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GemMed塾 看護モニタリング

2018年度のDPC暫定調整係数廃止に向けて、機能評価係数の新項目を検討していく―日病協

2016.7.22.(金)

 今後、新たな機能評価係数IIの項目設定(新指数・係数)などを検討していきたい―。

 日本病院団体協議会(日本病院会や全日本病院協会、全国公私病院連名など13の病院団体で構成される)の原澤茂副議長は、22日の記者会見でこのような考えを示しました(関連記事はこちら)。

7月22日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の原澤茂副議長

7月22日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の原澤茂副議長

現場からは「救急を担う病院が減益になっている」との指摘が少なくない

 2018年度の次期診療報酬改定において、DPCの暫定調整係数がすべて基礎係数と機能評価係数IIに置き換えられます。DPC制度では、調整係数を段階的に廃止し、基礎係数や機能評価係数IIに置き換えていくことになっています。現在、調整係数の75%について置き換えが済んでおり、2018年度の次期改定で置き換えが完了する予定なのです。

 しかし、この置き換えによって一部の病院では収益に大きな変動が生じてしまうことから、厚生労働省は激変緩和措置(改定前の診療報酬収入がプラスマイナス2%を超えて変動しないように調整する)を設けています。しかし、調整係数の廃止をした場合、激変緩和措置財源がなくなるため(激変緩和措置は調整係数財源の中で行われる)、どのように対応すべきかが課題の1つになっています(関連記事はこちら)。

 このため今回の2016年度改定では、機能評価係数IIの中に「重症度指数」を新設。これは、DPC点数と出来高との差を評価するもので、いわば「DPC点数の中で評価しきれていない、高コストの重症患者をより多く受け入れている病院」を評価するものとされ、が新たな激変緩和措置の1手法に位置づけられています。

 この点について日病協の中では、「救急医療を担っているが減益となっている」という指摘があるといいます。重症度指数と救急医療指数(これも、資源投入量の多い救急患者を多く受け入れている病院を評価するもの)が十分に機能していない可能性があることから、四病院団体協議会(日病、全日病、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の中で、重症度指数と救急医療指数の相関関係などを調査・分析していく方針です。

 また原澤副議長は、調整係数が廃止された場合の対応として、「新しい機能評価係数IIの項目を見つける」「新項目が見つからない場合には、現在の25%分の暫定調整係数を基礎係数に割り振る」ことなどを検討していく方針が固まったことも紹介しました。

高度急性期などの機能ごとの「基準病床数」設定は時期尚早

 現在、医療保険改革や医療提供体制改革の議論も進んでいます。膨張し続ける医療費の伸びをどのように適正化していくかが最大の課題であり、医療保険の側面では「高齢者医療制度改革」(関連記事はこちら)、医療提供体制の側面では「病院・病床の機能分化」や「地域包括ケアシステムの構築」が急務となっています。

 この点について日病協の神野正博議長は、高齢者医療の本質的な課題は「トリアージ機能」にあることを強調しました。総務省消防庁の調べでは、「軽度・中等程度の高齢者の救急搬送が増加している」ことが明らかになっており、これらのトリアージは現在2次救急病院が担っていますが、神野義町は「将来的にはかかりつけ医にもトリアージ機能を担ってもらうことが必要であろう」と見通します。まず身近なかかりつけ医を受診してもらい、そこから適切な機能の医療機関に紹介するという流れの構築が待たれます。

7月22日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博議長

7月22日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博議長

 

 ところで2018年度から新たな医療計画がスタートします。医療計画には、地域に必要な病床数である「基準病床数」を記載します。

 一方、各都道府県で策定が進んでいる地域医療構想能では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能ごとに「必要病床数」を設定することになっています。

 すると「基準病床数」と「必要病床数」の2つの数字が存在することになりますが、神野議論は「基準病床数を機能ごとに設定することは時期尚早である」と強調し、当面は、2本立て(ダブルスタンダード)を容認していく考えも示しています(関連記事はこちら)。

 また15日に開かれた「医療計画の見直し等に関する検討会」では、CT・MRIの配置に関する議論が行われましたが、神野議長は「CT・MRIにキャップ(地域における設置台数の上限)を設定することには強く反対していく」考えも強調しました(関連記事はこちら)。

 

 なお注目される新専門医制度については、「学会側と病院側の思いを情報共有し、学会と病院がwin-winの関係をつくる」ことが重要であると指摘。さらに「一部の病院でしか専門医の更新ができないことになってはいけない」「初期臨床研修を終えた医師がすべて専門医研修を受けなければならないわけではない。専門医以外の道もあるべき」との見解も披露しました(関連記事はこちら)。

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