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夜間の看護体制充実を評価する加算、「負担軽減に資する業務管理項目」の遵守がポイントに―2016年度診療報酬改定で厚労省

2016.3.7.(月)

 2016年度の診療報酬改定では、医療従事者の負担軽減策の一環として「夜間看護体制を充実した場合の評価」についても見直しが行われます。

 この点について、4日の告示・通知、厚生労働省説明会(関連記事はこちらこちらこちら)をベースにポイントを見ていきましょう。後述する「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」をいかに満たせるかが、届け出に当たっての重点項目になります。

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

3月4日に開催された、「平成28年度(2016年度)診療報酬改定説明会」

看護職員の夜間業務負担軽減狙い、加算を充実

 わが国の医療現場では、慢性的な看護師不足が指摘されています。また、厚労省の調査によれば、看護職員における業務負担感は「夜間の患者のADLや行動の見守り・付添」が最も高いことが分かりました。

 このため2016年度改定では、看護職員の夜間業務負担を軽減することを狙って、次のような見直しが行われます。

(1)看護職員夜間配置加算の充実

(2)夜間急性期看護補助体制加算への「夜間看護体制加算」の新設

(3)看護補助加算への「夜間看護体制加算」などの新設

(4)有床診療所における夜間看護配置加算の充実

 それぞれについて、具体的な内容を見ていきます。

7対1・10対1の夜間看護配置の評価を充実

 (1)の看護職員夜間配置加算(50点)は、7対1・10対1病棟における夜間の手厚い看護配置(12対1以上)を評価するもので、2014年度の前回診療報酬改定で新設されました。

 2016年度改定では、この加算を大きく2つに区分します。

▽看護職員夜間12対1配置加算

▽看護職員夜間16対1配置加算

 前者の「12対1配置加算」については、加算1(80点)と加算2(60点)が設けられました。いずれについても、▽年間の救急入院患者数が200名以上、または総合周産期母子医療センターの設置▽一般病棟用の重症度、医療・看護必要度において「A項目3点以上かつB項目2点以上」「A項目3点以上」「C項目1点以上」の患者が6%以上▽夜間の看護配置が12対1以上▽各病棟の夜勤看護職員が3名以上―といった施設基準を満たすことが必要です。

 さらに高点数の加算1(80点)を届け出るためには、次の「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」について、4項目以上を満たしていなければいけません。

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務終了時刻と直後の勤務の開始時刻の間が11時間以上

○3交代制勤務または変則3交代制勤務の病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務開始時刻が、直近の勤務の開始時刻の概ね24時間後以降となる勤務編成

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の連続して行う夜勤の数が2回以下

○当該医療機関において、所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜勤時間帯を含めた各部署の業務量を把握・調整するシステムが構築され、かつ、部署間での業務標準化に取り組み、過去1年間に当該システムを夜勤時間帯に運用した実績がある

○夜間30対1急性期看護補助体制加算、夜間50対1急性期看護補助体制加算または夜間100対1急性期看護補助体制加算を届け出ている病棟

○当該病棟において、みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上

○当該医療機関において、夜勤時間帯を含めて開所している院内保育所を設置

 一方、後者の「16対1配置加算」(40点)については、▽年間の救急入院患者数が200名以上、または総合周産期母子医療センターの設置▽一般病棟用の重症度、医療・看護必要度において「A項目3点以上かつB項目2点以上」「A項目3点以上」「C項目1点以上」の患者が6%以上▽夜間の看護配置が16対1以上▽各病棟の夜勤看護師が3名以上―といった基準のほか、「12対1配置加算1」で見た「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目を4つ以上満たす」ことが必要になります。

7対1・10対1、夜間の看護職員負担を評価

 (2)の夜間急性期看護補助体制加算(7対1・10対1病棟の加算)については、▽点数の引き上げ▽看護配置の緩和(25対1→30対1)―という見直しが行われます。

 さらに夜間急性期看護補助体制加算を算定している医療機関のうち、次の「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」のうち、3項目以上を満たしているところでは、新たに「夜間看護体制加算」(10点)を算定することが可能です。

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務終了時刻と直後の勤務の開始時刻の間が11時間以上(看護職員夜間配置加算と共通)

○3交代制勤務または変則3交代制勤務の病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務開始時刻が、直近の勤務の開始時刻の概ね24時間後以降となる勤務編成(看護職員夜間配置加算と共通)

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の連続して行う夜勤の数が2回以下(看護職員夜間配置加算と共通)

○当該医療機関において、所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜勤時間帯を含めた各部署の業務量を把握・調整するシステムが構築され、かつ、部署間での業務標準化に取り組み、過去1年間に当該システムを夜勤時間帯に運用した実績がある(看護職員夜間配置加算と共通)

○当該病棟において、みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上(看護職員夜間配置加算と共通)

○当該医療機関において、夜勤時間帯を含めて開所している院内保育所を設置(看護職員夜間配置加算と共通)

 なお、看護職員夜間配置加算における「夜間30対1急性期看護補助体制加算などを届け出ている病棟」は、本加算の施設基準に含まれているので、事実上「看護職員夜間配置加算」(12対1配置加算1と16対1配置加算)の業務負担項目と同一と言えます。

13対1以下でも、夜間の看護配置を評価

 (3)の看護補助加算は13対1一般病棟などで、看護職員の負担軽減を狙った加算です。2016年度改定では、さらに夜間における看護職員の負担軽減を狙い、看護補助加算の算定病棟に対して2つの加算が新設されます。

▽夜間75対看護補助加算(30点、1日につき)

▽夜間看護体制加算(150点、入院初日)

 後者の「夜間看護体制加算」を届け出るためには、「看護補助者を夜間に配置している」ことのほか、次の「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」のうち4項目以上を満たす必要があります。

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務終了時刻と直後の勤務の開始時刻の間が11時間以上(看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○3交代制勤務または変則3交代制勤務の病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の勤務開始時刻が、直近の勤務の開始時刻の概ね24時間後以降となる勤務編成看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護職員の連続して行う夜勤の数が2回以下看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○当該医療機関において、所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜勤時間帯を含めた各部署の業務量を把握・調整するシステムが構築され、かつ、部署間での業務標準化に取り組み、過去1年間に当該システムを夜勤時間帯に運用した実績がある看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○当該病棟において、みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上(看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○当該医療機関において、夜勤時間帯を含めて開所している院内保育所を設置看護職員夜間配置加算、夜間急性期看護補助体制加算の『夜間看護体制加算』と共通)

○当該加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者が、看護補助業務の基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講しており、かつ、看護補助業務のうち5割以上が療養生活上の世話である(本加算に特有の基準)

 

 このように、夜間の看護配置に関する加算の届け出にあたっては、「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」をいかに満たせるかがポイントになることが分かります。

2016年度改定では、夜間の看護配置を評価する項目がいくつも導入されたが、「夜間の看護職員の負担軽減」に関する項目をいかに満たすかがポイントになる

2016年度改定では、夜間の看護配置を評価する項目がいくつも導入されたが、「夜間の看護職員の負担軽減」に関する項目をいかに満たすかがポイントになる

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