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看護必要度見直しの影響を2016・17に調査、療養病棟の状況も2年度にわたって調べるべきか―中医協総会

2016.6.22.(水)

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」でどのようなテーマについて調査・分析を行っていくのか―。

 22日に開かれた中医協総会と診療報酬基本問題小委員会では、調査項目やスケジュールについて了承しました。

 注目される看護必要度や病棟群単位の届け出については2016・17の2年度にわたって調査されます。また委員からは「療養病棟についても2年度にわたる調査を行うべき」との強い意向が示されています。

6月22日に開催された、「第333回 中央社会保険医療協議会 総会」

6月22日に開催された、「第333回 中央社会保険医療協議会 総会」

2018年度の入院医療改革に向け、調査項目やスケジュール固まる

 入院医療分科会でどのような項目を調べていくべきか、17日の分科会で具体的な調査項目やスケジュールの考え方が固められました(関連記事はこちら)。22日の中医協にはこれらが報告され、概ね了承されています。具体的には次のような項目です。

【2016年度調査】(改定の効果・影響が比較的早期に現れる項目)

(1)一般病棟や特定集中治療室(ICU):▽入院料届け出の意向▽病棟群単位の届け出状況▽重症患者割合の状況▽各入院料における患者像や平均在院日数、退院先―など(関連記事はこちらこちら

(2)地域包括ケア病棟:▽手術などの実施状況▽患者像▽入棟前・退院先(どこから入院して、どこへ退院しているのか)―など(関連記事はこちらこちら

(3)療養病棟や障害者施設など:▽人員配置▽医療区分別患者割合の状況▽患者像▽医療提供の状況▽平均在院日数▽退院先―など

(4)全病棟:▽退院支援の状況▽退院先の状況▽連携先の医療機関・介護事業者の状況―など(関連記事はこちらこちらこちら

【2017年度調査】(経過措置が設けられるなどして、改定の効果・影響が出るまでに時間のかかる項目)

(A)一般病棟や特定集中治療室(ICU):▽病棟群単位の届け出状況▽重症患者割合の状況▽各入院料における患者像や平均在院日数、退院先―など

(B)短期滞在手術等基本料および総合入院体制加算の算定状況や患者像、医療提供体制など

(C)救急医療管理加算を算定している患者像や入院後の転帰、夜間休日救急搬送医学管理料の届け出状況や患者像など

 

 このうち療養病棟などについては、2016年度のみが調査対象となっていますが、松本純一委員(日本医師会常任理事)や万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、「改定後1年目と2年目で医療現場の状況は異なる」ことを強調し、2017年度にも療養病棟の状況を調べるべきと要望しました。この点について、厚労省保険局医療課の担当者は「2017年度の調査設計までには時間があるので、委員の指摘も踏まえて検討したい」とコメントしています。

 また猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)は、「療養病棟の評価に医療区分が導入されてから10年が経過する。医療区分1の該当患者にも重症患者がいるのではないだろうかといったテーマを議論する必要がある」と指摘しました。

 一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「看護必要度のA項目見直しやC項目新設は年末の慌ただしい中で決まり、十分な議論ができなかったと感じている。看護必要度の項目見直しの影響をしっかり検証してほしい」「病棟の機能ごとに適切な患者が入院しているのか、医療と介護の連携が進んでいるのかも検証すべきである」「7対1以外の一般病棟についても次回改定に向けて入院患者像などを議論していきたい」と要望しています。

 また同じく支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「調査に協力するマンパワーが乏しい医療機関では回答率が低い事が考えられるが、これは調査結果にバイアスが生じることに繋がる」と指摘。この点について厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、「有識者の力も借り、クオリティ維持も考えていく。またDPCデータやNDBデータなども活用して、バイアスが生じないよう配慮する」と説明しています。

超高額薬剤の薬価をどう考えるか、近く厚労省案を中医協に報告

 ところで、中医協や社会保障審議会では、「オプジーボなどの超高額な医薬品が、適応拡大となった場合の薬価のあり方」に関する議論が熱を帯びています(関連記事はこちら)。

 診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)らは、かねてから「超高額医薬品が適応拡大となった場合には、薬価の引き下げを行うようなルールを検討すべき」と主張しており、厚労省サイドも「検討の時期に来ている」と答弁していました。

 この日も中川委員はこのテーマに触れ、厚労省に検討状況を報告するよう求めました。この点について厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は「早急に厚労省案をまとめ、近く中医協に報告する」と答弁。さらに「薬価をどうするかというテーマとあわせて、使用をどう最適化するかというテーマも重要である」との考えを強調しました。

 安倍晋三内閣が2日に閣議決定した『経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太方針)2016』では、「革新的医薬品等の使用の最適化推進を図る」として、このテーマについても言及しており、2017年度中に検討し結論を得るよう指示しています(関連記事はこちら)。

 近く示される厚労省案や、その後の中医協論議は、今後の医療保險制度に大きな影響を及ぼすものとなるため、各方面が注目しています。

切除不能な肝臓がんに対する「陽子線」と「重粒子線」治療法、先進医療へ

 22日の中医協総会には、新たな先進医療3件が報告されました。

(1)切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する陽子線治療

切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する陽子線治療の概要

切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する陽子線治療の概要

(2)切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する重粒子線治療

切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する重粒子線治療の概要

切除不能、局所療法不適の肝細胞がんに対する重粒子線治療の概要

(3)ゲムシタビン耐性胆道がん患者を対象としたアキシチニブ単独療法

 このうち(1)と(2)は、同じ「切除不能、局所療法不適の肝細胞がん」患者を対象とするもので、前者は「陽子線」治療、後者は「重粒子線治療」の効果(3年生存割合など)を確認し、将来の保険適用を目指すものです。陽子線や重粒子線は放射線の一種ですが、通常の放射線治療に比べて「病巣への高線量投与が可能である」「周囲の健常組織への被害が小さい」というメリットがあり、また現在の標準的治療法である「TACE」(冠動脈化学塞栓療法)に比べても有益であると指摘されています。

 今般、これら技術の有効性・安全性を確認し、保険適用を目指して先進医療に導入されることが決まりました。さらに「陽子線治療と重粒子線治療の適応患者の振り分け」などが明確化されることも期待されます。

 2016年度の診療報酬改定では、陽子線治療については「小児腫瘍」のみ、重粒子線治療については「切除非適応の骨軟部腫瘍」のみを適応として保険収載がなされました(関連記事はこちら)。その他のがん種については、有効性や安全性に関するエビデンスが確立しておらず、今後の先進医療における実績収集に注目が集まります。

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