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看護・介護人材は将来圧倒的に不足、元気な高齢者や外国人の活用を早急に検討せよ―日慢協・武久会長

2016.4.22.(金)

 今後の慢性期医療や介護ニーズの大幅な増加を見据えて、65-75歳の前期高齢者や外国人看護・介護士を活用すべきではないか。前期高齢者は1歳当たり200万人程度だが、その20分の1の10万人程度が医療・介護分野に参加してほしい。外国人看護・介護士についてはEPAの基準を緩和し、数万人単位で受け入れを拡大すべきである―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、21日の定例記者会見でこのような提言を行いました。

 看護・介護人材が今後ますます不足していく中で、極めて現実的な提言と言えそうです。

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

元気な前期高齢者が10万人程度参加することを希望、生きがい創出にもつながる

 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、看護職員は約200万人必要になると試算されています(社会保障・税一体改革)。これに比べ、実際の看護職員数は約160万人に止まると見られ、このギャップ(約40万人の不足)をどのように埋めるのかが大きな課題です。厚生労働省は、新たに「医療従事者の需給に関する検討会・看護職員需給分科会」を3月に設置、より精緻に看護職員の需給を推計することにしています。

 また、介護人材についても、2025年の需要が約253万人と見込まれる一方で、供給は171万人に止まると考えられ、「82万人程度の人材不足」が生じると見られています。

 さらに2025年の10年後である2035年には、看護・介護人材不足がさらに進行すると考えられます。このように今後の医療・介護提供体制の基盤を揺るがす人材不足問題ですが、塩崎恭久厚生労働大臣の肝いりでまとめられた「保健医療2035」には、この人材確保についての記述が見当たらないと武久会長は指摘します。

 ところで、現在、年間約25万人程度が新たに看護・介護分野に参加しています(看護師約5万5000人、准看護師約1万7000人、介護福祉士約8万8000人、それ以外の介護職員約10万人)。(A)

 総務省の年齢階級別人口を見ると、2025年・2035年に看護・介護現場で活躍することになる現在の10-0歳の人口は1歳当たり約100万人で、うち約半数の50万人程度が女性です。

 看護・介護現場で働く人は、現在、圧倒的に女性が多いことを考慮すると、現在のペース(A)のままでも「50万人のうち半数程度」が看護・介護職員にならなければいけない計算で、さらに前述の需給バランスを整えるための増員を考慮すれば、この割合はさらに高まることでしょう(もちろん、より年齢が上の階層からの新規参入もあります)。

 武久会長は、このように「看護・介護人材不足がいかに深刻な問題であるのか」という点を強調。次の2つの方法で人材確保を図るべきと提言しました。また養成には一定の期間が必要なことから「喫緊の課題である。早急な対応をしなければいけない」と訴えています。

(1)65-75歳の元気老人が、より高齢な虚弱老人を支援する

(2)EPAに基づく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ基準を緩和し、促進する

 (1)は、定年退職した高齢者が介護技術などを学び、短時間でも看護・介護の支援をするというイメージです。武久会長は「65-75歳の方は現在、1歳当たり200万人程度。その20分の1の10万人程度がこの分野に参加してほしい。ボランティアではなく、正当な賃金が支払われる『仕事』としてやってほしい」との希望を述べました。筆者の両親もそうですが、定年後に老け込んでしまう方は少なくありません。新たな仕事を得ることで『生きがい』を見つけ、心身ともに健康を維持できるという効果も期待できそうです。

 (2)の外国人看護師・介護福祉士について武久会長は、「現地で国家試験に合格し、日本での日本語試験の挑むエリートである。自院にも外国人の看護師がおり、極めて優秀である」と評した上で、EPAの受け入れ基準を一定程度緩和し、数万から10万人規模で参入してほしいとの希望を述べています。

熊本地震の被災者受け入れた療養病棟1、診療報酬上の特例を確認

 21日の会見では、「平成28年熊本地震」に対する日慢協の対応状況が池端幸彦副会長から報告されました。

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長

 被災者に十分な医療が提供されることが必要と考え、日慢協では会員病院への支援(援助金や救援物質)を迅速に行っています。

 ところで療養病棟入院基本料1の施設基準には、「医療区分2または3の患者が8割以上」という要件が設定されています。すると、医療区分2・3に満たない被災者を積極的に受け入れた場合、原則に照らすと療養病棟入院基本料1が算定できなくなってしまいます。

 武久会長はこの点について厚労省保険局医療課に問い合わせ、「当面、被災者の受け入れで施設基準を一時的に満たせなくなっても、療養病棟入院基本料1の届け出変更は不要(基本料1の算定を継続できる)」との回答を得たことを明らかにしました。

 なお被災者の受け入れで定員超過となった場合でも、診療報酬は減額されない旨はすでに厚労省の事務連絡で明らかにされています(関連記事はこちら)。

 このような診療報酬上の特例措置は、医療機関による積極的な被災者受け入れをサポートする重要な意味を持っています。

日慢協、認知症ケア加算2、排尿自立指導料用の研修を実施

 さらに21日の定例記者会見では、中川翼副会長から▽認知症ケア加算2▽排尿自立指導料―の届け出に必要な研修会についても報告されました。

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の中川翼副会長

4月21日の定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の中川翼副会長

 両点数ともに2016年度診療報酬改定で新設されたもので、届け出にあたって「適切な研修の修了」が要件の1となっています。日慢協では、この研修を次の日程で実施しますが、早くも満席間近で、医療現場の関心が高いことが改めて認識できます(関連記事はこちらこちら)。

▽認知症ケア加算2の研修プログラム:5月14-15日(横浜)、7月9-10日(大阪)、7月29-30日(東京)

▽排尿自立指導料の研修プログラム:5月16-18日(東京)

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