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急性期と回復期の機能を併せ持つ「地域包括ケア支援病院」の創設を提唱―日病・堺会長

2016.4.18.(月)

 急性期機能と回復期機能を併せ持つ「地域包括ケア支援病院」を創設し、24時間365日の軽度急性期対応や容態が比較的安定した患者の受け入れを進めてはどうか―。

 日本病院会の堺常雄会長は、17日に開かれた日病香川県支部総会後に講演し、このような構想を述べました。

 また、GHCが連携した「JHAstis」によって出来高病院の支援を強化していく考えも強調しています。

4月17日の日本病院会香川県支部総会後に講演した、日本病院会の堺常雄会長

4月17日の日本病院会香川県支部総会後に講演した、日本病院会の堺常雄会長

地域包括ケア支援病院、総合診療専門医を配置しCareの軸足

 堺会長は、17日に開かれた日病の香川県支部総会後、「これからの医療・介護提供のあり方―病院の時代から地域の時代へ」と題して講演。

 日本の医療界には「急性期vs慢性期」「大学病院vs一般病院」「病院vs診療所」などといった無用のヒエラルキーや、「とことん治療主義」「自院至上主義」「急性期至上主義」などのいわれのない至上主義といった課題が存在することを指摘。「新たな価値」の創造などが必要と強く訴えました。

 「新たな価値」の一環として、「高度先進的な医療を提供する医療」と「CureからCareへ軸足を移した医療」の2つを重視するべきと指摘。高齢化が進行する中では後者のニーズが高まるとも付言しています。

 ところで現在、地域医療構想や病床機能報告制度では、一般病床と療養病床を▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―の4機能に区分する方向が打ち出されていますが、堺会長は「あくまで私見」と断った上で「高度急性期と急性期を区分する意味は乏しいのではないか。高度急性期については、厚生労働省がICU(特定集中治療室)などを例示しているが、これは機能ではなく構造に着目した区分にすぎないのではないか」と指摘しています。

 さらに堺会長は「地域包括ケア支援病院」構想を説明しました。これは、「急性期」と「回復期」の機能を併せ持つ病院で、前述のCureからCareへ軸足を移した医療」を提供します。例えば「24時間365日の軽度急性期対応」や「急性期を脱し、比較的安定した患者の受け入れ」などが想定されます。

 「地域包括ケア支援病院」は、地域のかかりつけ医や訪問看護ステーション、介護施設などと密接に連携して、いわば後方病床の役割を担います。かかりつけ医などから事前に患者の情報(既往症や処方薬など)を登録してもらうことで、緊急時でも無用な検査などをせず、効率的な治療を行えるのではないかと堺会長は述べています。

 また、地域の中小規模病院がこの「地域包括ケア支援病院」の機能を持ってはどうかと提案し、その場合「総合診療専門医」や「医療と介護の両方が分かる看護師」の配置などが必要になると見通しました。

 さらに堺会長は、急性期病院と地域包括ケア支援病院の機能について、前者(急性期病院)は急性心筋梗塞や悪性腫瘍手術など重症度の高い患者を主に担当し、後者(地域包括ケア支援病院)は肺炎など、重症度は比較的低いものの緊急性の高い患者を主に担当することを提案しています。

GHCと協働し、出来高病院の経営支援するJHAstisを提供

 堺会長は、「中小病院の経営支援」を日病の重点事業としてさらに強化していく考えも強調。具体例の一つとして、GHCと協働した「JHAstis」を紹介しました。

 JHAstisは、経営分析レポートの配信を軸としたサービスで、▽主要経営指標分析・診療科別分析・加算分析・マーケット分析を毎月および4か月に一度のレポートで配信する▽診療報酬改定などにいち早く対応する臨時レポートを配信する▽他院とのベンチマーク分析を可能とする▽経営インパクトの大きな加算を対象とした、算定率向上のためのノウハウを提供する―といった内容で、初年度は無料でサービスを受けられます。

 現在、104病院が参加しており、堺会長は更なる参加を呼び掛けています。

診療報酬体系も、「医療の質」を評価する方向へのシフトを

 堺会長は、今の医療に求められることとして、▽病院の適正化▽地域医療の適正化―の2つの適正化を挙げました。

 前者は、▽医療内容の見える化▽医療の質・経営の質の担保▽地域医療構想ガイドラインに沿った対応―などを意味します。このうち経営の質については、「よい医療を行うためには財政基盤がしっかりしていなければいけない。院長はもちろん、スタッフが経営的な視点を持つことが重要である」と述べています。また医療の質について堺会長は「厚労省も医療の質を評価する方向に大きく舵をとっている」と指摘した上で、「診療報酬も医療の質を評価する体系にシフトしてほしい」と訴えました。

 後者では、▽地域医療の見える化▽機能分化・連携の推進▽地域医療構想ガイドラインに沿った対応―などを行うべきとしています。特に「機能分化・連携」については、自院だけでなく、近隣の医療機関がどのような機能を持っているのか、どのような医療を提供しているのかを把握する必要があると強調しています。

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