退院支援加算1の社会福祉士どこまで兼任可能か、認知症ケア加算で必要な研修を例示―疑義解釈1【2016年度診療報酬改定】
2016.4.1.(金)
お伝えしているように、厚生労働省が3月31日に2016年度診療報酬改定の疑義解釈を公表しました。今回は、大きな見直しが行われた「退院支援加算」と新設された「認知症ケア加算」のQ&Aを見てみましょう(厚労省のサイトはこちら)。
退院支援加算1、「算定可能な病棟」すべてで要件を満たすことが必要
退院支援加算については、これまでの退院調整加算の厳格化版である「退院支援加算1」の新設が注目されていますが、疑義解釈では「加算1の算定が可能な入院料を届け出ている病棟すべてで要件を満たすことが必要」なことを明らかにしました。
例えば、A、B、C、Dの4つの7対1一般病棟を持つ病院があったとして、「退院支援・地域連携業務に専従する看護師・社会福祉士をA・B病棟には専任で配置しているが、C、Dには配置していないので、A・B病棟のみで退院支援加算1を届け出る」といったことは認められません。
また、退院支援加算1の「退院支援・地域連携業務に専従する社会福祉士」については、▽回復期リハビリ病棟の体制強化加算で求められる病棟専従の社会福祉士▽回復期リハビリ病棟入院料1で求められる病棟に専任の社会福祉士―との兼任が可能であることも示されています(ただし、退院支援加算1で求められる社会福祉士が他の病棟を兼務しない場合に限る)。
認知症ケア加算、施設基準にある「研修」の対象を明示
新設された認知症ケア加算については、▽認知症の確定診断までは不要▽日常生活自立度の判断は担当医師・看護師が行う▽「イ」の点数(14日以内)、「ロ」の点数(15日以上)の起算日は入院日である―ことが明確にされました。
ところで、認知症ケア加算1を届け出るためには、一定の経験や一定の研修を修了した医師・看護師・社会福祉士などで構成される「認知症ケアチーム」の設置が必要です。
チームの看護師には、「認知症患者の看護経験5年以上」「認知症看護に係る適切な研修の修了」が求められますが、この研修とは▽日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」▽日本看護協会が認定した看護系大学院の「老年看護」「精神看護」の専門看護師教育課程▽日本精神科看護協会が認定する「精神科認定看護師」(認定証が発行されている者のみ)―を意味することが示されています(現時点)。
また認知症ケア加算2を届け出るためには、全病棟で認知症患者のアセスメントや看護方法などに係る適切な研修を受けた看護師を複数名配置することが求められます。
疑義解釈では、この研修には次のものが該当する(現時点)ことを明確にしています。
▽都道府県及び指定都市「平成28年度看護職員認知症対応力向上研修」
▽日本看護協会「平成25年度一般病院における認知症患者看護のマネジメント」、「平成27年度急性期病院で治療を受ける認知症高齢者の看護」、「平成28年度インターネット配信研修〔リアルタイム〕認知症高齢者の看護実践に必要な知識」
▽日本老年看護学会「認知症看護対応力向上研修」
▽日本精神科看護協会「認知症の理解とケア」
▽日本慢性期医療協会「看護師のための認知症ケア講座」
▽全日本病院協会「病院看護師のための認知症対応力向上研修会」
▽地域医療機能推進機構(JCHO)本部研修センター「認知症看護研修」
▽済生会「認知症支援ナース育成研修」
なお、東京都が行っている「東京都看護師認知症対応力向上研修I」「東京都看護師認知症対応力向上研修(2012-15年度)」については、単独では所定の研修と認められませんが、「東京都看護師認知症対応力向上研修II」と合わせせれば、所定の研修と認められます。
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