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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

看護必要度のデータ精度向上は、基本押さえ多職種連携で、GHC病院経営データ分析塾(2)

2017.6.26.(月)

 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は6月20日、「病院ダッシュボードで学ぶ、GHC病院経営データ分析塾~看護必要度精度向上編~」を開催しました(申し込みページはこちら)。

 本会は、病院の経営課題を知る分析の基礎を学ぶための勉強会(全6回)の2回目。「看護必要度精度向上編」をテーマに、GHCアソシエイトマネジャーの八木保が「重症度、医療・看護必要度」のデータ精度向上に必要な基礎知識を解説するとともに、次世代型経営支援ツール「病院ダッシュボード」を用いたワークショップなどを行いました。八木は「『医療』という言葉がついているように、看護部だけでなく病院全体で取り組むべき課題。看護師の負担軽減のためにも他職種連携は欠かせない」と指摘しました。

GHCの八木

GHCの八木

入職・異動間もない病院職員向け勉強会

 「病院ダッシュボードで学ぶ、GHC病院経営データ分析塾」は、入職・異動間もない医事課、経営企画(戦略室)、診療情報管理室、診療部門・技術部門で実際にデータを扱う病院職員に向けて、医療情報分析の基礎を学ぶための勉強会。約半年で、経営改善に欠かせない知識を身に付け、使えるデータ分析資料を作成できるようになることが目的です(開催予定は以下の通り)。7月開催の第4回まで席が埋まっており、一部の会では追加講演を行うなど、非常に注目度の高い会となっています。

【日程・テーマ】
<前半>
 5月26日(金)DPC基礎(満員御礼)
 6月20日(火)看護必要度精度向上(満員御礼)
 6月27日(火)DPC基礎 (満員御礼)
 7月18日(火)パス改善(満員御礼)
<後半>
 8月22日(火)パス改善 ※追加開催※
 10月17日(火)集患
 11月28日(火)チーム医療(加算算定率アップ)
 12月19日(火)外来・手術室改善
  ※講師は変更になる可能性がございます

 2回目の「看護必要度精度向上編」では、以下の5つの目的で開催し、八木の講演と参加者のワークショップを交えながら進めました。

  1. 医療・看護必要度がなぜ重要か、理解する
  2. ダッシュボードを使って自病院の精度を分析する
  3. 自病院の良い点・課題を知る
  4. 精度を高める対策を知る
  5. 他病院の取組みを知る

 2016年度診療報酬改定で7対1入院基本料の算定要件が厳格化され、算定要件の中でも特に重症患者割合が注目されています(関連記事『【動画】2分で分かる「看護必要度ショック」の乗り越え方』)。18年度の診療・介護報酬改定に向けた議論の中では、医療・看護必要度と平均在院日数の分布を見ると、7対1は10対1より該当患者割合が高い傾向にあるものの、平均在院日数の分布にバラつきがあると指摘されており、引き続き7対1の算定要件が厳格化される可能性は否定できない状況にあります。

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 こうした中で、重症患者割合を維持・向上させるためにはどうすればいいのか――。八木は、「分子と分母に分けて、さらに因数分解して細かく考えることが必要」と指摘します。重症患者割合は、延べ評価日数を分母に、基準を満たす日数を分子にすることで決まります。そのため、重症度度を高めるためには、(1)いかに分母を小さくするか(2)いかに分子を大きくするか―という視点が欠かせません。

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 分母を小さくする具体的な方法としては、「在院日数の短縮」「機能分化」の2つがあります。診療科ごとに在院日数が最適かどうか、しっかりとデータ分析する必要があります。重症度が低い患者が一定程度いるのであれば、地域包括ケア病棟を新設するなどして、現状の急性期病床に入院する患者の最適化を図ることなどが有効です。

 分子を大きくするためには、重症患者の集患に加えて、データ精度向上が必要になります。データ精度の向上はDPCデータのHファイルとEFファイルを突合することで行います。全国の研修や各病院看護部の取り組みにより、「漏れはない」と自信をもっている施設でも、データを分析するとHファイルとEFファイルのズレが多々見受けられます。(関連記事『看護必要度、「データ監査」に衝撃 相澤病院、教育と仕組み化で精度を大幅改善』)。

 病院ダッシュボードの「看護必要度分析」では、医療・看護必要度データの精度を簡単に確認し、精度向上に向けたアクションをするための切り口を探ることができます。データ精度や重症患者割合について、病棟単位、診療科単位、症例単位で確認できます。ベンチマーク分析も実装しており、重症患者割合や「過剰評価率」、「一致率」を他病院と比較することが可能です。

 ワークショップでは、上記の講演内容の理解を深めるために用意されたもので、例えば、次のような質問に対して、少人数のグループワークを実施しました。

Q:病院ダッシュボードを使い、自病院の看護必要度精度の強み・課題をまとめましょう
会場の様子

会場の様子

 また医療・看護必要度は、看護師だけに関係するものではありません。職種間連携も重症患者割合を満たすための重要な着眼点で、八木は「EFファイルの基となる診療行為をオーダーする医師を巻き込むことは重要。また、評価項目も多く病棟看護師の負担も大きいため、薬剤部や手術室など他部署と協力して取り組むべき」と強調し、講演を締めくくりました(関連記事『「看護必要度改革」で7対1昇格へ、大垣市民病院の「全員参加の短期決戦」全記録』)。

連載◆GHC病院経営データ分析塾
(1)「森を見て木を見る」が経営を改善する分析の基本
(2)看護必要度のデータ精度向上は、基本押さえ多職種連携で
(3)成功するパス改善8つのポイント
(4)失敗しない「集患戦略」に欠かせないシンプルな視点とは
(5)チーム医療(加算算定率アップ)を学ぶ(11月公開予定)
(6)外来・手術室の改善学ぶ(12月公開予定)

解説を担当したコンサルタント 八木 保(やぎ・たもつ)

yagi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。理学療法士、中小企業診断士。
名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業。大手商社にてヘルスケア業界におけるマーケティング商品開発、中小企業のコンサルティングを経て、入社。リハビリの質と生産性向上、コスト削減、財務分析、DPC分析などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うとともに、社内のCS向上チームや社外のCQI(Cancer Quality Initiative)研究会のサポートなどでも精力的に活動する(諏訪中央病院の事例紹介はこちら、津島市民病院の事例紹介はこちら)。
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