にくい患者もいます。そこで一定の患者はアウトカム評価の対象から除外されます。具体的には次のとおりです。

【必ず除外する患者】

▽在棟中に回復期リハビリ病棟入院料を一度も算定しなかった患者必ず除外する患者

▽在棟中に死亡した患者

【除外できる患者】

▽回復期リハビリ病棟で、退棟患者の4割以上が高次脳機能障害患者(高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷・頭部外傷を含む多部位外傷患者で、回復期リハビリ病棟入院料が180日まで算定できるもの)である医療機関では、高次脳機能障害患者をすべて除外してもよい

【3割以下の範囲で除外できる患者】

▽入棟時のFIM運動項目の得点が20点以下

▽入棟時のFIM運動項目の得点が76点以上

▽入棟時のFIM認知項目の得点が24点以下

▽入棟時に80歳以上

 また、在棟中にFIM運動項目の得点が1週間で10点以上低下した患者については、リハビリの効果計算において「低下の直前に退棟した」とみなすことも可能です。

 こうした除外の判断時期について、厚労省は「入棟月分の診療報酬請求を行うまで」としています。

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(2)(実績の判断方法、評価対象から除外される患者)

回復期リハ病棟におけるアウトカム評価の考え方(2)(実績の判断方法、評価対象から除外される患者)

リンパ浮腫複合的治療料、研修要件など明確に

 リハビリに関連して「リンパ浮腫複合的治療料」の新設も重要ポイントとなります。乳がんなどで、リンパ節への転移が認められた場合などにはリンパ節郭清が行われますが、この行為症としてリンパ液が四肢に停滞して「生涯にわたりむくむ」状態(リンパ浮腫)が生じることが知られています。

 2016年度改定では、リンパ浮腫に対する複合的な治療を評価する「リンパ浮腫複合的治療料」が新設されました。

▽重症の場合:1日につき200点(治療開始月と翌月は2か月合せて11回、移行は月1回算定可能)

▽それ以外の場合:1日につき100点(6か月に1回算定可能)

 治療後、数年も経ってからリンパ浮腫が発症するケースも少なくないことに鑑み、算定期間の制限が設けられていない点が特筆できます。

 リンパ浮腫複合的治療料を届け出るためには、(1)専任の常勤医師1名以上、専任の常勤看護師、常勤理学療法士・作業療法士1名以上の配置(2)直近1年間のリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定、またはリンパ浮腫診断などの連携先医療機関でリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定(3)合併症治療に必要な診断・治療体制、リハビリ体制などを整えている―といった施設基準を満たすことが必要です。

 このうち(1)の「専任の常勤医師、常勤看護師、常勤理学療法士・作業療法士」は、次のような要件をすべて満たしていなければなりません。

▽それぞれの資格取得後2年以上経過している

▽直近2年以内にリンパ浮腫を5例以上経験している

▽リンパ浮腫の複合的治療について、次のすべての要件を全て満たす研修を修了している

【研修の要件】

●国、関係学会、医療関係団体などで、過去概ね3年以上にわたり医師、看護師、理学療法士または作業療法士を対象とした教育・研修の実績があるものが主催し、修了証が交付される。

●内容、実施時間などについて「専門的なリンパ浮腫研修に関する教育要綱」(厚労省委託事業「がんのリハビリテーション研修」リンパ浮腫研修委員会)に沿ったものである。ただし、医師(専らリンパ浮腫複合的治療に携わる他の従事者の監督を行い、自身では直接治療を行わない場合のみ)については、座学の研修のみの修了でよい。

●研修の修了に当たって原則として試験を実施し、理解が不十分な者については再度の受講等を求めている。

 なお、「座学の研修主体と実技の研修主体が異なってもよく、それぞれが上記の要件を満たしていればよい」ことが関係通知に明記されています。

新設されたリンパ浮腫複合的治療料の概要

新設されたリンパ浮腫複合的治療料の概要

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