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なぜ介護職員処遇改善加算を届け出ないのか、理由を詳細に調査―介護事業経営調査委員会

2016.6.9.(木)

 2015年度の介護報酬改定で充実された介護職員処遇改善加算について、届け出を行っていない事業者に対して、その理由を「キャリアパス要件のどの部分が達成困難なのか」「事業所の事務体制に課題があるのか」「看護職や事務職など他の職員との兼ね合いを考えてのことなのか」など詳細に調査する―。

 こういった方針が、8日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会の「介護事業経営調査委員会」で固まりました。

 15日に開かれる予定の介護給付費分科会の了承を待って、今年(2016年)10月にも調査が行われます。

6月8日に開催された、「第20回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会」

6月8日に開催された、「第20回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護事業経営調査委員会」

介護職員の給与水準引き上げを目指し、介護職員処遇改善加算を設定

 一般に「介護職員の給与は労働内容に比して低く、介護人材の確保・定着を難しくする一因になっている」と指摘されます。

 政府はこの点を是正するために、2009年10月から介護職員の給与を1万5000円程度引き上げることを条件とした補助金「介護職員処遇改善交付金」を設置。2012年度の介護報酬・診療報酬同時改定では、この交付金を引き継ぐ形で「介護職員処遇改善加算」を新設。さらに2015年度の介護報酬改定では、加算の充実(より手厚い「介護職員処遇改善加算I」の新設)を行っています。

 現在、介護職員処遇改善加算を届け出るためには「賃金などの引き上げ」を行うとともに、次のような要件を満たすことが必要です。

(1)加算I:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境要件(2015年4月以降の賃金改善実績の職員への周知)のすべてを満たす

(2)加算II:[キャリアパス要件Iまたはキャリアパス要件II]および従前の定量的要件(2008年10月以降の処遇改善実績の職員への周知)を満たす

(3)加算III:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、従前の定量的要件のいずれかを満たす

(4)加算IV:キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、従前の定量的要件のいずれも満たさない(処遇改善のみ実施)

介護職員処遇改善加算のイメージ、2015年度の介護報酬改定で加算Iが新設された

介護職員処遇改善加算のイメージ、2015年度の介護報酬改定で加算Iが新設された

 このうち、キャリアパス要件Iとは、▽介護職員の任用の際における職位、職責または職務内容などに応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む)を定める▽前述の職位、職責また職務内容などに応じた賃金体系(一時金など臨時的に支払われるものを除く)について定める▽前記2つの内容について就業規則などの明確な根拠規定を書面で整備し、すべての介護職員に周知する―ことを意味します。

 キャリアパス要件IIとは、▽介護職員の職務内容などを踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標および、「資質向上計画に沿って、研修機会の提供または技術指導等を実施し、能力評価を行う」あるいは「資格取得のための支援を行う」ための具体的な計画を策定し、研修を実施または機会の確保を行う▽前述の内容をすべての介護職員に周知する―ことを意味します。

 また加算II-IVでは職員1人当たり月額1万5000円程度、加算Iではさらに月額1万2000円程度の賃金改善を行うことが必要です。

処遇改善加算を届け出ない理由について、2016年度に詳しく調査

 厚労省では、処遇改善加算の届け出を行っている事業所がどの程度あり、どのような処遇改善が行われているのか(処遇改善の内容)を調べています(介護従事者処遇状況等調査)。

 2015年度に行われた調査からは、▽加算Iを算定した事業所では、改定前(2014年9月)に比べて平均給与額(基本給+諸手当+賞与の1か月相当分)が1万3170円増加している▽特別養護老人ホーム(97.7%)や認知症対応型共同生活介護(95.8%)、介護老人保健施設(93.1%)では加算の届け出率が高いが、介護療養型医療施設では63.1%に止まっている―ことなどが明らかになりました。

 この点について調査委員会や介護給付費分科会の委員から、「加算を届け出ていない事業所では、何が課題となっているのか」との質問が多く出されたことを踏まえ、厚労省は2016年度の調査において、次のように「加算を届け出ない理由」について詳しく調べることになりました。

(1)キャリアパス要件Iについて、▽任用等の要件の定め方が分からなかったり、難しかったりするのか▽賃金体系の定め方が分からなかったり、難しかったりするのか▽全職員への周知が難しいのか▽そもそも事業所の事務体制に課題があるのか(小規模な事業所など)―

(2)キャリアパス要件IIについて、▽資質向上計画の策定・周知が難しいのか▽研修の実施や能力評価が難しいのか▽資格取得の支援が難しいのか▽事業所の事務体制に課題があるのか―

 また事業所においては「介護職以外の職員(看護職や事務職)との給与バランス」を考慮して、処遇改善に踏み切れないところもあるといいます。この点、「他職種とのバランス」を考慮したことによるのか、それとも「他職種の処遇改善をする体力(資力)」に問題があるのかなどを詳しく調べることになります。

 さらに、事務作業の煩雑さについても、より具体的な内容が調べられます。

 

 また調査の今後のあり方に対して、「小規模多機能型居宅介護を調査対象に加えるべき」(藤井賢一郎委員:上智大学准教授)、「これまで集積された調査結果について、地域別・事業所の創設年別などで分析したり、処遇改善と離職との関係を調べてはどうか」(堀田聰子委員:国際医療福祉大学大学院教授)といった注文も出されています。

一億総活躍プランで、2017年度から月1万円相当のさらなる処遇改善を実施

 ところで2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」には、介護離職ゼロ(家族介護のために離職せざるを得ない人をゼロにする構想)の一環として「介護人材の処遇については、競合他産業との賃金差がなくなるよう、平成29 年度(2017 年度)からキャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を行う。この際、介護保険制度の下で対応することを基本に、予算編成過程で検討する」ことが盛り込まれました(首相官邸のサイトはこちら)。

 この点について厚労省は「今回の処遇状況等調査は2015年度と16年度との比較であり、2017年度からを射程とした一億総活躍プランの内容とは重複しない」ことを明確にしています。

 なお一億層活躍プランでは、月1万円相当の改善(賃金増)を「介護保険制度の下で対応することを基本」と謳っており、介護職員処遇改善加算の期中改定となる可能性もゼロではありません。補助金(かつての処遇改善交付金のような形)とするのか、介護報酬での対応(加算の見直し)するのか、今後の財務省と厚労省との調整に注目が集まります。

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