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通所リハの90.4%が医師と連携しているが、通所介護では17.2%に止まる―2015年度介護報酬改定・結果検証1

2016.3.16.(水)

 介護保険の通所リハビリ(デイケア)では90.4%の事業所で医師と連携しているが、通所介護(デイサービス)では医師と連携している事業所は17.2%に止まる。また、サービス利用開始時よりも日常生活自立度が向上した利用者が、通所リハビリでは26.6%いるが、通所介護では12.4%に止まる―。

 こういった状況が、16日の社会保障審議会・介護給付費分科会「介護報酬改定検証・研究委員会」に厚生労働省が提出した2015年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(2015年度調査)結果から明らかになりました。

3月16日に開催された、「第10回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会」

3月16日に開催された、「第10回 社会保障審議会 介護給付費分科会 介護報酬改定検証・研究委員会」

介護報酬改定検証・研究委員会でテーマ絞って改定の効果を検証

 介護報酬についても、診療報酬と同様に報酬改定によってどのような効果・影響が生じているかが調査・分析され、その結果を次期報酬改定に活かすことになっています。

 2015年度に行われた介護報酬については、効果・影響が出やすいと考えられる次の7テーマに絞って状況が調査されました。

(1)看護小規模多機能型居宅介護のサービス提供の在り方

(2)中山間地域等におけるサービス提供の在り方

(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方

(4)介護保険施設等における利用者等の医療ニーズへの対応の在り方

(5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態

(6)介護保険サービスにおける認知症高齢者へのサービス提供

(7)介護保険サービスにおける質の評価

 今回は(3)のリハビリに焦点を合わせてみましょう。

通所リハと通所介護の役割は異なるが、「利用者に分かりにくい」との指摘も

 通所リハビリは「利用者の心身の機能の機能回復を図る」ことを目的としていますが、一方で通所介護は「利用者の社会的孤立感の解消・心身機能の維持」と合わせて「家族の身体的・精神的負担軽減」を目的としています。通所介護では、いわゆる「レスパイト」も重要な目的の1つとなっているのです。

 このように両者には異なる目的がありますが、通所介護でも一定のリハビリ(機能訓練)を提供するなど、その役割が利用者や家族には必ずしも明確になっていないと指摘されます。

 この点について今般の調査結果からは、通所リハビリと通所介護には次のような違いがあることが浮かび上がりました。

▽1回当たりの利用時間別延べ利用回数を見ると、通所リハビリでは「6時間以上8時間未満」が圧倒的に多いが(通常規模では70.2%、大規模では86.9%)、通所介護では「6時間以上8時間未満」の割合は、小規模48.1%、通常規模57.3%、大規模64.9%に止まる。また小規模の通所介護では、「3時間以上5時間未満」の利用が23.5%と比較的多い(通所介護は短時間のレスパイト利用が一定程度ある)

▽利用者の傷病を見ると、通所リハビリでは脳卒中や高血圧が多いが、通所介護では脳卒中は少なく、高血圧や認知症が多い(通所リハビリでは、リハビリの必要性が高い利用者が多い)

▽リハビリ・機能訓練の計画作成者は、通所リハビリ(リハビリマネジメント加算を算定している事業所)では理学療法士が65.2%を占めているが、通所介護では個別機能訓練加算を算定していても看護職員が最も多い(通所リハビリでは、リハビリ専門職の関与が強い)

▽通所リハビリ(デイケア)では90.4%の事業所で医師と連携しているが、通所介護(デイサービス)では医師と連携している事業所は17.2%に止まる

▽サービス利用開始時よりも日常生活自立度が向上した利用者が、通所リハビリでは26.6%いるが、通所介護では12.4%に止まる(通所リハビリの方がリハビリの効果が高い)

▽利用者のアセスメント(評価)において、ADL評価指標を用いている利用者の割合は、通所リハビリでは76.7%に上るが、通所介護では9.0%に止まる

 こうした状況から、通所リハビリと通所介護には一定の役割分担がなされていると見ることができそうです。

 ただし、調査・分析を行った川越雅弘委員(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)は、「個別機能訓練加算を算定している通所介護事業所では、機能訓練の計画書を理学療法士が作成している事業所も25%程度(加算Iを算定する事業所では24.3%、加算IIを算定する事業所では25.5%)あるなど、両者の役割が利用者などには必ずしも明確になっていないかもしれない」との感想を述べています。

 2015年度の介護報酬改定論議を行った社会保障審議会・介護給付費分科会では、委員から「通所介護でもリハビリを行っている。機能や実施しているケアの内容などに応じた評価をすべきではないか」といった意見が数多く出されました。これを受けて厚労省老健局老人保健課の迫井正深課長(当時)は、「『通所介護』や『通所リハ』といったサービス区分に応じた評価ではなく、通所サービスの中で『サービスの内容』『役割』『マンパワー』に応じて評価していくべきというのが委員の一致した見解」と整理しています。将来的に、通所リハビリと通所介護の機能を明確化していくのか、あるいはサービスを一体化していくのか、実態を踏まえながら検討されることになりそうです。

リハビリマネジメント会議の開催で、リハ計画とケアプランの連動進む

 通所リハビリ・訪問リハビリについては、2015年度改定で次の2本の柱を軸とした大きな報酬体系の見直しが行われました(関連記事はこちら)。

(1)リハビリマネジメントの強化

(2)リハビリ機能の特性を生かしたプログラムの充実

 このうち(1)は、「ともすれば漫然とリハビリを提供しがちである」といった介護保険の在宅リハビリの中に、「目標を設定し、進捗状況を確認しながらプログラムを組み、修正していく」(マネジメント)べきとの考え方に立ったものです。

 今般の調査結果からは、リハビリマネジメントを行う事業所を評価する加算(リハビリテーションマネジメント加算)のうち、基準の緩やかな加算I(リハビリ計画の定期的な評価などが要件)を算定している事業所は92.9%に上ることが分かりました。

 一方、基準の厳しい加算II(リハビリマネジメント会議の開催などが要件)を算定している事業所は37.7%に止まりますが、月平均利用延人数が901人以上の大規模な事業所では加算IIの算定は65.5%に上ります。

 加算IIの要件となっているリハビリマネジメント会議では、多職種が参加して、利用者の状況・課題を定期的に抽出・共有することが最重要テーマとされています。この点について加算IIを算定している事業所では、▽ケアプラン、居宅サービス計画とリハビリ計画を連動できるようになった(69.3%がYES)▽医師との情報共有が進んだ」(64.2%がYES)▽他の介護事業所との情報共有が進んだ(68.8%)―といった効果が現れていることが分かりました。

 また、加算IIを届け出ている事業所では、▽理学療法士と作業療法士の両方を配置している事業所が68.2%に上る(加算IIの届け出をしていない事業所は53.4%)▽リハビリ計画の主たる作成者が理学療法士である事業所が65.2%(加算なしでは54.0%、加算Iでは62.3%)―という具合に、リハビリ専門職種が活躍している状況も伺えます。

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