2015年度の病床機能報告、高度急性期13.6%、急性期47.6%、回復期10.4%、慢性期28.4%―地域医療構想GL検討会
2016.3.10.(木)
2015年度の病床機能報告では、高度急性期が13.6%、急性期が47.6%、回復期が10.4%、慢性期が28.4%となり、2014年度の初年度報告に比べて、高度急性期が若干減少し、回復期がやや増加した―。こうした報告が、10日に開かれた地域医療構想策定ガイドライン検討会で行われました。
2015年度の病床機能報告結果については、これまでに速報値が何度か公表されています。10日の検討会に報告されたのは、2月16日時点でデータクリーニングが完了した病院(98.2%)・有床診療所(92.5%)のデータが対象(医療機関全体では95.6%)なので、大枠は固まっていると言えそうです。
まず昨年(2015年)7月1日時点で、各医療機関が自院の機能をどう考えているかを見ると、病床数ベースで高度急性期が13.6%、急性期が47.6%、回復期が10.4%、慢性期が28.4%となっています。
初年度(2014年度)報告結果と比べると、高度急性期は1.9ポイント減、急性期は0.5ポイント増、回復期は1.6ポイント増、慢性期は0.2ポイント減という状況。ただし、個々の病院において「病棟の病床数変動」などがあるため、地域における機能分化の状況などを分析するにはやや手間がかかりそうです。
また、6年後の機能については、病床数ベースで高度急性期が14.2%、急性期が45.9%、回復期が12.7%、慢性期が27.3%という状況です。
15年7月1日時点の機能と6年後で、各機能の病床数を比較すると、高度急性期は0.6ポイント増、急性期は1.7ポイント減、回復期は2.3ポイント増、慢性期は1.1ポイント減となります。回復期病床が増加することが特徴と言えそうです。
一方、初年度の報告結果(6年後の機能)と比べると、高度急性期は1.9ポイント減、急性期は1.2ポイント増、回復期は1.3ポイント増、慢性期は0.5ポイント減となっており、やはり回復期病床が増加していることが分かります。
さらに、2025年度に予定する機能(任意報告、見通しが立っている病院のみ)については、病床数ベースで高度急性期15.1%、急性期44.6%、回復期13.6%、慢性期26.7%という状況です。初年度の報告結果と比べて、高度急性期は2.9ポイント減、急性期は1.9ポイント増、回復期は1.6ポイント増、慢性期は0.6ポイント減となっており、やはり回復期の増加が目立ちます。
ところで初年度の報告においては、「特定機能病院では95.6の病床を高度急性期として報告している」ことなどが問題視されました。特定機能病院であっても、すべての病棟が高度急性期とは考えにくく、厚生労働省は「個々の病棟の役割や入院患者の状態に照らして、医療機能を適切に選択してほしい」旨を報告マニュアルに追記しています。
厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、「現在、精査中だが初年度から機能を変更して報告した特定機能病院もあれば、同じ機能で報告した特定機能病院もある。ただし変更していないことが不適切とは考えていない」とコメントしています。
特定機能病院やDPCのII群病院が、それぞれどのような機能を選択したのかなど、詳細な分析結果が待たれます。
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