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外保連が2016年度改定の評価、外保連試案と診療報酬との間で乖離の大きな手術が増点された

2016.3.23.(水)

 2016年度診療報酬改定では、外保連試案と点数との間で乖離の大きかった手術項目の点数をかなり引き上げてくれた。また外保連が提唱した手術における「新しい評価軸」についておよそ3分の1を認めてもらえた―。

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)は22日に記者懇談会を開催し、2016年度改定についてこのように評価していることを発表しました。

外保連の岩中督・会長(埼玉県立小児医療センター病院長)

外保連の岩中督・会長(埼玉県立小児医療センター病院長)

休日・時間外・深夜加算、緩和されたが効果には疑問符がつく

 外保連は、100の外科系学会で構成される組織で、主に外科系診療の適正かつ合理的な診療報酬のあるべき姿について学術的な視点に立って研究し、提言を行っています。2016年度改定に向けては、例えば▽医療技術の評価について210項目の新設と202の改正▽帝王切開術の点数引き上げ▽休日・時間外・深夜加算の見直し―などを要望していました(関連記事はこちら)。

 22日の記者懇談会では、こうした要望項目と実際の改定内容を突き合わせ、どの程度の要望が採択されたのかを分析しました。瀬戸泰之・実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)は、次のように全体を紹介しています。

外保連の瀬戸泰之・実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)

外保連の瀬戸泰之・実務委員長(東京大学大学院医学系研究科消化管外科学・代謝内分泌外科学教授)

(1)新設210項目のうち53項目を採択(採択率25.2%、ちなみに前回の2014年度改定での採択率は23.2%)

(2)改正202項目のうち65項目を採択(採択率32.2%、前回改定では26.6%)

(3)点数引き上げのなかった手術項目を合わせると、平均101.74%の点数引き上げ(2010年度改定では110.67%、2012年度改定では115.30%、2014年度改定では99.42%)

(4)点数引き上げがなされた301の手術項目に限定すると、平均114.2%の引き上げ

(5)休日・時間外・深夜加算の要件を一定程度緩和

(6)短期滞在手術等基本料3について、水晶体再建術の両眼・片眼で点数を設定

(7)帝王切開術についての点数引き上げ

 瀬戸実務委員長は、このうち(5)の休日等加算について「施設基準は緩和されている(当直医を毎日6人以上配置する医療機関は年間24日まで予定手術前当直が可能、通常は12日まで)が、当直医を毎日6人以上配置できる病院がどれだけあるだろうか」と述べ、一定程度緩和されたものの、その効果は疑問であると指摘しています。

羊膜移植術など、点数と人件費等との乖離が大きな術式の点数を大幅引き上げ

 また川瀬弘一・手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)は、各術式について「人件費と診療報酬点数の比率」を比較。それによると、▽人件費が診療報酬点数の3倍を超える術式が現在(2014年度改定後)は268だが、2016年度改定後は298(30の増加)▽2-3倍となっている術式が現在は668だが、2016年度改定後は669(1の増加)▽1.5-2倍となっている術式が現在は815だが、2016年度改定後は959(144の増加)▽1-1.5倍となっている術式が現在は534だが、2016年度改定後は513(21の減少)―となっています。

外保連の川瀬弘一・手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)

外保連の川瀬弘一・手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)

 これだけを見ると、人件費と診療報酬点数との乖離が広がっているように見えます。

 しかし、川瀬手術委員長は「人件費+償還不可材料(例えば特殊縫合糸など)の合計」と診療報酬点数との乖離(以下、費用計/報酬額)が著しく大きな術式に着目すると、20%以上の大幅な点数引き上げをしてくれたと厚生労働省の姿勢を高く評価しています。具体的には次のような術式です。

▽K260-2羊膜移植術(費用計/報酬額は改定前686.3%→改定後527.6%):引き上げ率130.1%

▽K697―5生体部分肝移植術(同、改定前405.8%→改定後312.2%):引き上げ率130.0%

▽K376上咽頭悪性腫瘍手術(同、改定前410.0%→322.8%):引き上げ率127.0%

 また岩中督会長(埼玉県立小児医療センター病院長)も「厚労省とのヒアリングで、『外保連試案と点数との間で乖離が大きな項目について点数を引き上げてほしい』と要望していたが、外保連から個別項目を示さずとも301項目の点数引き上げをしてくれたことは喜ばしい」とコメントしています。

手術の「新たな評価軸」、採択率は33%だが、更なる精緻化進める

 ところで外保連試案2016では、手術について人件費・材料費以外の「新たな評価軸」を提唱しています。これまで外保連では、「外保連試案はエビデンスに基づく」ことをモットーに掲げ、客観化・定量化できる人件費や材料費などに評価軸を絞ってきました。例えば都市と地方では費用が異なる『手術室の設置費用』など、定量化が困難な部分は評価に加えていないのです。しかし「2014年度の前回診療報酬改定では、技術革新などにより手術時間が短縮した術式について点数の引き下げが行われた」(岩中会長)ことを踏まえ、新たな評価軸を構築したものです。具体的には次の5項目(細分類項目を入れると9項目)が新たな評価軸となっています。

1.手術を行うbenefitのスコア化の策定(1a.生命維持・延命効果、1b.QOLの維持・改善効果、1c.医療資源の有効活用)

2.医療紛争リスク

3.手術中の緊急度(3a.手術時間を短縮することで生命予後の改善が見込めるか、重篤な機能障害(脳性麻痺など)が防げる場合でevidenceのあるもの、3b.手術時間を短縮することで患者の状態が明らかに改善できる場合でevidenceのあるもの、3c.手術時間を短縮することで患者の状態が明らかに改善できる場合で、経験的には理解されているが、evidenceのないもの)

4.2つの命を扱う手術

5.費用対効果

 この新たな評価軸が、どの程度2016年度改定で考慮されたのでしょうか。川瀬手術委員長は次のような術式について、新たな評価軸として評価されていると分析しました(術式は外保連試案に準拠)。

▽1b「QOLの維持・改善など」として経皮的脳血栓回収術、気管腫瘍焼灼術(気管支鏡下レーザー)、気管支腫瘍焼灼術(気管支鏡下レーザー)

▽3a「手術時間の短縮による生命予後改善など」として経皮的塞栓術・胸部出血、経皮的塞栓術・気管支動脈、経皮的塞栓術・腸管または腸間膜出血(緊急止血)、経皮的塞栓術・脾動脈中枢側(脾損傷)、経皮的塞栓術・後腹膜(緊急止血)、経皮的塞栓術・腎出血、経皮的塞栓術・骨盤部出血、経皮的塞栓術・産科出血

▽3c「手術時間短縮による患者の状態改善など」として経皮的塞栓術・四肢の動脈損傷(緊急止血)、子宮破裂手術(子宮膣上部切断)

▽5「費用対効果」としてスリーブ状胃切除術(腹腔鏡下)

 さらに川瀬手術委員長は、ここに帝王切開術の2術式(緊急帝王切開、選択的帝王切開)を加えた16の術式が「新たな評価軸」によって評価(点数の引き上げ)されていると指摘。外保連は49術式について新たな評価軸での評価を求めていたので、採択率は33%となります。

 ただし川瀬手術委員長は「『新たな評価軸』は厳しい日程の中で作ったものでまだ不十分である。2年後の2018年度改定に向けて、精緻化を図っていきたい」とも付言しています。

麻酔の要望は採択がわずか、「残念な結果」と山田増井委員長

 一方、山田芳嗣・麻酔委員長(東京大学大学院医学系研究科教授)は、麻酔の要望がごくわずかしか採択されなかった(新設要望6項目中1件の採択、改正要望12項目中1件の採択)ことを指摘し、「残念な結果に終わった」と述べています。

外保連の山田芳嗣・麻酔委員長(東京大学大学院医学系研究科教授)

外保連の山田芳嗣・麻酔委員長(東京大学大学院医学系研究科教授)

 また平泉裕・処置委員長(昭和大学医学部整形外科客員教授)は、「これまで要望を続けながらまったく受け入れられなかった創傷処置について、わずかだが点数の引き上げがなされた点は評価できる」とコメント。医療材料の高度化によって、現在の創傷処置の点数では材料費すら賄えない状況が少しだけ改善する見込みです。

外保連の平泉裕・処置委員長(昭和大学医学部整形外科客員教授)

外保連の平泉裕・処置委員長(昭和大学医学部整形外科客員教授)

 さらに土田敬明・検査委員長(国立がんセンター中央病院内視鏡部医長)は、▽術中グラフト血流測定加算(2500点)▽経皮酸素ガス分圧測定(100点)―などが新設されたほか、CTやMRIのハイエンド機器使用において「共同利用」を要件とした増点が行われたことなどが評価できると分析しています。

外保連の土田敬明・検査委員長(国立がんセンター中央病院内視鏡部医長)

外保連の土田敬明・検査委員長(国立がんセンター中央病院内視鏡部医長)

【関連記事】
緊急帝王切開術など55の術式、2016年度改定でプラスアルファの評価をすべき―外保連

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