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2018年度診療報酬改定などに向け、医療区分・ADL区分見直しを要望―日病協

2016.7.1.(金)

 療養病棟入院基本料の施設基準や点数設定の基準となっている医療区分とADL区分について、2018年度診療報酬改定に向けて早急に見直し論議を行うよう、中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会で要望していく―。

 日本病院団体協議会(日本病院会や全日本病院協会、全国公私病院連盟など13の病院団体で構成)の神野正博議長と原澤茂副議長は、1日に開いた定例記者会見でこのような見解を明らかにしました。

 また、先の2016年度診療報酬改定の影響を調べるため、すべての7対1病院に対してアンケート調査を実施することも明らかにしています。

7月1日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博議長

7月1日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の神野正博議長

7月1日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の原澤茂副議長

7月1日の定例記者会見に臨んだ、日本病院団体協議会の原澤茂副議長

「医療区分1=社会的入院」ではない

 療養病棟入院基本料は、3つの医療区分と3つのADL区分に基づいて9つの点数区分が設定されています(基本料1・2、生活療養を受ける場合を加味すると36の点数区分)。また、基本料1を届け出るためには「医療区分2または3の患者が8割以上」、基本料2を届け出るためには「同じく5割以上」(経過措置あり)などといった施設基準を満たす必要があります(関連記事はこちら)。

療養病棟入院基本料のが医療、医療区分とADL区分で9つの設定され、かつ看護配置・医療区分2と3の患者割合で基本料1と基本料2に区分される(2016年度改定前)

療養病棟入院基本料のが医療、医療区分とADL区分で9つの設定され、かつ看護配置・医療区分2と3の患者割合で基本料1と基本料2に区分される(2016年度改定前)

 この医療区分・ADL区分は2006年度の診療報酬改定で導入され、10年が経過しています。この10年の間には、病院病床の機能分化・連携の推進、地域包括ケアシステムの構築などを柱とする「社会保障・税一体改革」が進められるなど、医療を取り巻く環境は大きく変化しています。

 そうした点を踏まえ、日病協では医療区分・ADL区分に関する見直し論議を中医協で早急に進めるよう求めていく方針を固めました。

 ところで、2025年度においてあるべき医療提供体制の姿を描く地域医療構想では、一般病床・療養病床を▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―の4つに区分して必要病床数を算出します。このうち慢性期病床には、療養病棟入院基本料を算定する病床などが該当しますが、地域医療構想策定ガイドラインでは「療養病床に入院する医療区分1の患者のうち、70%は在宅に移行する」という考え方が示されています(関連記事はこちらこちら)。

現在の療養病床入院患者の70%、一般病床における1人1日当たり225点以下の資源投入量の低い患者を、慢性期・在宅医療等の需要とする

現在の療養病床入院患者の70%、一般病床における1人1日当たり225点以下の資源投入量の低い患者を、慢性期・在宅医療等の需要とする

 原澤副議長は、こうした点を踏まえて「医療区分1=社会的入院」と見られがちであるとし、2018年度の次期診療報酬改定に向けて見直しの必要があるとの考えを強調しています。

 また、介護療養病床や看護配置4対1を満たさない医療療養病床の設置根拠となる経過措置が2017年度で切れることから、社会保障審議会「療養病床の在り方等に関する特別部会」で、医療内包型・医療外付け型の新たな移行先が議論されるなど、慢性期医療全体に関する議論も積極的に行われています。そこでも、入院患者の状態を医療区分とADL区分を用いて評価したデータが厚労省から示されます。

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

25対1医療療養・介護療養の新たな選択肢、【案1-1】【案1-2】【案1-3】の3つが提示された。既存の20対1医療療養(病院)と、特定施設(住まい)と対比させ、どのような機能を持つのかが明示されている

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

【案1-1】【案1-2】【案2】の機能を図示したもの。全く新たな施設類型である【案1-1】【案1-2】については、【案2】などとの組み合わせ(居住スペース)になる形態が多いのではないかと厚労省は見込んでいる

 神野議長は、こうした状況について「もともと診療報酬を設定するものであった医療区分・ADL区分が、制度改革論議に使われるなど、ごちゃごちゃになっている」と指摘し、見直しを提言していく考えを強調しています。

 また神野議長は、「診療報酬調査専門組織『入院医療等の調査・評価分科会』で提言したのでは、2018年度改定に間に合わない(分科会は今秋頃まで開催されない)」「医療区分・ADL区分はもともと分科会で設計されたが、分科会の性質が変化している」ことから、見直しに向けた要望は中医協の「診療報酬基本問題小委員会」で行う考えも示しました。

 医療区分・ADL区分をめぐっては、多くの医療関係者から「医療区分1の該当者にも重症患者が多数いる」「10年経って制度疲労を起こしており、見直しが必要である」との指摘がなされており、厚労省や支払側委員の判断、中医協での議論に注目が集まりそうです(関連記事はこちらこちら)。

看護必要度や病棟群の状況、全7対1病院を対象に調査

 1日の記者会見では、先の2016年度診療報酬改定の影響を調べるため、すべての7対1病院(7対1入院基本料算定病棟が1つでもある病院)を対象に、「今後の展望」「重症度、医療・看護必要度(看護必要度)の見直しの影響」などをアンケート調査することも発表されました(関連記事はこちらこちらこちら)。主な調査内容は次のとおりです。

一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

病棟群単位の入院基本料届け出、今年(2016年)4月から来年(2017年)3月までの1年間に、1回に限り認められる

病棟群単位の入院基本料届け出、今年(2016年)4月から来年(2017年)3月までの1年間に、1回に限り認められる

▽7対1算定病床数

▽2016年度改定以後、他の入院料に変更したか(あるいはする予定か)

▽変更する場合、どの入院料に変更するのか

▽病棟群単位の入院基本料届け出は行っているか

▽7対1を維持している病院では、看護必要度のA・B・C項目のいずれに力を入れているか

▽現在の重症患者割合と在宅復帰率

 原澤副議長は、「重症患者割合が25%に引き上げられたが、医療現場にとってこれが高いのか、低いのか。『内科には厳しい』といった声も聞こえるが、実態をきちんと把握する必要がある」と指摘。

 看護必要度や病棟群については前述の入院医療分科会でも調査が行われますが(関連記事はこちらこちら)、神野議長は、「抽出ではなく、7対1病院を対象とした悉皆調査(全数調査)である」点を強調。

 アンケート調査は今月(7月)中に実施され、2018年度の次期診療報酬改定に向けた基礎資料とする考えです。ただし、調査結果を公表するかどうかは決まっていません(改定に向けた内部資料にとどまる可能性もある)。

【更新履歴】

 タイトル、本文において「2018年度診療報酬改定」とすべきところが、「2016年度」になっておりました。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。タイトル・記事ともに修正しております。

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