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厚労省が糖尿病重症化予防プログラムを策定、患者の把握と受診勧奨を促す関係者間の連携方法を提示

2016.5.5.(木)

 厚生労働省は先ごろ、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、公表しました。

 また日本医師会および日本糖尿病対策推進会議と重症化予防に係る連携協定を締結しており、都道府県や市町村に対して、重症化予防プログラムの周知と取り組みの推進を依頼しています。

呉市や荒川区などの先行事例を横展開し、糖尿病性腎症患者の重症化を予防

 糖尿病が重症化し、最終的には人工透析に至ってしまうケースが少なくありません。透析に至ってしまえば、患者のQOLが著しく低下するだけでなく、医療費も高騰することが知られています。

 このため、厚労省は2012年度の診療報酬で「糖尿病透析予防指導管理料」(月1回、350点)を設置。これは入院外の糖尿病患者に対して、医師や看護師・保健師・管理栄養士などが共同して必要な指導を行うことを評価するものです。

 さらに、最近の研究から「運動療法」の併用によって腎機能が改善することや、透析に至るまでの期間を遅らせられることが分かったことを受け、今般の2016年度診療報酬改定で、糖尿病透析予防指導管理料に「腎不全期患者指導加算」(100点)を新設しました(関連記事はこちらこちらこちら)。

 しかし、糖尿病患者が医療機関を受診しなければ、こうした点数が活用できません。そこで厚労省は、重症化リスクの高い「医療機関の未受診者」や「受診中断者」に対して、自治体をはじめとした関係機関が適切な受診勧奨・保健指導を行うことで治療に結びつけ、最終的に透析予防(重症化予防)につなげたいと考え、本プログラムの策定に至ったものです。このプラグラムは、東京都荒川区や広島県呉市、埼玉県などの先行自治体の事例を横展開するものと言えます(関連記事はこちらこちら)。

市町村・都道府県・医師会・糖尿病対策推進会議の有機的連携が重要

 この受診勧奨などを進めるためには、関係機関の有機的な連携が重要です。このため厚労省は関係機関がどのような役割を担い、どのように連携すべきかを示しています。

 まず住民に最も身近な基礎的自治体である市町村では、「地域における課題(疾病構造や健康課題)の分析」→「対策の立案」(地域の医師会などとの協議も含む)→「対策の実施」→「実施状況の評価」を行うことが求められます。

 都道府県(後期高齢者広域連合も含む)は、市町村の実施状況をフォローするとともに、都道府県レベルでの「医師会や糖尿病対策推進会議などとの取り組み状況の共有」「対応策などに関する議論」「連携協定の締結」「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定」などを行う必要があります。

 厚労省は個別プログラム策定に当たり、▽対象者の抽出基準が明確である▽かかりつけ医と連携したものである▽専門職が保健指導を実施する▽事業の評価を行うものである▽都道府県の糖尿病対策推進会議などとの連携を図る―ことを求めています。

 医療・介護分野でも「身近な市町村での具体的な取り組み」と「都道府県による市町村への支援」の2輪の重要性が指摘されており、ここでも同様の関係構築が求められます。

 また、具体的な取り組みにおいては地域医師会の協力が不可欠です。厚労省は、▽郡市区医師会に対する動向の周知や助言▽会員への周知、かかりつけ医と専門医などとの連携支援―を求めています。

 さらに都道府県の糖尿病対策推進会議に対しては、▽医学的・科学的観点からの助言▽地域住民や患者への啓発▽医療従事者への研修―を行ってほしいと求めています。

糖尿病性腎症予防に向けた関係者の役割分担

糖尿病性腎症予防に向けた関係者の役割分担

個別患者の状況に応じて、受診勧奨・保健指導を柔軟に進める

 こうした自治体・医師会・推進協議会の連携の下で、大きく「受診勧奨」と「保健指導」の2つの取り組みを行うことで、適正な治療に結びつけることが期待されます。

 前者の受診勧奨では、▽手紙の送付▽電話▽個別面談▽戸別訪問▽受診後のフォロー―などが例示されていますが、地域の実情に応じて柔軟に対応することが必要です。

 具体的には、▽第1-2期の患者では勧奨の優先順位を検討する▽第3-4期では受診を確認の上で未受診の場合には別の手法も考える(手紙→電話→訪問など)―といった対応が考えられます。

糖尿病性腎症の病気分類

糖尿病性腎症の病気分類

 また後者の保健指導に当たっては、▽電話などでの指導▽個別面談▽訪問指導▽集団指導―などさまざまな手法が考えられますが、厚労省は「健診データなどを用いて患者自身に自分の健康状態を理解してもらう」ことと、「生活習慣の改善につなげる」ことが重要であると強調します。

 ただし、誰しもが「生活習慣の改善」が必要なことは一般論として理解しており、それを、「自分がどの程度のリスクを保有しているのか」「今のままではどれだけ危険なのか」に結びつけることは容易ではありません。丁寧なフォローが極めて重要です。

 具体的には、▽第1-2期の患者では個別・集団指導の組み合わせ▽第3-4期では初回は個別面談、訪問などの対面指導を行う―ことが考えられます。

糖尿病性腎症の病期に応じた保健指導などの内容例

糖尿病性腎症の病期に応じた保健指導などの内容例

糖尿病治療を中断してしまった患者や健診未受診者などハイリスク患者を抽出

 また厚労省は、▽2型糖尿病である(空腹時血糖126mg/dl以上またはHbA1c6.5%以上、糖尿病治療中、過去に治療歴ありなど)▽腎機能が低下している―患者を次の3つの手法で選定し、指導などを行うよう求めています。

▽健診データ・レセプトデータなどを活用し、ハイリスク者を抽出する(日本糖尿病学会、日本腎臓病学会のガイドラインに基づく基準を設定する)

▽医療機関において糖尿病を治療中の患者から、「生活習慣改善が困難な患者」や「治療を中断しがちな患者」などを医師の判断で抽出する

▽治療を中断してしまい、かつ健診未受診である患者を抽出する(過去に糖尿病治療歴があり、最近1年間に健診受診・治療歴がないなど)

市町村における対象患者抽出のフロー例

市町村における対象患者抽出のフロー例

かかりつけ医と関係機関の連携が重要、地域連携パスの構築・運用も

 さらに、重症化予防を推進するためには、「自治体や関係機関」と「かかりつけ医」「専門職」が連携することも重要です。

 厚労省は、▽あらかじめ自治体と医師会・糖尿病対策推進会議などが十分協議し、推進体制を構築する▽かかりつけ医が個別患者の状況などを保健指導実施者に伝達する▽地域連携パスなどを作成し、運用する▽医科・歯科連携の仕組みを構築し、活用する▽臨床における検査値(血圧、血糖値、腎機能など)を、糖尿病連携手帳などを活用して、本人・関係機関・かかりつけ医で共有する―ことなどを求めています。

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