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肺炎患者に対する救急医療管理加算、都道府県で審査基準が大きく異なる可能性―GHC湯原が分析

2016.7.11.(月)

 肺炎の患者について救急医療管理加算を算定している割合は、都道府県によって大きく異なり、この背景には都道府県によって救急医療管理加算の請求を『査定する基準』が異なる可能性がある―。

 GHCアソシエイトマネジャーの湯原淳平は、このような分析を行っています。

肺炎患者の救急医療管理加算算定率、最高は87%、最低は14%

 お伝えしているように、「社会保険診療報酬支払基金の都道府県支部間」「支払基金と国民健康保険団体連合会の間」でレセプトの審査基準が異なっていると指摘されます。こうした差異は、医療機関経営や保険者財政に影響を及ぼすことはもちろん、データの利活用を妨げる要因にもなっています。

 こうした点を解消し、医療ビッグデータの活用を進めるために、厚生労働省が「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」を設置しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 そうした中、GHCアソシエイトマネジャーの湯原は、全国543の病院からGHCにご提供いただいたデータをもとに、都道府県によって「肺炎症例における救急医療管理加算の算定率」がどのようになっているのかを分析しました。

 具体的には、救急で入院した肺炎患者【040080x099x0xx:肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上)、手術なし、手術・処置等2なし】のうち、『救急医療管理加算』を算定している患者の割合を、病院が所在する都道府県別に比較したものです。

 それによると、加算の算定率は最高の都道府県で87%、最低の都道府県で14%(平均55%)という大きな差異のあることが分かりました。なお、肺炎でICU、HCUに入るケースはごく限られるため、今回のデータでは「救急医療管理加算を算定できないICU、HCU入室期間の除外」は行っていません。

都道府県ごとに肺炎で救急搬送された患者における救急医療管理加算の算定率を見ると、大きなバラつきがあることがわかる

都道府県ごとに肺炎で救急搬送された患者における救急医療管理加算の算定率を見ると、大きなバラつきがあることがわかる

 

 このバラつきの背景には、もちろん「各病院における算定状況(例えば算定漏れ)」があることが考えられますが、全国の病院でコンサルティングを行う湯原は、自身の経験も踏まえて「都道府県によって査定の状況(つまり審査基準)が大きく異なっている可能性が高い」と指摘します。

 救急医療管理加算は、入院初期の救急患者に対しては濃厚な検査・治療が必要なことから、医療機関の負担を考慮して入院から7日間に限り、加算1では1日につき900点、加算2では同じく300点を算定できるものです。

 加算1を算定できる患者は、▽吐血、喀血または重篤な脱水で全身状態不良の状態▽意識障害または昏睡▽呼吸不全または心不全で重篤な状態▽急性薬物中毒▽ショック▽重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病など)▽広範囲熱傷▽外傷、破傷風などで重篤な状態▽緊急手術、緊急カテーテル治療・検査またはt-PA療法を必要とする状態―に限定され、これらに「準ずる重篤な状態」である患者については加算2を算定できます。

 とくに後者(加算2)の「準ずる重篤な状態」の解釈(審査基準)が都道府県によって大きく異なっている可能性があります。

 仮に、臨床上まったく同じ状態の肺炎患者が救急搬送された場合、A県では救急医療管理加算を算定でき、B県では算定できない(査定される)という状況は不合理と言わざるを得ません。こうしたデータも踏まえた、「審査における差異の早急な解消」が待たれます。

解説を担当したコンサルタント 湯原 淳平(ゆはら・じゅんぺい)

yuhara 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。看護師、保健師。
神戸市看護大学卒業。聖路加国際病院看護師、衆議院議員秘書を経て、入社。社会保障制度全般解説、看護必要度分析、病床戦略支援、地域包括ケア病棟・回リハ病棟運用支援などを得意とする。長崎原爆病院(事例紹介はこちら)、新潟県立新発田病院(事例紹介はこちら)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。「週刊ダイヤモンド」(掲載報告はこちら)、「日本経済新聞」(掲載報告はこちら)などへのコメント、取材協力多数。

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